SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

広告運用の情報サイト「Unyoo.jp」出張所

【有園流】年間10億円以上の大型案件獲得のコツ~人を惹きつけるストーリー構築からプレゼン手法まで

成否のカギを握る、プレゼンで意識すべきこと

 さて、そして、いざ提案資料ができたら、どのようにプレゼンするかが重要だ。面白いアイデアと説得力あるストーリー展開ができても、効果的にプレゼンすることができなければ、せっかくの努力が台無しなってしまう。あくまで私の個人的なやり方の紹介ではあるが、それなりに場数を踏んできた経験から、注意していることがある。

プレゼン原稿や下書き文書を作らない

 まず、プレゼン原稿や下書き文書などは作らない。丁寧にドキュメントを書いてしまうと、その原稿どおりに話そうとして意識がそっちに取られてしまう。その結果、自分の場合は、効果的なプレゼンができなくなってしまう。なので、書くとしても、メモ程度だ。というか、どっちかというと、メモもあまり書かない。プレゼン資料の流れを事前に頭に叩き込み、ほとんど資料を見なくても話せるぐらいに準備するのが理想だと思っている。

 そして、事前準備の際には、予行練習として声を出したりもしない。よくストップウォッチを見ながら時間を計っている人を見ることもあるが、自分の場合は、このスライドでどんなことを話すか、そのイメージを頭に入れるようにしている。予行練習として実際に声を出して話す練習はしないが、話している自分と聞き手がどんな反応をしているかをイメージするようにしている。いわゆる、イメージトレーニングを事前にするという感じだろうか。

主観的視点と客観的視点を意識する

 そして、イメージトレーニングの際に、どこで緩急をつけるか、あるいは、主観的に熱狂的に話す箇所と客観的に冷静に話す箇所とを分けて、どんなトーンで話すかなどをイメージするように心掛けている。主観的な視点と客観的な視点というのだろうか。それを意識的に使い分けるようにしている。それができると、説得力が増すと同時に、共感を得やすいと感じているからだ。

 自分でアイデアとストーリーを作った場合には特にそうだが、良い提案を作ったと信じているので、その良さをクライアントに伝えるために、何かに取り憑かれたように熱狂的に(ある意味でゾーンに入ったように)トークをする箇所と、データなどに基づいて客観性をもって冷静に話す箇所とを使い分けるようにするのが理想だと思っている。

カメラの目線で「わかるわかる」の共感を演出する

 そのように準備をして、いざ本番を迎える。プレゼンルームに入って最初にやることは、なにげなく部屋全体を見渡すことだ。そして、自分がどの位置に立って話をするのか、聴衆がどこに座るのか、すでに聴衆が座って待っている時には、メインの決裁権を持っている人はどこに座っているのかなどを確認する。その後、これは理想論だが、イメージとしては、頭の中に、部屋全体を、あるいは、会場全体を見渡すカメラを設置する。仮にこれを頭の中の「1カメ」と呼ぼう。「1カメ」では、部屋全体を頭上から客観的に見渡すような視点を意識する。

 そして、「2カメ」を取り付ける。これは、自分の表情をアップで捉えるカメラだ。自分を客観的に見つめる視線を頭の中にイメージするのだ。こうすることで、「おい、ちょっと、表情が悪いぞ」と自分に心の中で話しかけることができる。「3カメ」で、聴衆全体の反応を捉える。聞き手が眠そうな顔をしているなどしたら、できるだけ話すペースを変更したり、ポインターを使ったり、歩いてプレゼンの立ち位置を変えて動きに変化をつけたりできるのが理想だ。次に「4カメ」。このカメラで、決裁権のある一番立場の上の聞き手をアップで映し出す。この人の表情を意識しながら、この人に話しかけることができるようにするためだ。この決裁権のある人に共感してもらい、納得してもらうことが大事だ。

 理想論だが、それぞれのカメラの目線で状況を把握しながら、自分のプレゼンで共感を得られるように演出できればとても素晴らしいと考えている。

いざ、プレゼン開始。キーワードは「共感」

 プレゼンを開始したら、共感、共感、共感だ。決裁権限者に共感してもらえれば、プレゼンは大成功だ

 提案資料を作る際には、アイデアとストーリーにこだわり、面白くて説得力のある「うまい話で裏切らない」ロジカルな資料を作ることを心掛けている。しかし、人間は頭ではわかっていても、頭ごなしに説得されると、ちょっと反論したくもなる。ロジカルシンキングを意識して資料を作りつつも、プレゼンでは感情を大事にする。繰り返すが、共感だ。

 「あー、たしかに、そうだよなぁ。わかるわかる。なんか、それなら、うまくいくかもしれない」といった共感の感情をクライアントが持てば、勝率は格段に上がる。ロジックだけでは人間は動かないし、理屈っぽいだけだと煙たがられる。「なんか話もわかるし、共感できるし、この人だったら、一緒に仕事をしてみたいなぁ」とクライアントに思ってもらうのが、プレゼンでやるべきことなのだ。

最後に必要なのは、自分を信じる勇気を持つこと

 ここまで話してきたことは私なりの理想論に過ぎない。各人各様のやり方や考え方があっていいと思う。でも、自分としては、アイデアとストーリーにこだわって面白くて説得力のある提案資料を作りたい。そして、プレゼンのイメージトレーニングをして、会場ではクライアントに共感してもらえるように努力する。このような意識で提案やプレゼンができれば、勝率は上がってくると思う。そして、最後に必要なのは、自分を信じる勇気を持つことだ。

 「今日はなんかいい日だなぁ。きっとプレゼンはうまくいくに違いない」と考える。自信を持ってプレゼンするのだ。自信には根拠なんてなくても構わない。必ず成功するという自信を持って本番に臨めば、きっと、プレゼンの女神が微笑んでくれる。そう信じる力が自分の本番でのパフォーマンスを高めてくれる。大型案件獲得のコツは、そういうものだと思う、たぶん、ね。

本記事は「Unyoo.JP」の記事「ショーンK、サムラゴウチマモル、オボカタハルコに学ぶ大型案件獲得のコツ」を要約・編集したものです。長編のオリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらをご覧ください!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
広告運用の情報サイト「Unyoo.jp」出張所連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/04/21 10:00 https://markezine.jp/article/detail/24298

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング