SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティング・プロフェッショナルズ

「ネット部門の成果を最大化しても、マーケティングは成立しない」 ─ 日本マイクロソフト 佐藤哲也氏


クラウドの時代に求められるデジタルマーケターの視点

 青葉――デジタル領域は部署内だけで盛り上がりがちとのことですが、どうして部内だけになってしまうのでしょうか。そして、デジタルマーケッターはどのように対処していくべきなのでしょうか?

 佐藤:単純に、デジタルマーケティングが面白すぎるからでしょうね。反応もすぐ取れますし。ただ、細かい技術にのめりこむのではなく、一連のマーケティングにおいてデジタルがどういうインパクトを与えていて、そこでの成果をではどこへつなげるのか、そういう視点を持てると仕事の幅も広がってくるはずです。

 いまデジタル領域にはクラウドという大きな流れが起きています。ソフトのライセンスを買ってもらうという我々の従来のビジネスモデルとは違って、クラウドだとそのサービスを使い続けてもらうことが重要になってくる。つまり、購入や契約のためのマーケティングではなく、使い続けてもらうリテンションのマーケティングが求められるわけです。

 すると、ユーザーの利用動向を分析する力がとても重要になるので、デジタルマーケティングを専門にしている人はまさにこれから活躍のチャンスがあるでしょう。若い人はプロとして活躍するために、2、3年ほど、いわゆる現場営業などを経験してからまた戻るのも、視野が広がっていいと思います。

 青葉――最後に、佐藤さんが考える「マーケティング・プロフェッショナル」を教えてください。

 佐藤:マーケティングは、ビジネス全般を支える活動。ですから、マーケティングのプロとはビジネスそのもののプロフェッショナルであるべきだと考えています。当社では、「Marketing Leadership Council」というマーケター同士のコミュニティ組織を立ち上げて、約200人によるそれぞれのマーケティング活動のガバナンスを図る試みを始めています。これからもさまざまな取り組みを通して、マーケティング活動の成果、すなわちビジネスの成果を最大化するために注力していきたいと思います。(文・高島知子)

青葉対談後記「Marketer Eye」

 マイクロソフトの事業環境は、この数年で大きく変わり、ソフトウエアの販売モデルからサービスを利用契約型ビジネスへ急激にシフトしています。佐藤さんは、「Marketing Leadership Council」(マーケティングリーダーシップカウンシル、通称MLC)という組織横断するプロジェクトを立ち上げ、約30~40の部門に存在する約200名のマーケッターとの全社の利害関係の調整を行なっています。如何にしてマイクロソフトのビジネス全体を成功させるかという議題に対して、マーケティングの力を信じ、向かい合いっています。

 

 この数年で、マーケティング業務の分業が進みました。ネットマーケティングに取り組んでいると、どうしても細部データの上げ下げに一喜一憂しがちですが、事業全体を俯瞰しながら、如何にビジネスを成功に導くかという視点が最も重要なのだということを改めて教えていただきました。

 

 マーケジン読者の方には、ネットを活用することで、「事業全体にどのようにマーケティング・インパクトを与えることができる」のか、自社の競争力強化、利益確保、企業の社会貢献のためにも、一度上司や仲間と話し合ってみてはいかがでしょうか。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
マーケティング・プロフェッショナルズ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

青葉 哲郎(アオバ テツオ)

サイコス株式会社 代表取締役
東京都出身。明治大学政治経済学部卒業。1994年4月 ジャスコ (現イオン)入社。1995年マイクロソフト入社。トップセールスを経て、最年少ブランドマネージャに就任。MSN事業開発など担当。2001年インテリジェンス入社。マーケティング部を設立し『はたらくを楽しもう。』で同社を転職ブランド1位に。2008年リクルートエージェント入社。『転職に人間力を。』で新ブランドを立ち上げ、コスト減と広告効果の最適化...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2012/05/17 14:27 https://markezine.jp/article/detail/14590

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング