“翻訳された感”もご愛嬌?
今回、残念ながら寄付へのコンバージョンを大幅に上げるようなメッセージ改善はできなかった。とはいえ、さまざまなバージョンで寄付をお願いしていて、当然そんなにすんなり行くはずもないので今後も取り組みは続けていくのだけど。皆さんはWikipediaのメッセージを見てどう思い、なにを感じますか?わたしも、僕も、寄付しなきゃ、と思うかしら。
例えば、寄付をお願いするメッセージに、「寄付してくださる方の平均金額は3000円です」という一文がある。これを読んで、「たった3000円でいいんだ。じゃあ3000円寄付しよう」と思う方もいれば、「平均が3000円ならそれ以上でないと申し訳ない」と思う方もいる。
また、「そもそもなぜWikipediaに寄付してくださったのか」という質問に対しての答えもさまざま。例えば、
- 信頼できる情報があって、広告が一切出ないことに価値を感じるから
- 半年に一回くらい寄付のメッセージが表示される感覚で、年会費を払っているような感覚だから
- サイトの利用者として当然の義務だと思うから
- 寄付メッセージをみて、その運営にかかる労力を考えると感謝したくなったから
- 頻繁に使っていて非常に便利に使っている、その対価を払うため
- 寄付が集まらず、もしWikipediaがなくなってしまったら困ると思ったから
その他に今回のユーザヒヤリングで出た意見にはこんなものがあった。
- コーヒー一杯分というフレーズは、金額の目安としてわかりやすくていい
- 一冊の本を買う3000円という金額と、Wikipediaから得られる情報量を比べてもらえばいかに3000円がリーズナブルかわかってもらえるのでは?
- 寄付メッセージの文字が小さ過ぎて、そもそも読もうと思わない
- コストの内訳があればもっと納得して寄付できる
- メッセージの「知の神殿」という言葉には違和感がある、代わりを考えるなら「みんなで築く知性のデータベース」はどうか
- 「知の神殿」の代わりに「知のテーマパーク」はどうか
- 文章そのものより、今、年に一度のタイミングで寄付するということを明確に
- 寄付の達成額をグラフなどで視覚的に明示する
- あまり流暢な日本語にするより、もともと海外のサービスで、英語を翻訳したことがわかるくらいの日本語の方がいい
などなど。確かに海外のサービスなんだなってことがわかるくらいの翻訳の方が愛嬌があったりする。少し前にDropboxから来たニュースレターの件名は、「Dropboxは日本語を勉強しています」だった。可愛い。萌える。また写真サービスの500pxは、本来“You”(あなた)となるべきサイトのメニューが、やや乱暴な「お前」と訳されていたり(笑)。

これがネット業界の人にだけ面白い誤訳なのか、広い人が愛嬌を感じるものなのかわからないけれど、この辺の絶妙なゆるさはある気がする。