ウェイボーの各種機能
まず、大前提として認識していただきたいのが、中国では政府の情報検閲などの観点から、Twitterを閲覧・利用することができません。同じような理由で、Wikipedia、Facebook、そしてYouTubeなども閲覧・利用が不可能です。
その代わりといっては何ですが、海外(主にアメリカ)発のサービスを模倣して、中国の企業が独自に展開しているものが多くあります。その中で、Twtitterの中国版がこのウェイボーであり、中国の4大ポータルサイトと呼ばれる大手メディア企業「新浪(SINA)」「网易(NETEASE)」「腾讯网(TENCENT)」「搜狐(SOHU)」の4社全てがウェイボーを提供しています。最も人気のあるのが、米国NASDAQに上場するSINAの運営する前述の「新浪微博(SINAウェイボー)」で、今年8月時点で約2億人の利用者を抱えています。

機能としては、Twitter同様に140文字以内の文字数で、“つぶやく”ことができます。つぶやくためのデバイスもPC、モバイル、タブレット端末に対応しており、本家Twitterと同じです。ただし、日本語や英語と比較すると、中国語漢字での140文字はかなりの情報量を詰め込むことができます。
例えば、日本語で「私は日本人です」は7文字、英語の「I am Japanese」はスペースも入れると14文字になります。一方、中国語漢字だと「我是日本人」と、わずか5文字に収まります。このように、漢字の140字は特に英語と比較すると、情報量の凝縮度に差があるのが明らかです。そのため、英語や日本語だと簡易にしかつぶやけないことが、漢字でのつぶやきだと詳細までつぶやけてしまうということがあります。
また、つぶやきに対して、他の利用者からのコメントや転送(リツイート)ができる点など、基本的な機能も本家Twtitterと同じです。しかし、これら基本的な機能以外に、ウェイボーには様々な機能があります。その中でも、よく使われる機能を紹介します。
アンケート機能
利用者が自らのアカウント内でアンケートを作成することができます。企業であればフォロワーに対して自社商品に関するアンケートを実施し、市場調査を行ったり、インセンティブや懸賞をつけることで回答率をあげるなど、工夫次第で強力なマーケティングツールになります。もちろん、一利用者として別の利用者のアカウントにあるアンケートに答えることもできます。
イベント告知機能
企業利用が多くはなりますが、オフラインやオフラインのイベント/セミナーの告知、および集客をすることができます。企業の新商品発表の発表会を行いたい場合などに使用することができます。
時間指定つぶやき配信
こちらも企業利用の場合に、より効果を発揮しそうですが、つぶやくテキストを時間指定して発信することができます。ひな形も用意されているので、それを参考にしてつぶやくテキストを保存・登録しておくことも可能です。この機能は、あまり人手が潤沢でない企業や、忙しい時間帯にどうしてもつぶやくタイミングに間が空いてしまうといった場合に重宝される機能です。
グループ機能
趣味を同じくする人や、知り合い同士で会議をするかのようなグループ機能があります。
オープンプラットフォーム
ウェイボーに連動するアプリも、モバイル、タブレット端末、PCなどデバイス毎に様々なアプリが多数出ています。その中でも、一番人気のSINAウェイボー対応アプリは2011年8月現在、既に約1,200を超えています。
アプリの種類としては、例えばブラウザ上にウェイボーのボタンが設置できるガジェット的なものから、フォロワーの地域や年齢を分析だけでなく、リツイート数のランキング、フォロワーの関連度合いを把握できるマイアカウント分析ツール系のもの、そして利用者の誰でも楽しめるようなゲーム系などが多数出ています。
つい先日、ウェイボー上で使える仮想通貨を用いたソーシャルゲームをSINAがリリースするという発表がありました。ソーシャルゲームは、日本のみならず世界的に最も市場拡大が期待されている分野ではありますが、状況は中国も同じです。中国では現状、前述の4大ポータルサイトを中心に各ウェイボー運営企業が、ウェイボーを基点にソーシャルプラットフォームの覇権をかけて争っています。
その中でもSINAは、特にゲーム関連コンテンツの拡充を目的に積極的に動いています。ゲームリリースから1年間は、取り分をゲーム開発者に100%還元することを発表しており、ゲーム開発会社の囲い込みに動いています。参考ですがmixiアプリの開発会社の取り分が8割であることを鑑みると、SINAの本気度が分かるというものでしょう。

次回は、ウェイボーをビジネス利用する際のポイントや最新の事例、流行の兆しを見せている新サービスなどを紹介します。