株価低迷よりも、モバイル対策が追い付いてないほうが心配なFacebook
どうもこのところ、Facebookは不調のようだ。5月の株式上場以来、株価が低迷しているとか、最初の四半期決算が赤字であったとか、投資家が失望しているとか、あまりよいニュースは聞こえてこない。とはいえ、第2四半期(4月~6月)決算報告書によると、2012年6月末時点の月間アクティブユーザー(MAU)は、実に9億5500万人で、前年同期に比べて29%も増えているという。
ユーザー規模では順調に成長しているようにも見えるFacebookが評価を下げているのは、急速に進む、ユーザーのモバイルシフトへの対応が十分ではないと見られているためだ。先に挙げた6月末時点のMUAにしても、モバイルからのアクセスが5億4300万人と半数を上回り、成長率も67%とかなり高い。
Facebookの収益モデルは広告だが、PCでもヘッダにバナーが表示されたりするわけでもなく、意外と控え目に表示されている。これがモバイルになると、画面が狭いだけ表示機会がさらに減ってしまうということで、ニュースフィードに表示させる新たな広告が提供されはじめているが、施策が追いついていないのではないかと懸念されている。
新しい広告は順調だというが、広告収益の面でMAU比に見合うだけの成果を上げるには、いま少し時間がかかるかもしれない。
ユーザー体験の面でも、上場前にモバイル向け写真共有サービス「Instagram」を買収したことは大きな話題になったが、最近でも「Instapaper」競合のモバイル向けブックマークサービス「Spool」や、デザイン的に優れたアプリを開発する「Acrylic Software」を買収している。
こうした投資で獲得した新たな人材やリソースがどれほどの効果を見せ、Facebookがスマートフォン環境でどれほど挽回できるかが、今年後半に向けての注目される点だろう。それにしても、10億近い利用者を抱えていると、ユーザー全員の環境を完全に切り替えるだけでも一朝一夕というわけにはいかないような気がしてしまう。