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ゼロスタートが提示する、EC検索データ活用の可能性(AD)

ゼロスタートとSprocketが連携 検索×顧客育成プラットフォームでユーザーを精緻に捉える

 ユーザーの興味関心を知れば知るほど、適切なアプローチができ、よりよい顧客体験を提供できる。その考えを共有し、EC商品検索・レコメンドソリューションを手がけるゼロスタートと、顧客育成プラットフォーム「Sprocket」を提供するSprocketが連携を発表。より精緻に顧客像を把握して、コンバージョンにつなげる意向だ。両社の社長に連携の背景と、双方のサービスを併用することで得られる効果についてうかがった。

ユーザーの検索行動を通して得られる情報の価値を最大化

MarkeZine編集部(以下MZ):ゼロスタートは、今年だけでもアライドアーキテクツやGMOメイクショップなどとの連携が進み、自社と他社のソリューションを組み合わせることでの相乗効果の提供に積極的に取り組まれています。今回はまた新たに、Sprocketとの連携を発表されました(参考:プレスリリース)。

山崎:当社の姿勢はずっと一貫していまして、ユーザーをより精緻に把握するために、“ユーザーが入力する情報”である検索が最適だと考えて検索を軸とする開発を続けています。ただ、その情報はさまざまな場で活かせるので、入力情報の価値を最大化するために、各種のパートナーシップを推進しています。

 今回の連携は、サービスの相性のよさに加えて、ターゲットとする企業の規模や予算感が比較的大きいという共通点もあり、非常にスムーズにまとまりましたね。

MZ:はじめにSprocketについてお聞きしますが、代表を務められている深田さんは元々、モバイル制作開発のゆめみの創業者でいらっしゃいますよね。

深田:ええ。顧客育成プラットフォームの「Sprocket」は、2012年にゆめみからリリースした新規事業なんです。この事業により注力し伸ばしていくために、昨年分社化して株式会社Sprocketを創業、私がゆめみを抜けて代表に就任しました。サービスとしてのSprocketは、例えばアサヒビールやベネッセコーポレーションなど、すでに大手企業を中心に複数の企業で使っていただいています。

商品検索エンジン×顧客育成プラットフォーム

MZ:具体的に、どのようなサービスなのでしょうか?

深田:ゆめみ時代から追求していたゲーミフィケーションの概念を、企業のコミュニティサイトや会員専用ページに取り入れて、ユーザーが楽しみながら企業に親しんでいくというものです。ユーザーは、特定のアクションやゲームなどをすることでポイントを貯めたり、デジタルバッジを集めたりする。一方でその裏側では、ユーザーの行動データを蓄積して、よりよい顧客育成シナリオに活かします。

MZ:今回は、商品検索エンジンおよびレコメンドエンジンと、顧客育成プラットフォームの連携になるわけですね。連携に至った背景を教えていただけますか?

山崎:当社が保有する、検索という入力情報は、ユーザー像を把握できるという点でさまざまな“出口”で活用が可能です。今、当社ではこの情報をリアルの店舗へ活かすことに注力しているので、その他の場への展開はこうした連携を通して拡大している状況です。Sprocketは、当社が企業へ提供したいトータルソリューションのうち、顧客育成の部分を補完するサービスとして非常に相性がよかったんです。

深田:加えて当社としては、創業から浅くリソースも豊富にない中で、この連携を通して企業のサイトを訪れるユーザーの体験をより豊かにすることができるだろうと。常日ごろから考えている、ユーザーをどうもてなすかという観点で、企業により貢献できると判断しました。

両サービスの併用で購買体験の充実と収益向上が可能に

MZ:ゼロスタートの商品検索エンジンは今、ネットスーパー最大手であるイトーヨーカ堂のサイトをはじめ、流通企業やECを展開するブランド企業などに多数導入されています。一方でSprocketも、先ほどご紹介いただいたように大手企業の導入例が多いとのことですね。両社のサービスを併用することによる、最大のメリットは何でしょうか?

