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「ネットの表現」を探る ~『ネットで「効く」コピー』刊行特別企画~

【おおつね×けんすう対談】ネットウォッチは紳士の楽しみ。むきだしの世界となめらかなコミュニケーション


炎上しない場所でのコミュニケーションが増えている?

古川 おおつねさんが見てる、新しめのウェブサービスやコミュニティで、最近チェックしてるところってありますか。

おおつね 2007年ころから、ずっと僕、音声系を聴いてるんですよね。いま一番メジャーなのは、ニコ生とかツイキャスになるのかな。ブラウザのFlashで放送できるやつとかあって、若い子や学生がやってて結構面白かったんですね。あとは、カヤックがやってる「こえ部」とか。検索に引っかからないから、みんな割と本音というか、文字起こししたら炎上するだろうなっていうことを平気でやる文化があった。

古川 音声やアプリもそうなんですけど、最近は炎上しない場所、インターネットの人たちがあんまり来ない場所で好き勝手やるっていうのが増えてる感じがしますね。

おおつね 要するに、怒られたくないんですよね。ほめられたい。それいいねって言われたい。

古川 過去にあったのと同じことが別のコミュニティで繰り返される。チェーンメールみたいなのが流行ったり、昔のコピペが流行ったり。僕らにとっては過去に起きたことでも、いまの小中学生にとっては初めて。nanapiで「アンサー」というスマホのコミュニティやってるんですけど、そこでも2ちゃんねる初期みたいなことがよく起こって、懐かしいなと思って見てます。

「アンサー」は悩みや疑問を相談し、即解決するためのQ&Aコミュニケーションアプリ。
「アンサー」は悩みや疑問を相談し、即解決するためのQ&Aコミュニケーションアプリ。

使うサービス、作るサービス

一番長くつきあってきたサービスをひとつ挙げるとすると?

おおつね Googleはちょっと論外。あれは別格だから。僕はよく「はてブの人」って言われることがあるんだけど、はてなブックマークはよく使ってるサービスのひとつですよね。

古川 僕も、はてブは10年間ずっと見てますね。2ちゃんねるより、やっぱりはてブを見てる。

古川さんは自らサービスを立ち上げてきました。運営するのはまた違う世界だと思いますが。

古川 みんなが思ってることをどんどん投稿するのは見ていてすごく楽しい。もっとみんなが投稿する場所がたくさんできるといいなというのが、多分一番プリミティブな欲求に近いんでしょうね。「こえ部」がいいなと思ったときは、こえ部と一緒にポエム投稿サービス「ポイミ」をやったり。そういうのが好きでしたね。

古川健介氏。学生コミュニティー「ミルクカフェ」、掲示板サービス「したらば」などを立ち上げ、現在はnanapi代表として「nanapi」「アンサー」「IGNITION」などを運営。

古川健介氏
学生コミュニティ「ミルクカフェ」、掲示板サービス「したらば」などを立ち上げきた。
現在はnanapi代表として「nanapi」「アンサー」、英語メディア「IGNITION」などを運営している。

おおつね 「nanapi」とか見ますよ。

古川 「アンサー」も面白いですよ。ウォッチ対象としては、もう懐かしい気持ちになれると思います。昨日も、私白血病でそろそろ死ぬんですって女の子が、命の大切さを訴えていて、「みんな、これ拡散しよう」みたいになってて、何千っていうレスついてて、ウソじゃないかなあ、と思いつつ……。

おおつね それは完全に「ミュンヒハウゼン症候群」じゃないですかね。

古川 純粋な小中学生がみんなそれを結構信じちゃうっていうのが、逆にちょっと新鮮でした。

「モヒカン族」と「粘着」ではケンカの売り方が違う

2ちゃんねるのひろゆき(西村博之)さんと話をすることもありましたか?

おおつね 僕は交流ないですね。飲み会で隣の席にいたなとか、その程度でしかなくて。

古川 僕はそこそこありました。(ひろゆきさんは)独特ですよね。僕の中では堀江(貴文)さんと同じカテゴリー。基本的に、正しいことしか言わないんですが、人によっては正論までの距離が短かすぎて身も蓋もなく聞こえて、冷たく見えたりする感じの人というカテゴライズですね。

おおつね Linuxのカーネルを書いてるリーナス・トーバルスやOpenBSDのテオ(・デ・ラート)も、よくメーリングリストで罵倒していた。「こんなクソみたいなコードしか書けないんだったらプログラマーやめちまえ」ぐらいのことは平気で言う。だけど、攻撃しようとして言ってるんじゃなくて、ただ単にそう思って正論を言ってるだけなんですよね。

堀江さんやdankogai(小飼弾)、void(日下部陽一)さんとか、独特な雰囲気を持った独特な受け答えをする人たち。彼らは“荒らし”や“粘着”ではない。そういう人たちと正論系の人たちはケンカの売り方が違う。それはなぜなんだろうと考えた。それで2007年ぐらいに、ネット用語の「モヒカン族」っていうのを思いついたんですよね。

『サルでも描けるまんが教室』に漫画編集者が出てくるんだけど、最初、眼鏡でガリガリのヒョロヒョロの文系編集者が出てくるのかなと思わせといて、実はすごい筋骨隆々な弁髪のやつが出てくるってギャグがあったんです。それで「このギャップだよな」って思った。パソコンの画面の向こうで罵詈雑言を書いてるのはガリヒョロ眼鏡くんが粘着でやってるのではなく、『マッドマックス2』や『北斗の拳』に出てくるモヒカン族みたいな筋骨隆々な人たちがやってる。そういうふうに表現したら面白いんじゃないかと。

それが「モヒカン族」なんですね。

おおつね そういう人たちの発言の動機を推測して特徴を5つくらいに分類した。その逆も分類して、こっちは「村社会」と名づけて対比ネタを書いたら質問が来て、説明がめんどくさいからモヒカン族的な受け答えを自分でやってみた。「言っている内容は正しいですが、三点リーダーの使い方が間違っています」とか。当時2ちゃんで、コラムニストの文体をまねてカフカの『変身』を書いたり、芥川龍之介風返信とかを投稿するネタスレがあって、人の文体をまねするのが得意だったからやってたんです。

この間けんすうさんも、サイバーエージェントグループの人の日記をパロった、ゲーマーが激怒してるみたいな文章を書いてて、「こんなにゲームを熱く語れる人だったんだ」と勘違いしました。

「バーチャ2はゲームじゃねえんだよ」(nanapi社長日記)この1週間前に元ネタについて書かれた投稿はこちら。
「バーチャ2はゲームじゃねえんだよ」(nanapi社長日記)。
この1週間前に元ネタについて書かれた投稿はこちら

古川 2ちゃんの「ガイドライン板」(2ちゃんねるwikiの解説)というのがあって、コピペの元になりそうなものがあるとそこで揉むんですよ。僕はそこにいて楽しんでたタイプ。狭い世界の話で恐縮なんですけど、好きでしたね、コピペ改変。

おおつね そこからインターネット・ミームが結構発生した。

古川 2ちゃんの、文章をそのままコピペする「コピペ文化」というのはちょっと特殊で、コピペから改変文化になっていった。何でしょうね。不思議ですね。

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あるサブアカの話

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/12 16:59 https://markezine.jp/article/detail/20777

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