2日目の午後には、「Search Analytics for Your Site: 8 things you can do」(サイト内検索のアナリティクス:8つのメリット)と題したセッションが開催された。講師はルイス・ローゼンフェルド氏。
インターネットの黎明期からユーザビリティやインフォメーションアーキテクチャに着目し、「Web情報アーキテクチャ」(通称シロクマ本)を出版した後、企業へのコンサルティングやセミナー講師に携わるユーザーエクスペリエンス(以下、UX)界のベテランだ。最近はローゼンフェルドメディアを立ち上げ、出版業も手がけている。
今回のトピックは、サイト内検索のアナリティクス(Site Search Analytics=SSA)について。GoogleやYahoo!など、サイト外の検索サイトからのトラフィックについてはマーケティングや解析手法が発達し、一般化したが、サイト内に独自に設置する検索システムの解析や最適化については、あまり議論や体系化がされていない。もっと活用し、サイトの改善につなげよう、という趣旨だ。
サイト内検索アナリティクスが重要な理由
定性的なデータであり、意味を読み取りやすい
サイト内検索アナリティクスでは、サイト内検索ボックスに入力されたキーワードを分析する。ユーザーが自らの言葉で表現した自然言語によるフレーズが得られるため、セマンティック的にリッチ、つまり意味を読み取りやすい。
閲覧回数やクリック回数、訪問回数などの定量的なデータからは得られにくい洞察を導き出すことができる、とローゼンフェルド氏は説明する。続いて、サイト内検索アナリティクス(SSA)による8つのメリットが紹介された。
サイト内検索アナリティクス(SSA)によるメリット1~2
1. ナビゲーションを改善できる
検索キーワードと、それによって探しているであろうコンテンツタイプをマッピングする、という手法が紹介された。
図の縦軸は検索キーワード、横軸は「応募」「お知らせ」「問い合わせ」などのコンテンツタイプだ。この大学では、1時間かけてトップ50の人気検索キーワードをコンテンツタイプとマッピングするだけで、今後強化すべきコンテンツタイプを優先付けできるようになったという。
これは、コンテキストに合ったナビゲーションの設計にも役立つ。例えば、hpのサイト内検索の結果ページで製品名を検索した場合、検索結果に該当製品の画像と各種リンクが表示される。
2. 検索をもっとスマートにできる
絞り込みや検索キーワード変更など、どのような検索キーワードを続けて入力しているかを調べると、パターンが見えてくる。それを理解できたら、高度な検索機能を「アドバンス検索」として別ページに隠すのではなく、検索結果に反映できる、という。
Ask.comの事例では、判明した検索パターンに応じて、検索結果を絞り込むためのキーワード提案(左上)、広げるためのキーワード提案(左下)、画像(右上)、用語の定義(右中央)、ニュース(右下)、を表示するようにした。
また、L.L.Beanのサイト内検索では、よく検索される商品IDを自動で認識できるようにし、さらに検索ボックス内に「item # or keyword」と表示しておくことで、商品IDでも検索ができることを明示するようにした。
Financial Timesのサイト内検索では、よく検索される人名、会社名で絞り込めるよう、候補キーワードを検索結果の左側に表示するようにした。記事の掲載日も重要なため、掲載日の範囲も指定できるようになっている。