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MarkeZine Day 2014 Spring(AD)

「キャンペーンマネジメントシステムはメールマーケティングの進化形」顧客視点のクロスチャネル展開を実現するフェーズに移行せよ

 3月6日(木)に開催したMarkeZineDay 2014 Springで、エクスペリアンジャパンの北村伊弘氏は「キャンペーンマネジメントは、メールマーケティングの進化形」と切り出した。「顧客志向のコミュニケーションを実現するキャンペーンマネジメントとマルチデバイスマーケティング」と題した講演にて、企業のマーケティングにおける基幹システムとしての導入が進む最新型のCMSと、その活用が解説された。

大きな分岐点を迎えているメールマーケティング

 90年代、顧客や潜在顧客に接触する手段として、多くの企業がメールの活用を開始した。会員登録を促してアドレスを収集し、メール配信システムでメルマガを一斉配信していた当時に比べると、チャネル横断的なアプローチや個々の顧客に合わせたシナリオ設計など、今日実現できることは格段に広がっている。

エクスペリアンジャパン株式会社 マーケティング部 北村伊弘氏

 「企業におけるメールマーケティングは今、新たなフェーズに突入している」と、エクスペリアンジャパンの北村伊弘氏は話す。

 アイルランドに本社を置き、世界90か国でサービスを提供するエクスペリアングループは、事業の4本の柱の一つとして信用情報や金融関連調査などとともに、マーケティングサービスを提供。日本法人であるエクスペリアンジャパンでは、消費者セグメンテーションデータ「Experian Mosaic Japan」をはじめとするデータ提供、データ分析・コンサルティング、そしてメール配信システムやキャンペーンマネジメントシステムなどのツールを、三位一体のソリューションとして提供しており、特に日本国内においては大手企業を中心に5,000件以上の支援実績を有している。

 キャンペーンマネジメントシステム(CMS)によってチャネル横断的なアプローチが柔軟に行えるようになり、まるで一人ひとりの顧客と対話するかのようなシナリオ展開も自動で実現できるようになった。「メール配信システムでも、One to Oneのレコメンドメールなど多様なアプローチが可能ですが、CMSへのシフトは、高機能化によってさらにアプローチの精度が高まること以上に大きな意味を持ちます」と北村氏。

既存のメール配信システムとCMSの違い

 「キャンペーンマネジメントの取り組みは、一つにはメールマーケティングの進化形として捉えられます。かつてのメルマガ一斉配信から始まって、性別などの属性ごとのターゲティングメール、それから相手に合わせてコンテンツを出し分けられるレコメンドメールと、メール配信も相当に発展してきました」と北村氏は振り返る。

 今、それはCMSの誕生により、シナリオに沿ったアプローチ、さらにメールに留まらずクロスチャネルでのアプローチへと進化している。「メールを送った相手のリアクションに応じて、メール以外のアクションを取ることも可能になっています。いろいろなチャネルをひとつのシナリオの中で組み合わせ高度なマーケティング施策を実行できるというのが、現在のフェーズです」と北村氏。

 既存のメール配信システムとCMSの違いを、もう少し詳しくみてみよう。CMSは、顧客マスターデータや購買情報、商品データなどを取り込んで一か所で管理するものだ。これまでサードパーティーで管理されていたデータの統合もできる。

 そうして出来上がった統合マーケティングデータベースから、自由に対象の条件抽出を行い、コンテンツを作成・管理する。その結果のトラッキングまで含めた一連のアプローチ、すなわち「キャンペーン」を設定しておき、さらに顧客のリアクションに応じてどのような対応をとっていくかというシナリオを設計する。

企業のマーケティングにおける基幹データベースを構築するCMS

 その後は、シナリオに沿って再度メールを配信したり、DMを送ったり、あるいはコールセンターへリストをアウトプットしたりと、クロスチャネルの展開へ。それに対する顧客の挙動が、またデータベースへ反映されていく仕組みだ。一方で、従来のメール配信システムはというと、まず基本的なチャネルはメールに限定され、シナリオもCMSほど柔軟には設定できない

 「ステップメールと呼ばれる、登録後1週目、2週目など時間軸を追って異なる内容のメールを送る、あるいは、お誕生日メールなどのような比較的シンプルなシナリオは実現可能です。しかし、そもそもメール配信システムは基幹システムに対する従属的な位置づけで活用されることから、ログ解析などのサードパーティーを取り込むことはせず、さまざまなデータソースを横断した抽出条件に基づくシナリオの作成までは行えません」

