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Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

「自社が持つ全ての顧客接点をオウンドメディアと定義」
大和ハウスのオウンドメディア戦略


自社サイトにはレスポンシブWebデザインを採用

 ── 自社サイトについてはいかがでしょうか。PCサイトを拝見したところ、現在主流になりつつあるタイルデザインによる視認率の向上や、ユーザーが使いやすいユーザーエクスペリエンスを重視されているのかなという印象を持ちました。

 2008年にサイトリニューアルを行いまして幅を720から980に広げ、ロジックはレスポンシブWebデザインを採用しております。タブレット端末で閲覧頂いても、タイルデザインがレスポンシブで動くように設計をしております。

 マンションページ、住宅サイトもレスポンシブWebデザインに組み替えてリニューアル予定です。お客様が住宅展示場やモデルハウスに足を運んでいただくのに必要な要素が、全て網羅されている環境を作らないといけません。まだまだ改善の余地はあると感じています。

 Webサイトから住宅展示場などリアル接点にお越しいただく方はログが取れないので、計測ができません。そのため、地図の印刷ページの閲覧数やスマホの地図ページの閲覧数を、送客効果を測る指標の一つにしています。場所を知らないと展示場へお越しいただけませんからね。

 ── 自社サイトへの集客は各種ネット広告を利用されると思いますが、マーケティングテクノロジーの活用状況について教えてください。御社のアトリビューション分析が話題になっています。

 はい、昨年のリリース発表のとおりですが、アトリビューション計測をグループ企業である伸和エージェンシーとメディアマインド様、アクティブコア様と開始しております(リリース詳細)。現在取り組みの最中となりますが、ビュースルー効果が高いメディアがわかりはじめています。

 ── 計測を重ね、最終的には自社のDMP(デジタルマーケティングプラットフォーム)として機能させていくイメージをお持ちでしょうか?

 というよりは、自然とプライベートDMPサービスが登場してくるのではないでしょうか。しかし、まだまだデータの絶対数が足りないですね。

アトリビューション分析実施や掲載メディアの有効性を正確に評価し、最適な媒体選定から予算配分の管理を行い、広告メディアやバナー広告クリエイティブの最適化をめざしてマネジメントを開始。プライベートDMP化する可能性が高い
アトリビューション分析実施や掲載メディアの有効性を正確に評価し、
最適な媒体選定から予算配分の管理を行い、
広告メディアやバナー広告クリエイティブの最適化をめざしてマネジメントを開始。
プライベートDMP化する可能性が高い

ブランドセーフティーの観点は持っているのか

 ── 最後にオーディエンスターゲティングについてです。現在、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)が増加傾向にあると感じますが、その環境下でどのような戦略を持って広告展開をされていますでしょうか。

大和ハウス工業株式会社 大島茂 氏

 日本にはオーディエンスデータを購入する環境がないのと、ヨーロッパの規制動向を見ていると、クッキーベースのターゲティング戦略に少々リスクを感じています。使いたいのはやまやまですが、悩ましいですね。

 そもそも、広告は“広く世間一般に告げ知らせること”という意味があります。例えばリターゲティングをたくさん実施すると、一定期間はCPAを低くすることは可能だと思いますが、逆にパイを広げるような効果はありません。興味を喚起する施策、つまりブランディング施策とターゲティング施策の両面が広告には必要で、そのバランスの取り方が非常に難しいと感じます。

 また、昨今の潮流の中で意外と抜け落ちているのが、ブランドセーフティーの観点です。実際、DSPを使って広告配信することは本当に安く済むのでしょうか?

 確かにターゲットを絞って広告配信することはできますが、実は自社のブランド価値を損なう悪質なメディアに掲載される可能性もあるのです。必要なメディアへの配信のみを計測した場合、実はDSPはコスト効率がそれほどよいわけではないかもしれません。

 私の知る限りグーグルが提供するGoogleディスプレイネットワーク(GDN)やフリークアウトのDSPは配信先のホワイトリスト作成が可能なのですが、もしそれができないとなると広告主、特にブランドを大切にする会社は安心して広告出稿ができませんよね。つまり、ホワイトリストが作成可能な前提で色々なDSPを使用してみないことには、本当の広告単価はわかないのではないでしょうか。現状では、ブランドセーフティーの観点が欠落したまま配信されているケースが散見されると思います。

 広告主が許可した掲載面だけに広告が配信されたのかを確認するための手法を、アドべリフィケーションと呼びますが、今後もデジタル広告が発展・普及していけばいくほど重要なキーワードとなるのではないでしょうか。アドベリフィケーションについては、また機会を改めてぜひお話させてください。

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/04/19 12:19 https://markezine.jp/article/detail/17478

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