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資産を活かしゼロから立ち上げ!ECスタートアップ実践講座

【最終回】ABテストとSTRIPの法則(個客別おもてなしプログラム)で、コンバージョンとリピートを引き上げる ─ ECスタートアップ実践講座

STRIPの法則(個客別おもてなしプログラム)でリピートアップ

個客をまるはだかに、おもてなしを最大に

 STRIPの法則の、Status(購入意向ステータス)、Timing(タイミング)、Rank(個客ランク)、Interest(興味対象)、Property(属性)を、もう一段階掘り下げて具体的に見て行きましょう。

Status(購入意向ステータス)

 「ページ閲覧数、注文離脱箇所、カート金額」でどの状態まで達したユーザーかを把握する。

Timing(タイミング)

 「最終訪問日(および訪問頻度)」でいつのタイミングでアプローチするのが最適化を導き出す。

Rank(個客ランク)

 「サイトごとで指定されたランク」を把握して、現時点での顧客優先度を把握する。購入累積金額や購入回数、休眠状態などでランク付けするのが一般的。

Interest(興味対象)

 「閲覧商品、閲覧カテゴリ、お気に入り登録などの各種興味記録」で何を表示・推薦すべきかを把握する。

Property(属性)

 「年齢、性別、地域、参照元、他」により、どのようなユーザー属性かを把握し、フィルタリングに活かす。例えば、10台の女性に育毛剤シャンプーを推薦しない。東京近郊在住者に、スカイツリー宿泊ツアーを推薦しない。など。

STRIPの法則の詳細セグメント軸
STRIPの法則の詳細セグメント軸

 上記のように、各切り口をセグメントの軸とすることによって、ユーザーの状態を浮かび上がらせていきます。ユーザーのセグメントを抽出する際に、下記2点に注意しながら、適切なセグメントユーザー群を絞り込み、設定してきます。

  • 【注意点1】該当セグメントユーザーが存在する母数
  • 【注意点2】該当セグメントユーザーのコンバージョンレート

 どんなに計算されたセグメントのか掛け合わせであっても、適応するユーザーの母数が少なすぎては意味がありません。また、該当セグメントのコンバージョンが、もともと非常に高いものであれば、別のセグメントのフォローをおこなったほうが効率的な場合があります。

 上記の点を踏まえながら、セグメントを設定した後は、実施にこのセグメント群をマーケティング施策に活かしていくことになります。

STRIPの法則から導いたセグメントを、マーケティング施策に活用する
STRIPの法則から導いたセグメントを、マーケティング施策に活用する

 主な、出口としてのマーケティング施策としては、次の3つが挙げられます。

  • サイト内オファー(優待)の表示
  • セグメント別のメール配信
  • リマーケ広告

 なお、「S」「T」「R」「I」「P」のセグメントですが、出口としてのマーケティング施策の性質や狙いによって、必要な要素だけを組み合わせて活用することになります。次の図では、「T、R、I」をセグメント要素として利用した例を紹介します。

STRIPの法則、個客別おもてなしの例
STRIPの法則、個客別おもてなしの例

 なお、例えば今話題のクリティオなどの「レコメンドバナー」のサービスは、「S,T,I」の組み合わせで、リマーケ広告に活かしていることがわかります。具体的には「自社サイトで商品を見た人に(Status)、見たすぐ後から(Timing)、興味ある商品(Interest)を、「広告ネットワーク」で配信しているのです。

 国内ではまだまだ浸透していませんが、アメリカでは多く活用されている「カートレコメンドメール」は、同じく「S,T,I」の組み合わせで、メール配信に活かしています。自社サイトでカートまでいれた人に(Status)、数時間後・数日後などと適切なタイミングをはかって(Timing)、興味のあるはずの商品(Interest)を「メールで配信」し再プッシュする。ということになります。

 このようにSTRIPの法則を踏まえながら、個客別のおもてなしプログラムを実施することにより、ECサイトのリピートを活性化し、顧客生涯価値(LTV)を上げる取り組みが、国内外の大手ECサイトにおいてはすでに実践されています。

 ユーザーの購入回数を増やしたり、休眠・休眠予兆の引き上げにも効果的なこのプログラムは、外部ASPツールなどでも実践可能な状態にもなってきました。はじめに紹介した各ステップにおけるABテストと、STRIPの法則をベースとした個客別おもてなしプログラムの双方は、今後、多くのECサイトにおいて、普及・活用される注目株となることでしょう。

 今回は、いつもより長い文章となりましたが、この2つの強力な万能プログラムの紹介をもって、本連載を一旦終了とさせていただきます。これまでご精読誠に有難うございました。

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この記事の著者

野口 竜司(ノグチ リュウジ)

株式会社ZOZOテクノロジーズ VP of AI driven business 文系AI人材として様々なAIプロジェクトを推進。AIによるビジネス推進とAIネイティブ組織作りに力を入れている。大学在学中に京都発ITベンチャーに参画し子会社社長や取締役として、レコメンド・ビッグデータ・AI・海...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/04/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/16761

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