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マリンソフトウェアが語るマーケターの未来、鍵は「テクノロジー&オーディエンス」

 オンライン広告の運用スタイルが変わりつつある事をご存知だろうか。これまで当たり前だった、様々な管理画面へのログイン、煩雑なレポート・集計作業からマーケターを解放し、より戦略的な業務のみに集中できるサービスを提供しているのがマリンソフトウェアだ。今回は同社が提案する「新しい2015年のオンライン広告運用の形」と日本企業が抱える課題について、アジアパシフィックマネージングディレクターのジェイ・レヴェルズ氏に話を伺った。

日本のマーケター達の創造性を奪う現在のオンライン広告運用

 オンライン広告の運用スタイルが変わりはじめた。テクノロジーを活用しオンライン広告の運用管理・分析を行うメリットは明白であり、欧米では常識になりつつある。しかしながら、日本での反応はやや鈍い。「これまで人の手で運用して十分だったものを、あえてテクノロジーに任せることへの不安と抵抗が根底にあるようです」そう指摘するのは、マリンソフトウェアのアジアパシフィックマネージングディレクター ジェイ・レヴェルズ氏だ。

マリンソフトウェア株式会社
アジアパシフィック
地域マネージングディレクター
ジェイ・レヴェルズ氏

 2006年にサンフランシスコで設立されたマリンソフトウェアは、マルチチャネルのオンライン広告キャンペーンを1つのインターフェイスで効率的に管理・運用する「統合型広告運用プラットフォーム」を提供している。米国等では同サービスは広く認知され、クロスチャネル・パフォーマンス・アドクラウドという市場を新たに創出し、全世界で年間約8500億円のオンライン広告が運用・管理される。

 ユーザーにはプジョー、バージンアトランティック、メディアコム、razorfishといった名だたる企業が並び、Google AdWords APIの世界No.1パートナーという実績を誇る。日本でも2012年より事業をスタートしている。ジェイ氏は同社の日本展開のために4年前に単身で来日。日本のオンライン広告の成長と課題を見つめてきた。

 GoogleやFacebookにおける頻繁なルール改定、新しいメディアの出現など、マーケターが考慮すべき事項は日に日に増えるばかりだ。管理すべきデータも、ロングテールのキーワードや広告配信数などを含めると天文学的だ。当然ながら、人手だけで管理しきるのは非常に難しくなっている。さらに競合対策や新メディアの出現に迅速に対応しながら、あらゆるユーザーエクスペリエンスを完璧に把握することは、テクノロジーの力を借りなければ、もはや不可能だろう。

 オンライン広告に参入する事業者も増えており、1人あたりの広告接触機会というパイを奪い合う時代に突入しつつある。それも競合は同業者だけでなく、異業種商材にまで広がる。例えば新婚カップルに対して、旅行や住居賃貸、家電などを販売したい事業者がしのぎを削るわけだ。

 「企業もマーケターも変化に適応する者だけが勝ち残ります。オンラインマーケティングの競争が激しさを増す中で、適切なタイミングで適切な相手に広告配信を行うことは、これまで以上に高いレベルで要求されているのです。重要なのは、テクノロジーにできることはテクノロジーに任せ、人間にしかできない戦略的業務に人的リソースと時間を集中的に投資できる環境を整える事。それがこの競争に生き残るための考え方と手段なのです。」(ジェイ氏)

 また、マーケティングテクノロジーの積極的な活用は、運用担当者にも望ましい利益をもたらすという。欧米の業界動向にも詳しいジェイ氏によると、マーケティングテクノロジーに対し”アーリーアダプター”となり、より付加価値の大きなバリューを企業にもたらす人材は、マーケットでも明らかに高い評価を受け、賃金は大きく増加する傾向にあるという。エクセル上で行う繰り返しのルーチン作業の時間を意識的に削減し、キャンペーンやクリエイティブを充実するなど、より”攻めの広告戦略”を考える時間を増やせるスキルセットが高く評価されている事が理由だと考えられる。

 これは、広告の運用を担当する部署および人材が広告費のかかるコストセンターから、売上に直結する業務を行うベネフィットセンターとして見直され、企業に対し大きな貢献ができるようになった結果だ。「マーケティングテクノロジーは広告担当者の仕事を奪うものではないのです。むしろ、その仕事の質を圧倒的に高め、マーケットにおける人材価値を高める最先端のツールなのです」(ジェイ氏)

インハウスでも代理店運用でもテクノロジー活用が必要な理由

 ジェイ氏は「私も営業と同行して広告主の声を直接聞く事があるのですが、時々いただくフィードバックとして”代理店に委託しているので自社では判断できない”といった声を聞きます」と語る。自社内にリソースがないならば、代理店にアウトソースする。それ自体は効果的な判断だ。

 しかしながら「自社のサイトから得られる、いわゆるビッグデータを代理店にまる投げしてしまうのは、広告主にとって大きなビジネスチャンスのロスとなります」とジェイ氏は警鐘を鳴らす。「アウトソースする場合は、運用を任せつつもマーケティングデータは自社内でも資産として保有し、そこから得られる知見を活用して、より戦略的なマーケティングを行うことが重要です」(ジェイ氏)

