現在、デジタル広告は、Cookieやユーザーの行動データ、位置情報などを利用して、そのユーザーに関連のある広告(relevant advertising)を表示することが可能となっている。しかし、そうした情報を利用することはユーザーのプライバシー侵害につながる可能性がある。
Digital Advertising Alliance(DAA)のサミットで発表されたのは、「DAA mobile choice app」と「DAA mobile-optimized choice page」。それらはユーザーがモバイルアプリとモバイルウェブで、関連性のある広告を受け入れるかどうかを選択可能にする。
「DAA mobile choice app」は無料ダウンロードで提供するアプリ。ユーザーは、アプリ環境で表示される関連性のある広告の表示について、2、3回タップするだけで設定できる。
「DAA mobile-optimized choice page」は、DAAのデスクトップ向けの選択ツールを小さなスクリーン向けに使いやすくしたもの。ユーザーはモバイルブラウザに表示される広告をコントロールすることができる。
今回の発表を伝えるAdAgeの記事では、モバイル環境では基本的にCookieが機能しない点に注目。このため、DAAのアプリ開発は複雑なものになったという。このアプリのバックエンドには、同様のアプリを提供するGhosteryのシステムを採用。オプトアウトしたいモバイル広告プロバイダーを選んだり、すべての会社を一度にオプトアウトすることができるという。
DAAは、メディア、広告、マーケティングの業界団体が連携した米国最大の組織で、オンライン行動(ターゲティング)広告をユーザー自らコントロールするためのプログラムを2010年から展開している。DAAは、2012年にマイクロソフトがブラウザ「Internet Explorer 10」に、「Do Not Track(追跡禁止)」機能をデフォルトでオンにすると発表したことに対して、懸念を表明したことでも知られている。今回の2つのツールは、メディアやマーケターが、データを活用して広告効果を高める一方で、ユーザーがプライバシーを自ら守れる手段を提供するための取り組みの一環でもある。
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