広告主の業種の偏りを解消し、広げていくことが課題
2つ目のパネルディスカッションは、題して「スマホ×アドテク業界予測 2013 to 2014」。mediba菅原健一氏をモデレーターに、CyberZ市川陽氏、ファンコミュニケーションズ加藤正人氏、Twitter Japan味澤将宏氏、ヤフー友澤大輔氏が参加した。

「細かい技術というよりは、今後何が変わっていくのか、パネリストの皆さんが何に注目しているのかを語ってほしい」と菅原氏。議論は各社のスマホ広告事業の現状から、テレビとツイッターの関係、動画広告の展望など多岐に及んだ(※以下、モデレーター菅原氏の発言は傍線)。
―― まずは自己紹介を兼ねて、各社の現在のスマートフォン広告事業についてお話しいただけますか?
加藤:当社、ファンコミュニケーションズはPCとフィーチャーフォン、スマホの領域でアドネットワークを展開しています。スマホ向けではCPC課金の「nend(ネンド)」とCMP課金の「Re:cord(リ・コード)」の2つのアフィリエイトを運用し、私はnendを担当しています。
現在、稼働広告主とメディア数は順調に推移していますが、広告主はデジタルコンテンツのプロバイダに偏っているため、より幅広い広告主が使えるサービスにしていくのが課題だと感じています。
市川:本イベントの前半で当社の中村からも講演させていただきましたが、CyberZはスマホ専業の広告代理業を展開しており、私はF.O.Xという効果測定ツールの担当部門役員を務めています。当社でも広告主の偏りは感じていますが、主にPCサイトへの広告出稿を中心にしている広告主の大半がまだスマホへの投下を躊躇しており、我々も適したサービスを提供しきれていないという思いはあります。
広告主がよりスマホ広告市場に予算投下できるフォローを
味澤:私はツイッタージャパンで広告事業を統括しています。ジブリ映画「天空の城ラピュタ」の「バルス」同時ツイートに象徴されるように、今スマホ画面はテレビに対するセカンドスクリーンとして使われています。そうした状況を受けて、テレビとツイッターとを関連させた広告ソリューションをアメリカではすでにローンチしており、日本でも試し始めています。
友澤:私の所属するマーケティングイノベーション室では、広告主やエージェンシー、サプライヤーに当社の商品を使いこなした事例を展開することがミッションです。今、スマホからのヤフーへの流入がとても増えていますが、集客しても例えばランディングページがPC用だと結局CPAが低く「効果がない」と判断されてしまうので、LPの整備やアプリ制作ツールの無料提供など、広告主へのフォローをしながらスマホの広告市場の拡大に注力しています。
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー
マーケティングイノベーション室 室長 友澤 大輔氏(写真右)

―― ユーザーが拡大する勢いに対して、まだ広告主の新規参入や市場拡大には大きな余地があるといった状況ですね。参考までにカオスマップを持ってきましたが、プレーヤー同士の統合などこの先の展望についてはいかがですか?
友澤:今はまだ市場が成熟していないので、かなり入り組んでいますね。カオスマップのようにテクノロジーありきで分類し可視化していくのも大事ですが、それよりもテレビやリッチアドとスマホとの関係を考えたりすることのほうが、重要だと思っています。