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宣伝費ゼロで合計300万DL突破アプリの施策裏話

アイコンデザイン命、スクショでもうひと押し、アプリ名の選定…宣伝費ゼロで合計300万DL突破アプリのASO

アイコンのデザインに命をかけろ!

 アプリ名は、検索と視認性を兼ね備えたものにしましたが、やはり文字情報ですので、ぱっと見の好みの判断がされることはありません。

 ひと目でユーザーの心を奪う、アイキャッチという意味では、なんといってもアイコンの出来ばえがものをいいます。私たちは、アプリのマーケティングにおいて、最も大切な要素のひとつとしています。

 アプリのアイコンの役割は、どんなアプリなのかを伝えるモチーフ、そのアプリのもつ世界観などを瞬時に伝えることにあります。女性ユーザーを意識しているのであれば、徹底的に「かわいい」「おしゃれ」「かっこいい」などにこだわって作るべきです。

 なぜなら、アイコンがいいだけで、たとえそのアプリを使わなくてもホーム画面に置きたい、アクセサリー感覚でダウンロードする傾向のユーザーも多いからです。

 男性の私は、当初理解不能でしたが、女性のみなさんは、かわいいものやおしゃれなものを見るとテンションが上がるらしいです。

 たとえアプリのアイコンといえども、自分の身近にあるものはファッションアイテムのひとつです。これをアプリベンダーの立場で考えると、ナンパ(とりあえずアプリにさわってもらう)のための道具なんですね。

 さて、絶対におろそかにするわけにいかないアイコンのデザイン、どうやって女性のニーズに応えたらいいのでしょうか?

 私たちが行ったのは、人気のアプリや競合のアプリをAppStoreで調査することに加えて、ホーム画面やアプリのショートカットのアイコンをお気に入りの画像にカスタマイズするアプリ「CocoPPa(ココッパ)」さんの調査です。このサービスでは、ユーザーが投稿した画像をアイコンにすることができ、女性ユーザーに絶大なる人気を誇っています。

 CocoPPaの人気アイコンをひたすら見まくって気がついた要素は「手描き」「ヴィンテージ」「多色グラデーション」「アナログ感」というものでした。

 AppStoreの女性向け人気アプリも同じような傾向にあったのですが、当時CocoPPaにあってAppStoreの人気アプリにない要素が「手描き」だったのです。

 「手描き」というのは、私たちにとって、すごく重要な要素となりました。アプリの作り手は、ITリテラシーが高いため、なんでもコンピューターで作るという傾向にあるのではないかという仮説をたてました。

 そして、アイコンだけでなく、写真を装飾するスタンプ画像も、手描きのものを多く収録することにしました。当時、競合では手描きスタンプを提供しているところは少なかったからです。このねらいは見事にあたり、手描きテイストはユーザーに支持されました。

 「手描き」のことで少し脱線してしまいました。アイコンの話に戻ります。方向性が決まった川野辺くんは、さっそくデザインをして、奥さまに見てもらうというプロセスに移ります。

 このデザインの評価時に最も重要なのが、アイコン単体で見るのではなく、実際にユーザーの目に触れるシーン、つまりApp Storeやホーム画面で映えるかどうかです。

 アイコンを作ったら、ストアの同カテゴリランキングのスクリーンショットに貼付けてみてください。ぜったいに修正したくなるはずです。

 iOS7から、App Storeの背景は真っ白になりましたので、明度や彩度を想像より高めにしないと、暗い印象を与えがちです。スクリーンショットに貼付けるときは、先に説明したアプリ名案もちゃんと入れると、実際にユーザーが見る絵面になるのでよいでしょう。

アイコンは、App Storeに並んだ時や、
ホーム画面で競合と並んだときでも見栄えよくなっているかを評価する
アイコンは、App Storeに並んだときや、ホーム画面で競合と並んだときでも見栄えよくなっているかを評価する

 アプリ名とアイコンは常にセットで、かつユーザーのApp Storeでのファーストビューとなります。

 ここで離脱するユーザーを如何に抑えるかで、最終的にインストールへ導く絶対数が大きく変わります。いくらアプリの出来がよかろうとも、インストールしてもらわなければその良さは伝わりません。

 私たちは、アイコンとタイトルは企画当初に暫定的に決定しますが、アプリ自体の開発中も常に検討・変更を重ね、リリース直前ギリギリまでチューニングを行います。これがベストだと思えるまで魂を込めて作り込みます。

 ちなみに、アイコンのカラーについてもこだわりがあります。女性向けアプリではよくピンクが使われることが多いのですが、私たちはこの色は極力避けています。

 ユーザーは多くの写真加工アプリをインストールしている可能性が高いです。たとえば、ホーム画面の「カメラ」フォルダにたくさんの写真加工アプリを入れて管理しているとします。もし、ピンクのアイコンのアプリがたくさん並んでいる状態なら、私たちのアプリを見つけにくくなり、起動されなくなってしまう恐れがあるからです。

スクリーンショットで背中を押す

 アプリ名で検索され、アイコンでキャッチして、次なるユーザーとの接点は、スクリーンショット画像です。

 これは複数枚設定しますが、1枚目は最初にユーザーの目に触れるため、いちばんの魅力やメインとなる機能、世界観を伝えます。レコードとかCDのジャケットみたいな感じですね。

 ここですべての機能を詳細に説明してしまうと、逆に野暮ったくてめんどくさそうな印象を与えかねません。私たちの場合、1番伝えたい「写真をおしゃれに加工できる」というのを絵だけで表現できたので、アイキャッチにとどめました。

 無料アプリの場合、ここで気に入ったユーザーはすぐインストールするはずです(ジャケ買い)。2枚目以降では役割が少し変わり、機能や魅力をしっかり説明してユーザーの期待に応えるアプリかどうかを判断してもらいます。

スクリーンショット1枚目はアイコンの延長線上として世界観を強く伝える
スクリーンショット1枚目はアイコンの延長線上として世界観を強く伝える
2枚目以降は納得していただくための説明
2枚目以降は納得していただくための説明

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アプリの説明文ではなるべくたくさんの情報を伝える

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/20591

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