顧客とのリレーションづくり
CRM(Customer Relationship Management)という言葉は広く認識はされているけれど、実際には机上の概念に留まっていると話す新田さん。そもそも大手企業ですら、顧客情報をきちんと取得、把握できていないことが多いのが現状。ファストフードの王者マクドナルドでさえ、Androidで使えるFeliCaのかざす会員証があるくらい。でも、そもそもiPhoneがNFC(近距離通信)に対応していないから、結局完全に顧客情報を把握することができなかったり。

ユーザはO:derにFacebookを使ってログインする。だからFacebookに登録されている名前や性別、生年月日といった情報を把握することが可能(公開するかはユーザの任意)。お店側はお客さんについてもっと知ることができるし、特定のお客さんについてメモを残す欄も。例えば、「○○さんはネギが苦手」なんて残しておけば、どの店員さんが応対しても苦手食材を把握してもらえる。たまにしか行かないお店なのに顔を覚えていてくれて、お久しぶりです!って笑顔で応対してもらえるとやっぱり嬉しい。O:derはそんなお客さんとのリレーション構築にも役立つのです。
リアルタイム&ターゲティングされたクーポン
O:derでは、把握した顧客情報をベースにして、臨機応変にクーポンを出すことができる。
「たとえば来店回数に応じて、今日はレディースデイだから女性のお客さんにランチにデザートが無料でつくクーポンを出しましょうなんてことができます。これまでは、初回来店を促すクーポンの方が多かったですが、もっと大事にしたいのは5回、10回と来店してくれているお客さん。そんな常連さんに対して、もっとお店を好きになってもらうための特典を提供できる。」

お客さんにはプッシュ通知でクーポンが届く。もちろんプッシュ通知するときは、そのセグメントへのメッセージや画像、クーポンの有効期限もカスタマイズ可能。フィアットカフェは女性客が多いから、月曜に開催される女子会でドリンクサービスしますなんてクーポンをプッシュで送れる。また雨がひどい日のクーポンなど、リアルタイムの天気やお店の状況をもとにプッシュで働きかけられるのはいい。
O:derが素敵なのは、そのユーザインタフェースや使い勝手がすごくシンプルなこと。店舗側が使うアプリも実際に見せてもらったけれど、無駄な要素がないから迷いようがない感じ。お店の店員さんのリテラシーもさまざまだから、そんな幅広いお店で導入できるよう工夫しているそう。
現在はiPhoneのみで提供されているけれど、9月上旬にはAndroid版もリリースされる予定。大がかりな導入などなく、既存のオペレーションにのせられるからスモールビジネスにも最適。また、大手チェーンなどとも提携の話を進めているそう。また地方の商店街でスタンプラリー的に活用する予定もあるんだとか。たしかに、消費体験って、ネットで買い物をするようになりました、くらいしか大きな変化がない気がする。アプリひとつでオフラインの消費体験を変えることにチャレンジするO:derには今後も注目です。