データ活用の優劣が競争優位性を左右する
生活者のライフスタイルの多様化に伴い、「one to oneマーケティング」・「個客対応型マーケティング」といった言葉が多くのメディアで取り上げられるようになりました。そして、それらのマーケティング手法を支えるデータ活用の優劣が企業の競争優位性を左右する時代になってきました。
また、中期的な視点で見ると、デジタル化&ネットワーク化やデバイスなどの技術進歩が進むと、生活者と企業との間のデータトランザクション量と取得できるデータの種類は加速度的に増えていくはずです。
現在は、
- 顧客属性データ(誰?)
- 購買データ(何をいつどれくらい買った?)
- Webアクセスデータ(購入プロセスは?)
- 地理データ(どこにいるか?)
といったデータの活用が中心ですが、自然言語処理技術、音声認識技術、画像認識技術、生体認証技術や、センシングデバイスの進歩により、ありとあらゆるデータを取得できるようになり、いずれは人間の感情もデータ化され、それらをもとにしたターゲティングができる時代も来るでしょう。
一方で、これまでこれらの大量データを蓄積・分析するためにかかるコストも膨大でしたが、こちらもサーバーコストの低減や分析ツールの進歩により比較的低コストで可能になりました。
さらに、リーマンショック後に加速したマーケティング担当者のアカウンタビリティ向上により、ますますデータを活用していく環境が整ってきたと言えます。
Data Driven Marketing(データ・ドリブン・マーケティング)
その様な環境変化の中で求められているのが、いわゆるData Driven Marketing(データ・ドリブン・マーケティング)という考え方です。
Data Driven Marketingとは、企業内のあらゆる部門に蓄積されたマーケティングデータ(個客属性データ・購買データ・Webアクセスデータ・コールログデータ・店舗やカタログなど他チャネルデータetc.)を統合管理し、それらを軸に全体最適視点で分析・最適化を行っていくマーケティング手法で、当然ながら重要なチャネルの1つであるWebサイトでもData Driven Marketingを実践していく必要があります。
しかし、その実践にはデータプラットフォームの設計を行うことと、それらのデータを軸にPDCAサイクルを回して最適化していくことの2つの要素が必要になります。
しかしながら、多くの場合Webサイトのリニューアル段階でデータプラットフォームの設計をすることなく、リニューアル終了後に改めて設計するケースが多く見受けられます。
そうなるとリニューアル後すぐにPDCAサイクルを回して最適化を実施することができなくなるだけでなく、場合によってはシステム改修が必要になったり、様々な部分で二度手間が発生しコスト効率も悪くなってしまうことがあります。そこで、リニューアルにおける要件定義・設計段階で、Data Driven Marketingの実践を見越したデータプラットフォームの設計が重要となっています。