はてなテクノロジーを結集した「BrandSafe はてな」の強み
「BrandSafe はてな」は、はてなが開発したアドベリサービスで、現在大手DSP「FreakOut」(運用元:フリークアウト社)と、ネイティブ広告プラットフォーム「logly lift」(運用元:ログリー社)で利用されている。特徴は、日本語特有の言い回しやネットスラングに対応しているため、サイトの内容判定の精度が高いこと。米国製のアドベリツールの場合、日本語特有の言い回しや、流行り廃れが早いネットスラングに完全に追随できないため、サイトの内容判定の精度にどうしても限界がある。国産ツールである「BrandSafe はてな」の場合、こうした課題は心配しなくて良い。
もう1つの特徴は、はてながこの10年以上の間蓄積したノウハウが生かされ、アダルトサイト、違法サイトや有害サイトの判定精度が高いことが挙げられる。「はてなブックマーク」を使ってブックマークされたURLに対し、ユーザーが独自で入れたコメントやタグの内容に加えて、サイト内の本文解析などの複合的なアルゴリズムを使って、1URLごとに内容を判定している。実際、多くのアドベリツールは「本文解析してNGワードが出現すればブラックリストに載せる」という仕組みであることに対し、「BrandSafe はてな」の場合、「本文クロールによる解析と、ユーザーがはてなブックマークで付けた手動のタグ・コメントという両輪で判定しているため、非常に精度が高いですし、はてなブックマークをされていないURLに対しても、本文解析と似た特徴のページを引っ張ってきて、高精度に判定することも可能」(大久保氏)という。
健全なインターネット広告の世界を実現する
大久保氏は、「はてなの企業理念として、『インターネットを使う個人や企業を支援することで、インターネットそのものの質や有用性をさらに向上していきたい』という思いがあります。広告主のブランドイメージを毀損しないことはもちろん、独自取材で有益な記事を多数提供している良い媒体が、その媒体力を生かしてきちんと広告収益を得られる仕組みを作りたい。現在ですと、残念ながら違法サイトやまとめサイトなどに、広告収益が流れているのも事実です。『BrandSafe はてな』はこうした状況の改善につながる仕組みだと考えています」と説明する。
「BrandSafe はてな」のきっかけとなったのは、フリークアウト社からの提案だ。通常、ほとんどのDSPでは自社独自の媒体ホワイトリストを作り、広告主のブランド毀損につながりかねない媒体への配信は極力排除している。だが、違法サイトやまとめサイト、アダルトサイトは新規・移行を含めて次々と誕生し、完璧にフォローすることは難しいのが実情だ。フリークアウト社は、海外製アドベリツールを運用してこの課題に対処しようとしていたが、実験段階でなかなか期待する効果が得られず、インターネットサービスの企画力、技術力にあるはてなに相談したそうだ。その中で、「はてなブックマークを活用する」というアイディアが生まれ、『BrandSafe はてな』につながったのだという。そして、アドベリツール開発に懸けたはてなの思いと、その技術優位性を評価し、採用したのがログリー社だ。いずれも、「インターネット広告市場の改善、健全化を促進したい」という思いが共通している。
フリークアウト社では、「BrandSafe はてな for FreakOut」リリース後半年でユーザーが50社を突破し、その後も順調に広告主を増やしつつある。その背景として、ブランド毀損リスクが著しく軽減されることも理由の1つだが、実は広告効果も大きくアップすることがあるいう。実際、今年3月に実施した実証実験では、「BrandSafe はてな」の使用時・未使用時で、CPAに大きな違いが表れたそうだ。