スマートフォン広告市場の3つの課題
現在、ターゲティングの技術が進歩し、獲得したいユーザーに効果的にアプローチできる策が続々と誕生している。一方で、同調査から興味関心に合ったものであれば、ユーザーの側も歓迎していることが明らかになった。
その調査では「あると嬉しいスマートフォン広告は」という問いに対して43%の人が「自分の趣味嗜好に合うもの」と答え、1位となっている(次いでクーポンなどのお得情報・38.2%、年代性別職業などの自分の属性に合うもの・27%)。
「広告を最適化すれば、より多くのユーザーに接触できる可能性がまだまだ広がっている。とはいえ、手法やプレーヤーがあまりに多いため、実際どうすればいいのか迷う広告主が多いのも現状」と中村氏は語る。そしてその状況を踏まえて、スマートフォン広告市場の課題として次の3つを提示する。
1.広告主の未形成
2.フラグシップ媒体の不在
3.多様かつ複雑な配信ルール・規制
「まず、一つ目としては広告主層の未形成が挙げられる。スマートフォン広告市場が伸長しているのは事実だが、まだPC広告ほど広告主のバラエティがなく、一部の業種が大量に投下している状態だという。ロングテール型の出稿を行う広告主も少ない。次に、フラグシップ媒体の不在。メディアサイドも未だ群雄割拠の状態で、リードするプレーヤーがいない。そして三つ目は、多様かつ複雑な配信ルール・規制だ。特にAndroid OSに比べてiOSの規制は厳しく、端末IDの利用不可の問題や、OSで異なるトラッキングルールなどが課題になっている。また、個人情報保護の観点から、Android OSにおいても現在では端末IDの利用を控える風潮が主流だ」(中村氏)
スマートフォン広告の効果測定の大きなハードル
この3つ目の課題が、スマートフォンの広告効果測定にあたって大きなハードルとなっていると中村氏は語る。
「PCの場合はOSにとらわれずトラッキングが可能で、Webブラウザのみを追えばよかった。しかしスマートフォンはOSごとの規制の違いに加え、Webかアプリかというアクセスの違いがあり、複雑を極めている。これを一元化して効果を把握し、最適化を図っていくのは至難の業だ。
WebならばCookieを利用してコンバージョンを追えるが、アプリの場合は前述の端末ID利用の問題があり、同じように測定できない」(中村氏)
・端末IDの問題
・アプリ面広告
・iOS/Androidで異なるトラッキングルール
また端末IDに関しては、別の問題もあるそうだ。日本と海外とではその捉え方に差があるため、スマートフォンアプリの市場は言語の壁さえ超えればグローバルに広がっているにもかかわらず、海外のプレーヤーと同等に肩を並べるのが難しいのだ。
「実は、先ほど述べたような端末IDを回避する方法を取っているのは日本のみで、海外では、そこまで端末IDの利用に厳しくない。また、アプリを市場に出すことはできても、次にマーケティングや広告出稿のハードルが待っている。日本では広告会社ごとにトラッキングシステム機能が異なり、それに任せていることが多いが、海外では代理店文化が薄く自社で出稿することの方が主流。これらが相まって、グローバル展開がしにくい現状がある」(中村氏)
2017年までの想定推移・広告商品別広告費など発表!
スマートフォン広告市場調査結果はCyberZホームページに掲載。