ブログパーツを配布してどれほどの効果があるのか?
それから、ネットキャンペーンでよく登場するブログパーツ(ウェブウィジェット)。最近では、SMAPのCD発売にあわせてブログパーツが配布されました。しかしこれは本当に売上に効果があるのでしょうか。
今回の資料で取りあげたNHKのブログパーツは、聞いた話によると10000以上のブログに貼り付けられたそうです。その結果、何が起こったのでしょうか。そもそも何を狙ったのでしょうか。あるいは漢検DSのブログパーツ。これは本連載でも過去に取り上げていますし、ホリスティックな設計という点ではよく考えられていると思います(自分が関わったから良く見えている部分はあるでしょうが)。
しかし実際には「大人の漢字力が低下している」という調査結果をマスコミに発表し、それをテレビや新聞がニュースとして話題にしたから注目が集まったことは間違いありません。テレビCMも投下していますしね。
最後にもうひとつ。ネットの力でヒットしたと紹介されることが多い映画「時をかける少女」(「時かけ」)の話です。まず、この規模のヒットなら「アメリ」をはじめ、過去にもあります。また同時期に公開された「ゲド戦記」の批判が多かったこともあり、同作と比較されることが多いのですが、映画の興行収益は「ゲド戦記」の76億円に対して、「時かけ」は2.6億円です。かけたコストも、狙った市場も異なるわけですから、この比較に意味がないことは明らかです。そもそも悪評なんてものは対象が広がれば必ず出てくるもので、これは映画に限った話ではなく、小説でも音楽でもゲームでも、芸能人でも起こることです。
繰り返しになりますが、ネットのクチコミでバカ売れするなんて話はありません。ウソです。この領域には倫理的な問題などもまだまだありますが、それ以前に、意図的にコントロールできない非科学的なアプローチはマーケティングではありません。