知りたいことが書いてない…… 読者が困惑する貧乏性ボディコピー
貧乏性コピーは、キャッチフレーズよりボディコピーに多い。文字数が多いので、たくさんのことを言えると思って、ついついアレコレ盛り込もうとする。僕も昔、そんなコピーを書いてダメ出しされていた。
よい情報だからなるべく多く伝えたいという、いつも大盛りにしてくれる学食のおばちゃんのような気持ちになってしまうんだね。誠実な人ほどやってしまいがちだ。
次はキャッチフレーズ(前ページのBを太字で示した)とボディコピー(というには文字量は少なめ)の組み合わせの例。どこが違うだろうか。
大きな画面でネットも動画もサクサク。
1,136×640の高精細4インチ画面、新型チップとLTE対応の高速通信によってネットも驚くほど快適。さらにHDビデオ撮影もできるカメラ、通話は最大8時間、その他高音質イヤホンも付属。重さ112gの超軽量ボディ。
大きな画面でネットも動画もサクサク。
1,136×640の4インチ画面は1インチ当たり326ピクセルという驚異的な密度、そのため画像も動画もアプリもゲームも鮮やか。その上、新型チップとLTE対応の高速通信により、ネットもダウンロードも驚くほど快適です。
上は、貧乏性ボディコピー。キャッチフレーズについて詳しく説明するのではなく、ほかの訴求ポイントまで詰め込んでいる。今回の例は100字くらいなので煩わしさはあまり感じないかもしれないが、これが200字くらいになると「うざい」と思うだろう。
下は、キャッチフレーズで言ったことを証明して納得させるアプローチ。訴求ポイントを掘り下げていくイメージ。読み手ははじめにキャッチフレーズに反応するのだから、それについてボディで補足してあげないと読み手は困惑する。知りたいことに応えてくれていないと思ってしまうのだ。
リスティング広告に興味を持ってクリックしたら、関係ないランディングページが出てきてガッカリすることがある。それと同じことだ。
言いたいことを入れ過ぎると、読み手の興味を散漫にしてしまい、かえって印象を残すことができず、コピーの目的である納得や説得が機能しなくなる。メッセージには一貫性を持たせないと信用されないよ。
人が一度に記憶できるのは数字で7つくらいと言われるが、広告の類なんてメリットで1つ、2つくらいと思っていたほうがいい。
せっかく苦心して作るコピーだ。情報が詰め込めないことより、無視されるほうがずっともったいない。そう思いません? さぁ、今日から貧乏性コピーを絶滅させましょう。貧乏性よ、さっさと消えろ~。
今回のまとめ
- 言いたいことを一度に盛り込むのが貧乏性コピー
- 貧乏性コピーは内容はてんこ盛りだが印象に残りにくい
- 特にボディコピーは貧乏性になりやすいので注意
●キーメッセージのつくり方(高橋宣行 /ディスカヴァー・トゥエンティワン)
元博報堂の制作部長、コピーライターの著者によるメッセージの作り方です。会社のスローガン、商品名、キャッチフレーズといったメッセージはどのような思考で作っていくのか、スターバックスなど印象的なメッセージを持つ企業を例に紹介。言葉の発想術が学べますよ。
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