山崎:当社の検索エンジンを通してユーザー像が精緻に把握できれば、その情報をSprocketに返すことで、より個々の顧客に合った対応が可能になります。今、潜在顧客の発掘から顧客のロイヤル化、リピート獲得までを自動化するマーケティングオートメーションが注目されていますが、2社のサービスを併用することで、この顧客育成の部分を補完できると考えています。

 流通企業でもブランド企業でも、顧客との関係構築やリピート化によって収益が上がれば、当社がクライアント企業に貢献することになる。相乗効果としては、それが最も大きいですね。

深田:補完という点ではまったく同感で、当社も検索への入力を通して得られるユーザーの興味関心やニーズといったさまざまな情報を、Sprocket導入企業のマーケティングに活かしていただけると考えています。

オウンドメディアの浸透で検索が活きる領域が拡大

深田:もうひとつ可能性があると思っているのは、検索が活躍する領域が広がっていることです。例えばECサイトやメーカーが、商品にまつわるサイドストーリーを紹介するオウンドメディアを立ち上げるなど、購買の少し手前でユーザーの気持ちを醸成するような取り組みが進んでいますよね。

MZ:確かに、そうですね。オウンドメディアでの読み物コンテンツを通して、距離を縮めていくという。

深田:そうしたサイトだと、ECサイトのようにほしい商品をダイレクトに検索しないケースも多いと思います。Sprocketは収集したユーザーの行動情報を集約してルールやシナリオの作成に活かしているので、ゼロスタートからの精度の高いユーザー情報を掛け合わせて、例えばオウンドメディアで的確なレコメンドを表示することなども考えられます。顕在化していないニーズへのアプローチにも、検索の入力情報が活かせると思います。

MZ:クライアント企業では、検索を顧客育成にも活かしたいというニーズは顕在化しているのでしょうか?

山崎:いえ、まだ気付いていない企業がほとんどだと思いますね。逆にいえばこれから広がる領域なので、我々も知っていただけるよう努力していくつもりです。

“オンラインでもてなす”ことへのIT投資が広がる見込み

MZ:顧客育成のシナリオに検索情報が活かせるというお話がありましたが、具体的にどのような改善ができるのでしょうか?

深田:例えばコンバージョンを向上させたい場合、つい集客を増やす方向を考えがちですが、実は各接点での離脱を細かく防いでいくほうが、ずっと改善につながったりします。迷っている人に、ユーザー像を踏まえて「こんな情報をお探しではないですか」と提案するだけで、しないよりも離脱がかなり減ると思います。

MZ:なるほど。過去の取材でも山崎さんが強調されていた、オンラインでの接客を向上させるという点にもつながりますね。

山崎:そうなんです。ECサイトでは、例えば生ハムとチーズをカートに入れればワインがずらっとレコメンドされ、すぐに選べたりしますよね。そういったリアル店舗にはないポテンシャルがある一方で、いまだに「水」を検索しているのに「化粧水」や「撥水マット」を表示するなど、あり得ない結果を返すサイトもあります。

MZ:市場全体を見ると、まだまだ改善の余地があると。

山崎:そうですね。9月に、米国のiMediaブランドサミットに参加しましたが、米国に比べて日本では、ECが非常にないがしろにされていると実感しました。マーケティング部門のIT投資は拡大していますし、米国の状況を追随することを考えると、今後は日本でも、より“オンラインでもてなす”ことへの投資が広がるとみています。

ユーザー理解が売上に直結するサイトから導入促進

MZ:両サービスの併用を、どのような業種や業態から促進していきますか?

山崎:オウンドメディアやニュースサイトなどでも十分活用できますが、まずは施策がコンバージョンに直接反映されるECサイトへの導入に注力します。ユーザー像をより明確に把握することが、売上に直結するような企業ですね。特に、イメージ訴求が効く商材より、機能訴求が効く商材のほうが効果が得やすく、その可視化もしやすいと考えています。

深田:当社もまずはECサイトで、しっかり成果を出せればと。サイト内検索と比べれば、顧客育成の部分はまだECサイトなどでの優先度が高くないので、その重要性も同時に訴求していきたいです。

MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。

深田:僕も山崎さんと同じく、オンラインでも“もてなす”発想が大事だとずっと考えていました。ユーザーの側もさまざまな情報を得られる今、企業は事業や顧客への姿勢をも見られています。今回の連携もそうですが、当社は顧客に真摯に向き合う企業に対して、顧客との関係構築のお手伝いができればと思います。

山崎:深田さんがいわれた関係構築の中で、当社は検索入力を通したユーザー理解の部分を担っていきます。究極的には、オンラインでも店頭接客のように、ユーザーが気付いていないけれど求めていた情報を提供できるのが理想です。当社は今、オンラインでの情報と知見をリアル店舗へ活かすことを模索しているので、今後もそれに軸足を置きながら、検索入力を活かせるパートナーとの連携を進めていきます。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/10/26 14:00 https://markezine.jp/article/detail/23211