「メディアデータを活用した広告」が抱える課題
データを活用した広告商品というと、メディアデータを活用した広告商品をイメージされる方が多いと思います。そこで今回は、メディアデータを活用したデータマーケティングについて、データを活用した広告商品の現在と今後について紹介したいと思います。
従来型のメディアデータの活用を思い浮かべると、パブリッシャートレーディングやメディアDSPなどのメディアのデータ自体に価値を出し、それをもとにした広告を配信してきました。こうした取り組みは、見込み度の高い顧客にアプローチできるところに魅力があり、数年前より様々なメディアで行われてきています。海外ではWPPグループのXaxisが取り組まれていたり、国内でもDMPのプレイヤーとメディアが連携した広告商品が多く発表されたりしています。
例えば、2013年の12月に電通はトレーディング・デスク・サービス「Dentsu Audience Network」の提供を開始しています(詳しくはこちら)。2014年8月にはジーニーと結婚式場口コミ情報サイトがPublisher Trading Desk型のターゲティング商品を開発しています(詳しくはこちら)。
しかし、メディアの運営者に話を聞いてみると「思っていたよりもマネタイズがうまくいかない」とか、「既存の広告商品の毀損が心配」という声があり、実際に相談を受けることも多いです。メディア単体のデータを活用していく上では、やはり既存のクライアントに対してアップセルの商品として提案するケースも多く、データを軸に新たな販路を開拓することができたとか、標準メニューとして組み込んで継続利用をしてもらえているという話は少ない印象があります。また、売り方についてもダイレクトレスポンスのクライアントに提案を行うとメディアの費用がのるため、CPAが合わないなんていうケースも多いと思います。
これまでのメディアデータを使った商品が抱える課題を解決するためには、どういった商品を作っていく必要があるのでしょうか?
そもそも、どのような商品群がある?
これからの広告商品を考える前に、まずは現状を把握しましょう。現在のメディアデータを活用した商品は大きく分けると、以下のような分類になると考えられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
既存商品のオプションとして販売するアップセル用の商品
この商品は、記事広告のリターゲティングのようなものです。例えば、「特定の商品に関する記事を読んでくれた人は商品に対する理解度が高いので、ターゲティングを行うことで来サイトや商品購買につながる可能性が高い」という仮説のもとターゲティングを行います。それ以外にも最近では、PMPにデータを掛け合わせてメディアの枠を販売するというケースもあります。
メディアのカテゴリ情報やメディア自体が収集しているデータを使った純広告的な商品
この商品は、メディアのカテゴリ情報やメディアが収集している情報をもとにDSPなどで広告を配信するものです。例えば、メディアの中で生命保険のカテゴリを閲覧している人に生命保険の商品のバナーや動画広告を配信するといったケースです。また、領域特化型のメディアの場合はそのメディア自体で閲覧者にターゲティングを行う商品を展開しています。
パブリックDMPの元データとしてレベシェアを行うアドネットワーク的な商品
この商品はメディアのデータをDMP側で分析し、メディアを明記せずに販売する匿名型のデータのネットワーク商品です。例えば、メディアを横断してハワイ旅行というワードがタイトルやメタキーワード、ページの説明文に入っている人をターゲティングするという使い方が可能です。コンテンツマッチに近い概念のターゲティング商品です。