Web⇔アプリやアプリ⇔アプリのシームレスな遷移事例
次にサービス別にディープリンクの活用事例を紹介しましょう。ディープリンクを活用することで、「Webからアプリ」「アプリからアプリ」のシームレスな遷移の実現も可能になるため、各サービス取り組みを進めている状況です。
Google Maps
iOSのSafari上にて地名を検索し、地図を選択するとGoogle Mapsが起動し、ヘッダー部分に「Safariへ戻る」が表示されます。下記はSafari上で「東京駅」と検索し地図部分をタップした際のキャプチャーとなります。
Google Mapsアプリが起動し、東京駅の該当箇所が紐付いたままアプリが開きます。Safariへ戻る導線があることでユーザーはスムーズにSafariへ戻ることが可能です。

Uber
アメリカでGoogle Mapsをルート案内で利用すると、サジェスト結果にタクシー配車サービスUberが表示されています。サジェスト結果に表示されたUberをタップすると、Uberアプリが立ち上がりすぐに予約することが可能となります。
Google Maps上で完結しない機能は他サービスに遷移させて、サービスをスムーズに利用することが可能です。このように1アプリ1機能でディープリンクの機能を活用したシーンが増え、アプリ間導線が当たり前に存在する世の中になることが予想されます。

また、ディープリンクの話題から少々離れますが「Webからアプリ」の浸透を促進する機能が、iOS8のSafari検索窓に実装されたので合わせて紹介します。
iOS8にバージョンアップ後、Safariブラウザの検索窓上でキーワードを打ち込んだ際、キーワードによってはApp Store上のアプリがサジェストされるようになりました。今まではGoogle検索結果が表示されていた箇所の上部にアプリが表示されることで、Web上で検索を試みるユーザーに対して直接App Store上の該当アプリページヘの導線を用意した形になります。
「Webからアプリ」がより自然に広まっていく可能性があるという、象徴的な例になるかと思います。今後、iOSやAndroidのOSはアプリ利用時、検索、広告など様々なシーンにおいて、ユーザーが意識することなくWeb⇔アプリで遷移可能な機能を提供していくことが予想されます。

アメリカの有名サービスの対応状況
アメリカにおける有名サービスのディープリンク対応はどれほどされているのかという調査を、ディープリンクベンダー・URXが調査レポートを発表していました。有名サービス200個をピックアップし、Twitter、Google、Facebookなどの各ディープリンクタグを実装しているかという観点での調査になります(SnapchatやUberなどモバイルだけで展開しているサービスは調査対象外)。

各プラットフォームのタグ利用率
Twitter、Google、Facebook3つのプラットフォームごとのタグ実装割合は以下になります。

3つのタグを実装していたサービスは下記10つとなります
There are 10 apps that have adopted all three standards: AirBnB,Daily Mail,Dailymotion,Fancy,iHeartRadio,Live Nation,Mixcloud,TheJournal.ie,Tumblr,and YouTube.(出典元:Twitter's Deeplink Tags Have Higher Adoption than Google's or App Links)
日本サービスのディープリンク対応状況
2014年11月時点で私の目視による日本大手サービスの対応割合は、アメリカ以上に対応数は少なく、GoogleやFacebookのディープリンクタグ実装は数%ほどと想像します。
対応数が少ない要因は、単純にそもそもアプリのディープリンクという概念/機能が、まだまだ浸透していないのが大きな理由に感じます。ディープリンクの存在は認識しているが、実装まで至っていない理由は、ディープリンクタグを実装することで、サービスのKPIにどれだけのインパクトをもたらすことができるのか可視化しにくいという点が想像できます。
しかし、ユーザー視点で見た時にWeb利用時にでできていたことが、アプリ利用時になるとできなくなるのは、非常に不便に感じるのは間違いありません。自然流入数が多いサービスはGoogleのApp Indexingを、ソーシャル経由の流入数が多いサービスはTwitterのApp CardsやFacebookのApp Linksの導入検討してみてはいかがでしょうか。