ソーシャルという「大きなうねり」が生み出したもの
2008年、ソーシャルメディアにマーケターの目を向けさせた1冊の本が出版された。米国の調査会社フォレスター・リサーチのふたりのアナリストが著した『グランズウェル』は、その年の米国ビジネス書のトップ10に入るヒットとなった。本書が、ソーシャルマーケティングに取り組むきっかけになったという人も多いはずだ。
「グランズウェル(groundswell)」は「大きなうねり」という意味だが、本書では、次のような社会的ムーブメントを指す言葉として使われている。
「グランズウェルは社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達するようになっていることを指す」
刊行から4年たったいま読み返してみると、そのとき注目されていたサービスのいくつかに、年月を感じるものの、そのほとんどの部分は現在でも示唆に富んでいる。しかし大きく異なるのは、ソーシャルメディアという大きなうねりが、「ビッグデータ」という新たなうねりを生み出していることだろうか。今回のサミットでは、個々人が生み出す多種多様なデータからいかにビジネス上のメリットを引き出すかが焦点となった。
デジタルマーケターのニーズに応える「Adobe Digital Marketing Suite」
個人の日々の活動のなかで生み出される多種多様なデータは、ひとつひとつは小さいものの、その総量は膨大なものとなる。そこからマーケターはシグナルを読み取り、ビジネスへ活かしていく。そして、それを支援をするのがアドビ システムズの製品群が「Adobe Digital Marketing Suite」だ。
この製品群がカバーするのは下図に示す領域。SiteCatalystを中心とした解析・レポーティングツール群は、デジタルマーケティングのあらゆるデータに対応する。そして、PC、モバイルといったデバイスごと、オンラインとオフラインのように、チャネルごとにデータを分析するのではなく、それらを統合して分析すること。今回のサミットでは、プールに設けられたスイムレーンのように別々に収集されているデータを横断的に解析するマルチチャネルマーケティングにフォーカスしたセッションも数多く行われた。
また、さまざまな解析結果から迅速に意思決定ができるよう、アドビ システムズはデータのビジュアル化にも注力している。さらに、組織の中で行われる業務のワークフローやコミュニケーションをより効率的なものに改善する数多くの機能を提供。マーケターが本来やるべき業務に集中できるよう、さまざまな配慮がなされている。