SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

統括編集長インタビュー

今後企業は生活者の“暮らし”にどう寄り添う?「みんなの暮らし日記」×「博報堂こそだて家族研究所」対談


「教育」の観点が入るとモノ選びは変わる

本田:なるほど、「家族×機能×価格×環境」のバランスを考えているという点は、すごくよくわかります。

亀田:そう、いろいろなバランスを取りながら、モノを賢く選んでいるんですよね。SDGsや社会課題への関心も高い60代主婦中心の「1.社会貢献ショッパー」や、食に特化して意識が高い、生協などを昔から使っているような50-60代主婦中心の「2.安心安全ショッパー」とは、明らかに違う意識があります。1と2は調査前から想定していたのですが、3のクラスターは明確には見えていませんでした。それが顕在化し、全体のボリュームからいっても3番目に大きい層だったんです。

出典:前スライドと同じ
出典:前スライドと同じ

亀田:3の人たちは子どもも小さく、共働きで忙しい人が多いです。環境意識についても、毎日の生活の中でできることはしたいけれど、高すぎては選べない。ただ、ここに「教育」という観点が入ると少しモノ選びも変わってきます。たとえばエコな洗剤を子どもと話しながら一緒に選ぶと、教育の要素になりますよね。

本田:確かに。教育の要素が入ると、それは子どもの未来への投資にもなるから、ちょっと背中を押されますね。

 ちょうど私たちも、Webメディアを3年運営する中で「自分や家族にとって心地いいもの」から「環境や社会にも優しいもの」「次世代に悪影響がないもの」へと、モノ選びの視点が拡張しているように感じていました。そこで5月末に実施した読者アンケートで、その意識を聞いたところ、半数以上が「同じ価格あるいは多少高くても、環境や社会に負荷のないものを選びたい」と答えていました。(リリースはこちら)。

「『みんなの暮らし日記ONLINE』社会や環境に対する意識とコロナ禍の影響による価値観の変化」調査結果より。調査時期:2020年5月29日~6月2日 調査対象:「みんなの暮らし日記ONLINE」読者、メルマガ購読者、著者 計197人
『みんなの暮らし日記ONLINE』社会や環境に対する意識とコロナ禍の影響による価値観の変化」調査結果より。調査時期:2020年5月29日~6月2日 調査対象:「みんなの暮らし日記ONLINE」読者、メルマガ購読者、著者 計197人

ロールモデルの消滅 一人ひとりがスタイルを追求する時代へ

本田:また、コロナ禍を経験して「価値観が変わった」という人に、具体的にどのように変わったのかを書いてもらったところ、「家族の大切さを改めて感じた」といった意見は想定どおり多かったのですが、数は少ないながら意外だった意見が2方向ほどあったんです。

 ひとつは「子どものことだけでなく、自分も大事にしていきたい/老後も大事だけれど今を楽しみたい」という意見。もうひとつは「社会や仕事の非効率さを実感した/本当に必要か、モノ選びを見つめ直した」という意見です。

亀田:消費に対する目は、確かに一層シビアになりそうです。価格だけに左右されない、品質や安心へのニーズが高まると同時に、無駄な贅沢がそぎ落とされる。この自粛期間に、断捨離をした人も多かったと思います。

本田:はい、断捨離の記事のPVも高かったですし、SNSの投稿もたくさん目にしました。

 コロナ禍による心理的影響は、これから中長期的に消費行動に反映されてくると思います。企業がたとえば「3.心地よい暮らしショッパー」や私たちの読者層のような、たしかなモノを選びたいという主婦層にアプローチする際、どのような点を大切にすべきだと思いますか?

亀田:あくまで私見ですが、本質的な価値を持つ商品やサービスが見極められていくと思うので、その価値を地道に誠実に伝えることが大切になるのでは。派手さはなくても、そうしたマーケティングが響くようになるでしょうし、そんなケースを増やしていけたらと思っています。

 今後、家族の形はもっと多様化するでしょう。コロナ禍がなかったとしても、今までの常識が塗り替えられていますし、ロールモデルを見つけるのが難しくなっています。もう、ロールモデルという考え方自体が古いのかもしれないです。自分を基準にするのは右へ倣うより難しいことですが、素敵な生活を真似したり、ちょっとだらしなかったりしながら、個々人が気負いすぎず、心地よく自分らしく暮らしていけるといいですよね。

本田:本当ですね。周りがどんなことをしているのかなと参考にしつつも、一人ひとりが自分の“なりたい像”を楽しみながら探っていく。企業には、そんな意識に寄り添ってもらえたらいいなと思いました。今日はありがとうございました!

対談を終えて/本田麻湖

亀田さんのお話には共感するところが多く、特に「ロールモデルはない、個々人でいいよね」という意見には励まされました。これまで私たちは「暮らしを丁寧に、大切にしたい人たち」に向けて記事を作ってきました。コロナ禍によって、家を快適にすることや料理を楽しむことを前向きに捉える方が増えていると実感しています。その流れは自分一人の「心地よさ」を求めるだけでなく、家族や社会、次世代に対しての「丁寧さ、正しさ」への意識につながっています。今後はエシカル消費やサステナブルな社会についての関心も高まっていくのではないかと思っています。文中で紹介したリリースとは別に、マーケターの方々向けに編集部で調査を分析した資料を作成しました。ぜひこちらもご参考いただければ幸いです。
クリックするとSlideShareへページ遷移します

亀田さんのお話には共感するところが多く、特に「ロールモデルはない、個々人でいいよね」という意見には励まされました。これまで私たちは「暮らしを丁寧に、大切にしたい人たち」に向けて記事を作ってきました。コロナ禍によって、家を快適にすることや料理を楽しむことを前向きに捉える方が増えていると実感しています。その流れは自分一人の「心地よさ」を求めるだけでなく、家族や社会、次世代に対しての「丁寧さ、正しさ」への意識につながっています。今後はエシカル消費やサステナブルな社会についての関心も高まっていくのではないかと思っています。文中で紹介したリリースとは別に、マーケターの方々向けに編集部で調査を分析した資料を作成しました。ぜひこちらもご参考いただければ幸いです。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
統括編集長インタビュー連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

本田 麻湖(みんなの暮らし日記ONLINE編集長)(ホンダ マコ)

『みんなの日記』書籍シリーズ/「みんなの暮らし日記ONLINE」 編集長 1972年新潟県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業後、出版社 山と溪谷社に入社。デザイン系出版社を経て、2006年翔泳社に入社。ブログやInstagramの書籍化企画「みんなの機内食」「みんなの朝食日記」「みんなの持た...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/12/17 18:39 https://markezine.jp/article/detail/33732

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング