爆速経営に変わって
MZ:2012年7月、Yahoo! JAPANは「爆速」経営を打ち出し、組織のかたちが大きく変わりました。社内ではどのような変化があったのでしょうか。
高田:全体として意思決定の速度を上げようというのが文化として降ってきて、判断のサイクルが早くなっています。昔よりも前のめりな感じになっていますね(笑)
絹田:権限をどんどん移譲していくところがオリジナルなのかなと思う。意思決定のスピードはすごく早くなっています。
MZ:今年の1月末に広告ソリューションのリニューアルを行い、「Yahoo!プロモーション広告」と「Yahoo!プレミアム広告」という2つの広告商品を打ち出しました。このようなかたちに至った経緯はどういうものだったのでしょうか。
高田:今までは「ディスプレイ広告」と「リスティング広告」という広告フォーマットの違いで整理していましたが、本来マーケティングの機能は大きく「ブランディング」と「セールスプロモーション」の2つに分かれます。これによって、我々がやるべきこと、プロダクトの方向性も分かれるはずで、それがソリューションを「プレミアム広告」と「プロモーション広告」の2つに分けた理由です。
これまでは「ディスプレイ広告なんだけど、どちらかというと販促だよね」とか逆に「リスティング広告だけどブランディングに寄っちゃってるよね」というように、あいまいな使われ方をしていましたが、ここをクリアにすることで、「プロモーション広告」は販促としてそこにフォーカスしていく、「プレミアム広告」は“人の記憶に残る広告”を提供するというふうに整理していきました。
MZ:この図ではリニューアルの前と後で広告商品の棲み分けがどう変わったかを示しています。リニューアル前のこの真ん中のだぶっている部分は……
絹田:混ざっていたんですね。従来のディスプレイ広告のあとに、ディスプレイアドネットワーク、パフォーマンス系のディスプレイ広告が出てきました。その過渡期にあいまいな部分が出てきたんです。認知のはずが獲得に集中してしまったり、逆に枠売りということで従来のディスプレイ的な概念が入ってしまうとか。
今回のリニューアルでは「お客様が本当に求めている広告商材とは何か」というところで、きちんと広告商品の棲み分けをする。プロダクトはそれに沿って進化しますし、売り方もこれに沿ったかたちでお届けするということになります。
MZ:図のようにこれだけはっきり分かれると、わかりやすい反面、運用面で難しい部分も出てくるのではないでしょうか。
高田:プロダクトの方向性と営業体制というのはやはり違います。広告商品は専門特化していきますが、お客様に対してセールスするときは、マーケティングソリューションカンパニーとして、ワンストップで提供しなければならない、そこは協働してやっていく。営業担当者はいろんなことを知らないといけないとので、かなり大変だと思います。