 また、ジェイ氏は2社間でオンライン広告運用を行う事で、間接コストであるコミュニケーションコストがパフォーマンスに大きく影響を与えるケースを、数えきれないほど見てきたという。「ファイルの共有、レポートの作成や加筆修正、メールのやりとりなど実質的に売上を生み出さない作業にどれだけの時間が割かれているのか、ぜひ考えてみていただきたい。広告主にとっても代理店にとっても、これは見落とせない大きなコストです」(ジェイ氏)

 大切なデータ、時間、そして人的リソースがより戦略的な業務に投資される環境を作り出す事は、広告主にとっても代理店にとっても急務の課題なのだ。「この観点では、しばしば広告主と代理店が対立する構図が描かれる場合があります。しかし、マリンソフトウェアのテクノロジーは広告主と代理店の間にWin-Winの関係を作り出すものだと考えています。そして、その実現が日本における我々の大変重要なミッションの一つです。広告主にも代理店にも、双方の事業に対して我々がどれだけインパクトを与えられるか、これからも繰り返しメッセージを伝えていきたいと思います」(ジェイ氏)

クロスチャネル運用でマーケターがさらに進化する

 検索連動型広告やディスプレイ、モバイル、ソーシャルなどチャネルの多様化が進むオンライン広告。購買者が複数のチャネルで広告に接触する率は、いまや65%に上るという。消費者が様々な接点を経て購買意欲を高めていることが伺える。そうした状況下でマーケターは多彩なチャネルに対応し、クリエイティブなどの一貫性を担保しながら、より高い効果を目指して最適化することが重要となる。しかしながら、「その運用の多くは未だに『人手』に任されており、それも『チャネルごと』というのが実情」だとジェイ氏は語る。

 「オンライン広告プログラムの操作は単純作業を含むものであるため、多くの広告主や代理店では人海戦術で運用していることが多いようです。しかし、オンライン広告が複雑化するにつれ、人為的なミスも発生し、生産性を著しく低下させる恐れがあります。膨大なデータを分析して迅速に最適化することは、ますます難しくなっています」(ジェイ氏)

 この現状に1つの解を提供するのが、マリンソフトウェアの「統合型広告運用プラットフォーム」だ。日々劇的に進歩を続けるオンライン広告技術に対応するために、売り上げの29%を研究開発に投資しているという。オンライン広告運用ツールの世界的リーダーである同社は、具体的にどのような価値をもたらすのだろうか。

 「これまで様々なアドテクノロジーツールが登場しましたが、ディスプレイ運用だけ、ソーシャル運用だけというようにサイロ化され、限定的な運用でした。そのため、市場のニーズとテクノロジーの間にギャップが生じていた。一方、マリンソフトウェアは“ニュートラルでオープン”を開発思想として持っています。多彩な広告の効果測定ツールと連携して、あらゆるデータを取り込み、必要な分析を行って自動的に広告を最適化します。単調で付加価値の低い作業は、もはや人間が行う必要はありません。テクノロジーの活用は、付加価値の高いクリエイティブな業務に多くの時間とリソースを投資する事を可能にしたのです」(ジェイ氏)

コンバージョン指向からオーディエンス指向へ

 「現在のオンライン広告では、いまだにコンバージョン率などの数字ばかりが意識される傾向にあります。ですが、本来オンライン広告の最適化を考える上で最も考慮すべきは“ユーザーエクスペリエンス”です。一人ひとりの顧客について、どのような導線でどんな情報に触れれば、自社の商品を選んでもらえるのかを考える必要があります」(ジェイ氏)

 マリンソフトウェアが強調するのは、“オーディエンス(ユーザー)ベース”であることの重要性だ。得られたユーザー属性データをもとに、ターゲットとするユーザーに配信する広告を広告主自ら購入する。そのためには「どのキーワード、どのディスプレイ広告の成約率が高いのか」ではなく、「成約率の高いキーワードに惹きつけられるユーザーはどのようなプロフィールなのか」といった情報が重要になる。

 「例えば、キーワードのパフォーマンスが良くても利益が低いケースがあります。このような時は、自社やサービスに合わないユーザーに広告を配信している可能性があります。そうしたミスマッチを解消し、予算の最適化を図るためには、DMPやクロスチャネル・クロスデバイスでの分析を行うプラットフォームなど、多彩なツールと連携して現状を多面的に捉えることが必要です」(ジェイ氏)

 当然ながら、最適化に活用されるデータは多岐にわたる。検索、ソーシャル、ディスプレイチャネルなどから得られる広告配信データの他、自社が保有する購買データや外部から提供されるデータなどが挙げられるだろう。マリンソフトウェアの場合は、提携しているSalesforceやDouble Click、Google Analyticsなどのデータ、さらに天気予報までも取り込むことが可能だという。

 「これからは情報を活用できた者が、競争を勝ち抜くと言っても過言ではありません。欧米の広告主の動きを見ていると、運用は外部化してもデータは自社で握り、将来における広告最適化のための情報基盤とする傾向があります。日々作新される我々のテクノロジーを広告主、代理店の皆さんに活用頂ければと思います」ジェイ氏は力強く締めくくった。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/03/06 10:00 https://markezine.jp/article/detail/21982