もったいない精神あふれるコピーこそ、もったいない!
21世紀になろうが、インターネットが世の中を変えようが、アドテクノロジーがマーケティングを進化させようが、いっこうに変わらないものがある。<貧乏性コピー>、あるいは貧乏性広告のことだ。貧乏性、フォーエヴァー。
貧乏性コピーとは何か? 多くのことを一度に伝えようとして、何ひとつ印象に残せないコピーのことだ。何も伝わらないコピーであり、目的を果たせないまま消えていく費用対効果の低いコピーでもある。
なぜ絶滅しないのか。“だってモッタイナイんだもん”、この心理に尽きる。雑誌広告を担当した頃、貧乏性広告づくりに加担してしまったことがあった。はじめに訴求ポイントを絞った案をこしらえたはずなのだが、世に出た時は、訴求ポイントが盛りだくさん詰め込まれたものに変わり果てていたのだ。
原因は分かっている。「みんなの意見を聞いてみます」とか「各部署に確認してもらいます」など、面倒くさい意思決定プロセスのおかげで、“アレもコレも言いたい”というほぼ全員の意見を反映した、幕の内弁当みたいな広告になってしまうのだ。コンセンサスは本当に恐ろしい。
せっかく高い媒体費を払うのだから、1つだけ言うのはもったいない、なるべくたくさん言った方がお得でしょ、と担当者は冗談を言うが、意外に本心かもしれないと思ったものだ。しかし、貧乏性広告はメッセージの貫通力や浸透力が弱く、お得どころか大損する可能性が高い。
たとえば、あなたがお店で商品についての説明を求めたところ、店員は一気にアレもコレもとありったけの特徴を話し出した。きっとあなたの頭は混乱し、せいぜい、最初の1つか2つくらいしか覚えられないはずだ。いや、結局どこが優れているのか、まったく分からないこともあり得る。それと同じことが起こるというわけ。
無視されがちな広告の類ならなおさら。ことWebの読み手には「うざい」と一蹴されることを覚悟した方がいい。ここでWebの読み手がいかに冷たいかおさらいしてみよう。
- Web上ではざっと見て、興味があるキーワードがあれば拾い読み
- 8割近くの読み手は流し読み、じっくり読んでくれない
- 月並みなページの場合、文章の20%程度しか読んでくれない
- 紙媒体に比べて、読むスピードも遅く、Webの文章を読むのは苦手
ね、とてもシビアでしょ。こんな状況ではアレも言わないと、コレも言わないともったいない貧乏性のコピーでは歯が立たない。<もったいない>はエコロジーを象徴するキーワードとして世界で注目されたが、コピーでは命取りになる。
言葉のコミュニケーションでは、基本的に一度に弾が飛散するショットガン型より、一発で仕留めるスナイパーライフル型の方が命中しやすいのだ。弾は1発1発大切に使おう。特にWeb上ではね。
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