紙×iPadで新しい音楽との出会いを演出
大塚製薬の「POCARI MUSIC PLAYER」は雑誌「Swich」に見開きの広告として掲載された。しかし、普通の雑誌広告と違うのは、アプリダウンロードなどをせずに音楽を聞ける広告だということ。広告には切り取り線のついた、3枚のレコード型の紙がレイアウトされている。レコードを切り取って、特設サイトを表示したiPadの画面に置くだけでミュージックビデオが流れるのだ。
デジタルとアナログが融合した新鮮なプロモーションは、インターネットを中心に話題が拡散。雑誌は100,000部発行されたが、出稿額の1,750%におよぶ広告効果を達成したという。また、D2Cが主催するコードアワードにて、デジタルメディアとの連携で展開されたマーケティングコミュニケーションにおいてインパクトや斬新性、メッセージの訴求力が目立つ施策に贈られる「グッド・ユーズ・オブ・メディア」を受賞している。今回、同企画を担当した大塚製薬の上野隆信氏に詳しい話を聞いた。
老舗ブランドだから求められる「新しくて面白い」
「今まで見たことがないような、新しくて面白いことをしたいと常々考えていました」企画を担当した上野氏は語る。大塚製薬のポカリスエットは2014年で販売開始から34年目。発売から長い時間が経っている。そのため「工夫をしなければ、ブランドについてユーザーから古いと感じられてしまう」という問題意識を抱えていた。また、広告に対するユーザーの対応に変化が出て来たと感じていたという。「広告だと分かるとすぐに避けられてしまいます。しかも、情報が溢れているからキャッチ—なことがないと見てもらうこともできません」と上野氏。そこで、「雑誌というアナログな媒体でデジタルを使った新しくて面白い広告」をテーマに企画が立ち上げられた。
本キャンペーンはポカリスエットが長年協賛している夏に開催される音楽フェスを告知するためのもの。これまで、フェスの広告はポスターでの展開が中心だった。この手法について、興味関心の喚起という点に課題を感じていたという。「ただ広告を置いておくだけだと、結局フェスに行く人や元々興味のある人にしか刺さらないんです。だから、音楽や夏フェスを体験できる広告を打つことで興味を持ってもらいたいと考えました」