 ここで北村氏は、一例として5月に国内ローンチ予定の「Cross-Channel Marketing Platform」のインターフェースを紹介する。性別や購入額などの一般的なデータはもちろん、過去に特定のキャンペーンメールの受信量が一定量未満の人、特定のページへアクセスした人などの生のアクションデータまで含めて抽出条件を設定。そして、リアクションに応じてさらにどういうコミュニケーションを取るか、細かに設定していくことができる。

顧客接点を単一チャネルに限定するのは企業論理

 こうしたアプローチを包括的に管理できることが、“キャンペーンマネジメント”システムと呼ばれる理由だろう。北村氏は「キャンペーンマネジメントは、チャネルを横断したシナリオという意味で『クロスチャネルマーケティング』、またさまざまなシナリオを自動で実行させることが特徴である点から『マーケティングオートメーション』と言い換えることができますが、実現手段としてはいずれもCMSを指します」と補足する。

 このように、きめ細かなアプローチを効率的に行えるCMSは、当然ながら多くの企業で導入が進んでいる。現在でも、エクスペリアンジャパンでは「既存のメール配信システムと入れ替えたい」と相談されることも多いというが、北村氏は「メール配信システム同士の入れ替えということとは異なる」と指摘。

 「前述のように、CMSではあらゆるデータを統合し、マーケティングの基幹となるデータベースを構築できます。メール配信システムの場合とは異なり、CMSはいわばシステム面で中心的な役割を担うことになるので、そのために諸々の周辺システムの改修や、場合によって運用の在り方も考え直す必要があります。それらは企業がCRMにおける取り組みを新たなステップへと進めるために越えるべきことの一つです」

 また、北村氏は併せて「単一チャネルに限定された取り組みは、企業視点に終始せざるを得ない」と指摘する。現代の消費者は様々なチャネルをシームレスに行き来し、企業からのメッセージを受け取っている

アプローチ内容そのものを顧客視点に

 豊富なデータを基に、最適な内容とタイミングでOne to Oneのアプローチを図ると同時に、現代の消費者のメディア接触に適合したクロスチャネルによるアプローチを可能にするCMSだが、北村氏はこうした取り組みが「顧客視点にたったアプローチへの変化」であることを強調する。

 「CMS導入を検討する企業から、『メールの送りすぎを制御して離反を防ぎたい』とよく聞きますが、そもそも離反の根本的な原因は、送りすぎること自体というよりは、一方的な投げかけでコミュニケーションが成立していないことにあると考えています」

 メール配信システムでのアプローチは、企業が訴求したいことを訴求したいタイミングで伝える。対してCMSでは、ページ閲覧など顧客のアクションを起点とし、企業側がリアクションをし、そこから更なる顧客のアクションを誘発する。いわば対話のようなやり取りを成立させることを目的とする。「一回あたりのメールの効果を追求する旧来のメール配信と異なり、連続性をもったコミュニケーション効果の追求が可能になります」

 一方、CMSを活用する上では、あわせて考えなければならないこともいくつかある。北村氏は一例として3つを挙げる。

CMS活用の課題

1.デバイスへの最適化
2.ユーザーのプロファイリング
3.一意特定(異なるチャネルで接するユーザーが同一人物かどうかを特定する)

総合的にクロスチャネルマーケティングを支援

 例えば2012年6月、メールの開封デバイスとしてモバイル端末がPCを逆転したというデータが出された(米Litmus調べ)。こうした流れに対応するため、エクスペリアンジャパンでは、各デバイスに最適化したレスポンシブデザインを提案。同社が支援しているインナーウェア販売のピーチ・ジョンでは、スマートフォンで閲覧されるメールの表示を最適化した結果、クリック率が1.7倍、コンバージョンは1.2倍に伸張したという。

 また、一般的に非アクティブユーザーに関する情報量は少ないので、プロファイリングが難しい。同社ではこれに、消費者セグメンテーションデータ「Experian Mosaic Japan」を提供することで対応。「同データの日本版では、国勢調査にさまざまなデータを加えて分析し、消費者を14グループ、52タイプ、220分類にセグメントしています。これを用いることで、多くの情報量を得られていない非アクティブユーザーに対しても、プロファイリングおよびターゲティングが可能になります」と北村氏。

 ほかにも、さまざまなチャネルで接触するユーザーの中から、同一人物を一意に特定する技術や、CMS運用という新たなフェーズにおける企業内への早期のノウハウ蓄積など、CMSを活用するにあたり企業が直面する課題は少なくない。さらに日本市場は、フィーチャーフォンやモバイルキャリアへの対応といった特殊な状況がある。「それらを十分考慮しながら、クロスチャネルマーケティングにおける総合的なサポートを行っていく」と、北村氏は講演を結んだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/03/27 17:00 https://markezine.jp/article/detail/19431