将来の大きな潜在需要に向けて各種のオープンサイトサービスが稼働中
次に、メディアとしての携帯電話の可能性に話が向けられる。ビデオ・リサーチの調査によれば、平日の自由時間に何をして過ごすかという調査に対する回答が、M1層(20~34歳男性)/F1層(20~34歳女性)では共に「モバイルインターネット」が1位の「テレビ」に次いで2位となっている。また利用時間帯では若いサラリーマン、女子学生共に12~15時の間に集中しており、デイタイムのモバイルインターネットの利用が多いことを示している。
一方、携帯電話は約1億台、9割の普及率なのにモバイル広告費は日本の広告費全体6兆円のうち390億円、つまり0.7%に過ぎない。インフラの普及に比べてあまりに現在の広告マーケットは小さく、まだまだ今後の潜在需要があることを伺わせる。事実、モバイル広告費は2006年から2007年にかけて42.5%の成長を見せており、2010年には1,000億円を突破することが予測されている。
こうしたメディアとしての携帯電話をターゲットにしたオープンサイトの試みはすでにいくつもスタートしており、現在の主要サイトからいくつかの例が紹介された。
まずスクウェア・エニックスが運営している「みんなdeクエスト」と「懸賞deクエスト」。これはRPGがケータイで楽しめるサイトで、ほとんど口コミで会員が増加しているのが特長だ。当初は公式サイトとしてオープンし、2007年2月に無料化してオープンサイトにリニューアルして大成功を収めた。RPGとコミュニティ機能は親和性が高い点を利用して、2つのサイトが連動している点が特長である。
もう一つはディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」。元々は無料ゲームとアバターを中心としたSNSとしてスタートし、現在はモバイル総合ポータルとして人気を集めている。同サイトは価格の無料化やSNS機能の提供などを始め、モバイル2.0時代を見越したいくつもの差別化ポイントを押さえた展開で、ユーザー数を順調に伸ばしている好例である。
