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和製LCC3社が巻き起こす「航空大革命」
IT技術の進化が可能にしたビジネスモデルとは


 和製LCC3社が運航を開始した今年2012年。日本の空を取り巻く状況は大きく変わりつつある。ユーザーとしても興味深々、そして新たなビジネスモデルとしても注目を集めるLCC業界の特徴と課題を、新書『航空大革命』などで知られる秋本俊二氏が論じる。

和製LCC3社が巻き起こす「航空大革命」

航空ジャーナリスト 秋本俊二氏

 LCC(ローコストキャリア=格安航空会社)の台頭により、エアライン業界ではいま二極化が進んでいる。

 和製LCC3社としてはピーチ・アビエーションが先陣を切って運航をスタート。次いで7月3日にジェットスター・ジャパン、8月1日にエアアジア・ジャパンが就航を開始した。

 利用者の側の視点にたつと、これは決して悪いことではない。「多少料金が高くても、機内で洗練されたサービスを受けながらゆったりと快適な空の旅を楽しみたい」と考える人がいる一方で、「サービスは要らないのでとにかく安さを重視する」人にとっては朗報だろう。出張や旅行で飛行機を利用する際に、消費者にとって選択の幅が広がった。

 日本でいう日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などのレガシーキャリアとは異なるビジネスモデルで驚異的な低運賃を実現し、航空自由化が進んだ欧米で発達してきたLCC。その走りとなったのがアメリカのサウスウエスト航空。同社が打ち立てたビジネスモデルはその後、アジアにも波及し、今年ついに就航を開始したピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンの和製LCC3社が誕生した。

ITの進化が可能にしたLCCのビジネスモデル

 注目を集めるLCCだが、実際にはどのように利用するのだろうか。基本的にはLCCを利用する場合、チケットはインターネットで自分で手配する。IT技術の発達がLCCのビジネスモデルを可能にしたと言っても過言ではない。

 かつては、どのエアラインでもチケット販売の多くを旅行会社に委ねていた。しかし、その見返りとして支払う販売手数料(仲介料)は少なくはなかった。そのような状況が、インターネットの普及により、旅行会社を通すことなくチケットの直販が可能になり、負担だった手数料の削減に成功した。

 またLCCは食事などの機内サービスを有料化しており、これもLCCはならではの戦略である。預け入れの荷物制限も厳しく、重量をオーバーすると割高な追加料金が徴収される。海外では発着場所が都市のメイン空港ではなく、アクセスが不便な郊外の空港であるケースが多いというデメリットもある。しかし、こうした基本さえしっかり押さえておけば、格安で旅ができるLCCのメリットは大きいだろう。

 関西ではここ5年の間に、韓国系を中心に複数のLCCが就航。当初は躊躇していた利用者たちも少しずつ使い始め、最近はグルメやショッピングにと気軽に週末旅行を楽しむ人も増えてきた。週末に友達と気軽に韓国旅行にいく女性グループの姿が想像できる。

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この記事の著者

秋本 俊二(アキモト シュンジ)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。最新刊『命航空大革』(角川oneテーマ21新書)のほか『ボーイング787まるごと解説』『みんなが知りたい旅客機の疑問』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

■著書
・『航空大革命』
・『ボーイング787まるごと解説』
・『みんなが知りたい旅客機の疑問』

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/09/06 10:10 https://markezine.jp/article/detail/16244

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