「高速カイゼン」のみならず各種データを加えて丁寧な分析を
先行事例に学ぶ
ここで、実例をご紹介しましょう。某スポーツメーカーさまの、スマホ用ECサイトの改善です。 商品一覧ページのレイアウトについて、以下のようなABテストを行いました。

パターンAは2カラム表示、パターンBは3カラム表示に「ページ送り表示」を付加したパターン、パターンCは2カラム表示に「ページ送り表示」を加えたパターンです。KPIには「購入完了率」と「商品詳細ページへの遷移率」の2つを設定しました。さて、どれが勝ったと思いますか?
答えはパターンBと、パターンCです。購入完了率は2カラム表示の「C」が高かったのですが、商品詳細ページに移るのは3カラム表示の「B」が勝ち。いずれもKPIでも、ページ送り表示がある方が効果につながることが分かりました。もし勝者をひとつに絞るなら、最終的に売上につながるパターンCとなります。

さらにこのサイトでは、Googleアナリティクスと連携し、追加でユーザー動向も調査しました。すると、3カラム表示は「直帰率が低く、PV数が高い」ことがわかったのです。
つまり沢山のアイテムは見たくなるものの、購入にはつながりづらいのです。一方2カラム表示は、「平均PVは少ないものの、1アイテムあたりの閲覧時間が長く、購買に直結しやすい」ことがわかりました。試行錯誤の結果、購入完了率は146.1%を獲得することができました。
今回は、Googleアナリティクスの分析を加えることで、ABテストの結果に加え、ユーザー行動の傾向も把握できました。「高速カイゼン」とはいえ、テストパターンを次々に競わせ続けるのではなく、各種行動データも加えて、テスト結果を丁寧に分析することが大切です。
このようにABテストで高速カイゼンすることで、リニューアル時に発生するリスクを限りなく軽減することができます。まだABテストへ取り組んだことのない方は、ぜひ試していただければ幸いです。Have a nice TEST !
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