スウェーデン発のナンバーワンサービス、Spotify
世界でナンバーワンのシェアを誇る音楽ストリーミングサービスは何かご存知ですか? 実はAppleでもGoogleでもありません。現時点でその頂点に立つのは、2008年にスウェーデンで始まった「Spotify」です。会員数は約8,000万人、企業価値は1兆円を超えるともいわれ、特に欧州の若い世代を中心に高い人気を誇るサービスに成長しています。

好きな曲を組み合わせて作る「プレイリスト」機能、それをシェアするコミュケーションの文脈、月額9.99ドルの価格帯など、現在の業界スタンダードを作ったのは彼らだといってもよいのではないでしょうか。残念ながら、「日本上陸間近!」と取りざたされ続けてはや数年、いまだにその舳先も見えていません。はたして、日本でサービスインする日は来るのでしょうか。
来ると言われ続けるSpotify、なぜ始まらないの?
以前、約2,500万という現在のストリーミングサービスに勝るとも劣らない曲数を配信する「music unlimited」というサービスをソニーが運営していました。個人的にこのサービスを愛用していたのですが、残念ながら2015年3月にサービスが終了してしまいました。実は、この終了理由こそ「Spotifyと連携した新サービスの開始」でした。
「おぉ、これでついにSpotifyが使える!」と喜んだのもつかの間、代替としてはじまった「PlayStation Music」は、日本からは使えないというオチが待っていました。それにしても、なぜSpotifyは日本で開始できないのでしょうか。
理由はひとつではないでしょうが、もっとも大きいのは彼らのビジネスモデルだといわれています。Spotifyは、前述の新興サービスとは異なり、永年無料で利用可能(ただし機能制限つき)な、いわゆるフリーミアムモデルです(正確にはAWAにも完全無料プランがありますが、制限時間が60分/月など大変厳しいためあまり話題には上がりません)。
Spotify利用者の25~30%が有料会員だといわれますが、「その気になればずっと無料で使える」という仕様に対し、日本国内レーベルやミュージシャンの多くが首を縦に振らないことが、日本でSpotifyが始まらない理由だと囁かれています。
この現状に対し、「日本は遅れている」と批難されていることも事実です。しかし従来のビジネスモデルが脅かされるのであれば、懸念を抱くのも無理はありません。はたして、音楽ストリーミングはミュージシャンを殺す存在なのでしょうか。
