熟練性を可視化する2つの方法
これらのように、熟練性の可視化には「行動の結果そのものを可視化すること」、そして「行動の結果が意味することを可視化すること」の2通りの表現方法があります。
「行動の結果そのものを可視化すること」
例:ナイキプラスの総運動量や目標達成日数、ハフィントンポストのコメント数
「行動の結果が意味することを可視化すること」
例:ナイキプラスのトロフィー、ハフィントンポストのバッジ
後者のほうが抽象度が高くなりますが、Webサイトの中での行動を通じてユーザーがどのようなことに熟練していくのかをより強く感じられるのは、こちらのやり方です。数値で表現してもいいですし、トロフィー・バッジのようにビジュアルで表現してもいいでしょう。
顧客の熟練性はこのようにして可視化することが出来ます。可視化することが出来れば、顧客側にどのような行動を取ればより熟練性が高まりやすくなるのかを教えたり、導くことでユーザー自らそうした行動を取りやすくなります。
特別な関係性をユーザーが実感できる仕組み
次は、関係性を高めるためのゲーミフィケーションを見て行きましょう。ここでいう「関係性」は顧客とサービス提供者の関係性という意味で捉えることにします(※)。このような関係性の表現はゲームの中には直接的にはあまり見ることができませんが、熟練性と同じく抽象概念の可視化はゲームが得意とする所です。こちらも実際の例を見てみましょう。
※顧客同士の関係性を高めるというようなゲーミフィケーションのデザインもあり得ます。競争・協力のようなソーシャル性を持たせることなどの手法がありますが、ここでは簡略にするため取り上げていません。
「カミリオネア」という米国のミュージシャンのファンサイトには、様々なゲーミフィケーションの要素が取り入れられています。このサイトで写真やビデオを投稿したり、ソーシャルメディア上でシェアをしたり、コメントをつけるといった行動をとると、サイト内ポイントが貯まっていきます。このポイント数に応じて、下記のような特別なリワードを獲得することができます。

・ランキングトップのファンは直筆サイン入りTシャツなどの特別なグッズがもらえる
・カミリオネアと電話で30分話せる権利の入手に応募できる
・カミリオネアがツイッターでフォローしてくれる
また、「VIP」という称号が用意されており、特定の条件を満たすとVIPに認定されます。VIPになると、カミリオネアとビデオチャットができたり、限定パーティーに参加できる権利が得られるといった特典を得ることができ、ユーザーは特別な関係性にあると感じることができます。
関係性そのものを数値で表現しているわけではありませんが、実質的にアーティストとの関係性の深さを実感できるような仕掛けが提供されています。ファンにとっても、特別な関係性を体験ができるサイトになっています。