リアルタイムに視聴者の声を表示した「BET Awards」
ケーブルテレビチャンネル「BET」は、毎年6月に、ミュージシャンなどを表彰する「BET Awards」を開催している。昨年は同番組で、Twitterでの発言をリアルタイムで壇上のスクリーンに表示したり(図の左)、番組の2週間前にリリースされた、Facebookのハッシュタグ機能を利用したり(図の右)といった取り組みがなされた。
特に前者は、視聴者から受賞者へのお祝いコメントをすぐに届けられたり、視聴者の感情がダイレクトにわかるため、非常に好評だったよう。
この番組に関連するつぶやきは3時間半の番組放送内で1,000万件を超えた。この数字は、オスカー賞・スーパーボール・グラミー賞に続き、2013年のテレビ番組では4番目に多いもの。もちろん、Facebookでも番組は話題になった。そのため、番組開始の4週間前から当日までの、自社アカウントの合計インプレッション数は4,900万回を越える結果を出している。
ツイートの連鎖が拡散を生んだ「Rose Parade」
コンテンツ制作会社の「Scripps Networks」は、「Rose Parade」というパレードの中継番組の事例を紹介した。この番組は放送開始時に、司会者がTwitterのハッシュタグを説明。番組中にリアルタイムで視聴者のツイートを表示していくというもの。
同番組のハッシュタグでは26,000件のコメントがあり、そのうち1,000件以上が実際に番組上で紹介されたそうだ。このようなツイートの公開は、想いの共有だけでなく、番組情報の拡散にも一役買ったという。なぜなら、自分の発言を紹介された人がさらに、「テレビで紹介された」というツイートや、画像をTwitter上に拡散させたのだ。チャド氏によると、最終的に約200万人が番組に関連するつぶやきを閲覧した結果になったとのこと。
また、拡散の裏には運営側の工夫もある。当日、運営はAdobe Socialを利用して、リアルタイムで閲覧・監視・返信をしていた。その際に、フォロワーが10,000人以上いるユーザーのセグメント作成していたとのこと。おかげで、大量の投稿から、インフルエンサーの発言をピックアップして返信することができたようだ。
新鮮な情報をソーシャルメディアから得た「CBS Local」
最後に紹介された「CBS Local」の事例は、2013年4月に開催された第117回ボストン・マラソン。この大会で爆発事件が発生したことは、記憶に新しいところだろう。ゴール近くで起きた爆発を、いち早く番組として紹介しのが、「CBS Local」だった。同番組はTwitterに流れる発言から異変に気づき、リアルタイムで状況を報告し続けたとのこと。そのため、事件が起きた4月15日から、2日後の4月17日までの間にソーシャルメディアからの流入が120万件を超えた。また290万人がライブ映像を視聴し、220万人がラジオを聞いたとのこと。
ワイナー氏は、ニュースを「新鮮な魚」と説明する。これは「翌日には腐ってしまい、意味が無いものになってしまう」ということだ。そのため、ニュースは過去のストックにあまり意味がなく、いかに早く世間に流れる情報を反映させるかが大切だと説く。だからこそ、ソーシャルメディアを傾聴し、情報をピックアップし、反映させることが重要とのことだ。