電通は、日本の文化や強みを生かした商品やサービスを海外展開する「クールジャパン」関連事業において、2015年4月に20か国・地域で「ジャパンブランド調査2015」を実施した。同調査の目的は、親日度(日本に対する好意度)の地域別状況、日本および日本産品に対する興味関心やイメージの詳細なデータ・知見の収集だ。
日本に対する好意度が最も高い地域は、2年連続で「ベトナム」
日本に対する好意度が高い地域のトップは、昨年に引き続き「ベトナム」と、昨年5位から順位を上げた「台湾」が同スコアで1位に。日本の好きなところのトップ3(複数回答)は、「伝統文化」「食」「自然」の順となった。また、「最も好きなところ」を一つ選んでもらうと、「技術力」が「自然」を抜いて3位にランクイン。これら以外では、日本人の気質(勤勉さ・親切さ等)やホスピタリティーが上位に。日本に対する好意度が高い「ベトナム」では「日本人の勤勉さ」が、「台湾」では「日本食」がそれぞれ好きなところのトップだった。
日本でやりたいことの第1位は「日本食を食べる」
日本でやりたいことについて聞いてみると、全体で最も回答が多かった活動内容は「日本食を食べる」こと。次いで順に「自然・景勝地観光」「史跡・歴史的建造物観光」となった。東アジア地域では「温泉入浴」、ASEAN地域では「四季の体感」も人気だった。
さらに日本で「日本食を食べる」ことに興味がある人限定で「日本食の購入・飲食意向」を見てみると、「寿司」「刺身」「天ぷら」「ラーメン」のスコアが高かった。これらのメニューは知っている・食べたことがある日本食でも上位に挙げられており、みんなが知っていたり、食べたことのある日本食を、本場日本のより本格的・多彩な味で楽しみたいと考える人が多いと推察される。
北海道や沖縄など、高まる地方への訪問意向
日本の代表的な地名を並べて認知・訪問意向を聞いたところ、認知・訪問意向ともに、全体では「東京」がトップに。特に認知度は高く、約9割(89.5%)の人が「東京」を知っているという結果だった。訪日観光客が多い東アジア地域では、「北海道」や「沖縄」が行きたい場所として東京を上回るケースが目にとまった。体験したい地方のものとしては「自然」「温泉」「郷土料理」のスコアが高いが、東アジアではトップ3の中に「ラーメン」が入る地域が多く、ご当地「ラーメン」への関心の高さがうかがえた。
「日本のファッション」への興味関心が低下か
興味関心のある日本の物事で最もスコアが高かったのは「日本食」。次いで「旅行」「温泉」。それ以外では、「日本庭園」「日本の四季」「日本の神社・仏閣」「日本の祭り」「日本のリゾート」など観光に関する項目が数多くトップ10入りした。昨年と比較すると、サブカルチャーやコンテンツに関するスコアが総じて10ポイント前後下がったほか、昨年トップ3入りしていた「日本のファッション」がアジアを中心にスコアを落とし、今年はトップ10に入らないという結果になった。
優れていると思う日本の物事、トップは「日本のロボット工学」に
優れていると思う日本の物事では、技術関連の項目が多数トップ10に入っていた。最もスコアが高かったのは「日本のロボット工学」。「ロボット工学」は興味関心のある物事のトップ10にも入っており(9位)、世界における日本のロボット技術への注目・評価の高まりがうかがえた。優れていると思う日本の物事について昨年と比較すると、日本のサブカルチャーやコンテンツ系のスコアが減少する中、唯一微増となったのは「日本の温泉」。アジアだけでなく欧州でもスコアを上げた国が多かった。
新たなカテゴリーでの「ジャパンブランド」構築の可能性
製品カテゴリー別に優れた製品をつくっている国を聞いたところ、日本は「自動車、バイクなどの輸送機器」や「TV、オーディオなどのAV機器」、各種の食品系カテゴリーでも高く評価されていることがわかった。他方で、興味のある日本製品カテゴリーを聞くと、「医薬品」「化粧品」「アパレル・ファッション」がトップ3に入るなど、従来の強みとは異なるカテゴリーが上位にきていた。ジャパンブランドを築く新たなカテゴリーとして期待される。
「ラーメン」が新たな日本食の代名詞に
日本食の認知・経験・意向の全てにおいて、最も高いスコアを獲得したのは「寿司」。8割弱の人が認知し、6割強が食べた経験を持つ、世界的な料理になっていることが再確認された。他に認知・経験で高いのは、日本食の王道である「刺身」と「天ぷら」。次いで「ラーメン」。認知・経験・意向については地域差が見られ、特にASEANの一部地域(インドネシアやフィリピン)では「天ぷら」や「ラーメン」の経験者が「寿司」よりも多いことがわかった。また、"体験したい地方のもの"でも「ラーメン」のスコアは高く、新たな日本食の代名詞として、アジアを中心に世界的に親しまれ始めていることがうかがえる。
【調査概要】
対象エリア:20か国・地域
中国(北京、上海)、香港、韓国、台湾、インド、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア
調査手法:インターネット調査
対象者条件:20~59歳男女(中間所得層以上)
サンプル数:地域ごとに200ss、計4,000ss
調査期間:2015年4月17~27日
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