「オレってすごくね?」はだいたい嫌われる
今回のテーマはドヤ顔コピー。以前はオレオレ・コピーと名付けていたのだが、<オレオレ詐欺>が<母さん助けて詐欺>になったのを機に変えた(というのはウソです)。どちらにしても、サギ同様にこのコピーにも消えてほしいのには変わりない。
ドヤ顔コピーとは、ドヤ顔(優越感丸出しの得意げな表情)でオレが!オレが!と得意げに自慢しまくるコピーである。一応、優れていることを伝えようとはしている。しかし、相手にとって得になる、価値になる部分はなおざりだ。表現においても大げさな形容詞が目立つ、自画自賛のコピーだ。
キャッチフレーズだとこんな調子……。
すごい吸塵力と驚異の軽さ、
もう他のハンディクリーナーは使えない。
自慢話ばかりする人は嫌がられるが、コピーだって同じ。ただでさえ避けられるのに、嫌がられては無視されるしかない。優れたことを伝えるコピーなら、けっこうなことじゃないかと思うかもしれない。間違いではないよ。問題なのは、自慢している内容と言いかたである。
たとえ優れていることでも受け手にとって得する情報でなければ、それはうっとうしい自慢にしかならない。たんなる「オレってすごくね?」というメッセージは、関心のないものにとってはノイズなのである。
<宣伝する側が言いたいことは、必ずしもお客が知りたいことではないかも>。コピーを書くときに注意するべきことのひとつだ。先人たちも含め、たいていの広告制作者たちはこの問題に悩まされてきた。
自慢したい気持ちは分かるが、それでは消費者との間には深くて暗い、埋めようもないギャップが生じてしまうことが少なくないのだ。名コピーライターの仲畑貴志さんは著書『みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。』の中でその原因をこう語っている。
開発に金を掛けた部分や、加工に高度な技術を要する部分をセールスポイントにしたくなるというクセがメーカーにはしかたなくある。残念なことに、金を掛けた部分、高度な技術を使った部分が、必ずしも消費者の欲求とは一致しないことも多いのである。
僕もメーカーの仕事は多かったのでよく分かる。<世界最薄>とか、<クラス最高のパフォーマンス>というセールスポイントは商品の素晴らしさを大きく見せてくれるし、メッセージの強いフックになる。ニュースバリューとしても魅力的だ。自慢してなぜ悪い? しかし、ドヤ顔コピーはこうした状況から生まれてくる。そして読み手を無視して誤爆するのだ。
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