離脱の原因を追及、コンバージョン40%増の例も
例えば通勤中、スマートフォンで旅行や出張の航空券を検索する。その結果が読みづらかったり、なぜかエラーが出てしまったりすると、面倒になって別のサイトへ離脱してしまう――。航空券に限らず、ユーザーとしてこんな体験をしたことがある人は少なくないだろう。
このような事態を防ごうと、今多くの企業がWebアナリティクスツールを導入している。無料のものも多いため、導入のハードルは低いが、実はそれで分かることは「どのページで離脱したか」だけだ。一体なぜ離脱したのか、どこを改善すればいいのかは、別途でアンケート調査を行うなどしてユーザーの声を聞かなければ分からない。しかも、それでもあくまで推察の域だ。
「顧客体験を本当に最適化するには、ユーザーが離脱した原因を突き止めて、それを確実に解決する必要があります」と話すのは、日本アイ・ビー・エム ソリューションコンサルタントの中西由紀氏(写真左)。
同社は“カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント・ソリューション”と銘打ったツール「Tealeaf」によって、グローバルですでに700社以上のオンラインでのコンバージョン向上に寄与している。
顕著な例では、イギリスの大手旅行代理店トーマス・クック・グループの予約サイトでコンバージョンが25%増、同じく旅行予約サイトのExpediaにてレンタカー予約のROIが40%向上するなど、大幅な改善が見られている。
ユーザーの動作をすべて記録・リプレイするTealeaf
Tealeafの特徴は、Web上の実際の顧客体験をリアルタイムで可視化すること。具体的には、ユーザーが何をどのように入力し、どの箇所にどのくらい時間がかかったのかをすべて記録して、それをブラウザ上で再現できるのだ。
ユーザーの体験を完全にリプレイできるので、何が原因で離脱したのかが分かる。また、その離脱の件数と、それによる損失額も“カート放棄金額”として算出されるので、優先的に対応すべき問題なのか、それともマイナーなトラブルなのかの判断もつく。
ほとんどの顧客は、何らかの面倒が発生してサイトから離脱しても、それを企業に伝えることはない。また、離脱してしまったユーザーにアンケートをとって原因を探るのも無理がある。そこでTealeafを使って実際の動きを追うことで、システム上の問題はもちろん、デザインやコンテンツの細かい部分まで改善点を洗い出し、着手の優先順位まで可視化するというわけだ。損失額が大きい順に着手すれば、すぐに目に見える成果が現れる。
「これが、Tealeafを“顧客体験管理”ソリューションだと位置付けている理由です」と中西氏。顧客体験の最適化をうたうツールはほかにもあるが、いずれも全ユーザーの記録ではなくサンプリングしたものなので定量化ができず、リアルタイム性もない。その点で、Tealeafには圧倒的な優位性がある。