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データドリブン視点のサイトリニューアル実践法

「D3メソッド」とリニューアル段階で注力すべき4つのポイント ─ データドリブン視点のサイトリニューアル実践法第2回


ポイント2:サイト構造に合わせた施策設計

 次が、サイト構造に合わせた施策設計です。

 ECサイト設計は通常、売上に最も影響を与える指標である集客・回遊・客単価を基にした、流入設計・コンバージョン率向上設計・客単価向上設計の3つから成り立ちます。(資料請求や問い合わせ等を目的としたリード生成サイトの設計においては、客単価向上設計を除いた2つとなります。)

流入設計

 前述の通り、訪問数、つまり流入数を増やすことの重要性は明白です。基本的に、コンバージョン率を上げるよりも、集客を増やす方がハードルは低くその手法も多岐にわたりますが、リニューアルにおける集客施策の考え方はシンプルです。それは「リニューアルの時にしか実施できない施策を実施する」ことです。

 広告やメールマガジンなどによる集客は運用時でも改善できるので、リニューアル時に最もプライオリティを上げて取り組むべき集客施策は、検索サイトから自然流入が増えるようなWebサイトの構造づくりとhtml記述を行うということになります。

 これは、Webサイト全体の構造に関わるため、リニューアルの時にしか実施できません。具体的な集客手法・施策については、後の連載においてより詳細に解説します。

コンバージョン率向上設計

 ECサイトのコンバージョン率向上は、販売戦略の評価軸となります。

 それは、商品の力やブランド力の影響によりますが、今回は成果を上げやすく、PDCAサイクルの基盤づくりにも欠かせない、コンバージョン率向上設計を紹介します。

 通常のサイトでは、サイトの入り口からゴールまでの中心となる道筋にメインフローがあります。例えば、ECサイトの場合、以下の図のように、「入口ページ」⇒「商品探し」⇒「商品ページ」⇒「カート」⇒「購入ステップ」がメインフローとなります。コンバージョン率はこれらの区分に分解して考えることができます。

 当然、主導線となるメインフローの良し悪しがECサイトのパフォーマンスに大きく影響します。この中で、商品リストが掲載されている商品探しのページと商品ページは、テンプレートを用いてページ生成をするのが通常です。そのテンプレートは訪問者の大半が経由することになるので、重要なテンプレートとなりこのテンプレートの良し悪しがサイトのパフォーマンスを左右する、と言っても過言ではありません。

 また、カートはユーザーをゴールさせるために必ず経由するポイントです。商品リスト、商品詳細、カートの3画面は、ECサイトのパフォーマンスの根幹的部分となり、

 これらのメインテンプレート間の遷移率がコンバージョン率に大きな影響を与えます。

 極端な例になりますが、コンバージョン率を2倍にするには、各遷移率を1.3倍、1.3倍、1.2倍とすればコンバージョン率は2倍となります。

 まずは、現サイトの各テンプレート間の遷移率を把握して、パフォーマンスの良し悪しを計測し、遷移率の悪い部分の原因を考えることが大切です。この時、セグメント別や訪問回数別に遷移率を把握し比較することで、「各セグメントがサイトにどういったものを求めており、現状何が欠けているのか」という仮説を立てることが可能です。

 これらの仮説から改善策を検討し、メインテンプレートの設計に反映することで成果向上に結びつきやすくなります。こうした取り組みがData Driven(データドリブン)なサイト設計を実現させます。

客単価向上施策

 これまでお伝えした指標に加え、ECサイトでは売上に関わる重要指標として客単価があります。客単価は商材に大きく依存しますが、客単価を向上させる施策もいくつか考えられます。

 商品単価を上げることは難しいため、必然的に併売を促す施策となります。一般的な併売アップの方法は2つあります。

送料無料ライン

 「○○円以上で送料無料」は、よく見かける施策です。送料無料を実施するためには、商品の利益と送料の関係を見極める必要があります。IMJにて運営してきました「ヴィレッジヴァンガードオンライン」の場合、2008年10月に6,000円以上の商品購入を送料無料としたところ11月以降客単価が急上昇し、4000~5000円台だった客単価がコンスタントに6000円を超えるようになりました。

ついで買いを増やす

 カートページは、コンビニやスーパーマーケットのレジ横の陳列棚と同じような役割、つまり、思わずついで買いをさせてしまうような役割を果たし得ます。そのため、カートページで何の商品を表示させるかは非常に重要です。ヴィレッジヴァンガードは、かつて画一的におすすめ商品を表示していたのですが、商品自動レコメンドエンジンを採用してカートに挿入した商品に応じて閲覧・購入する確率が高い商品を表示することで、約6%の客単価アップを達成しました。

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ポイント3:テスト設計

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この記事の著者

株式会社アイ・エム・ジェイ / Marketing & Technology Labs(カブシキガイシャアイ・エム・ジェイ マーケティングアンドテクノロジーラボ)

株式会社アイ・エム・ジェイのMarketing & Technology Labs(以下、MTL)は、IMJグループにおいてData Driven Marketingの実現を通じて、クライアント企業のデジタルマーケティングを支援するマーケティング・サービス・プロバイダー(MSP)です。

データプラットフォーム設計やマーケティングROI最大化のための最適化コンサルティングサービスを提供します。

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/26 14:52 https://markezine.jp/article/detail/14383

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