アクセンチュア・ストラテジーは、アクセンチュアの年次調査「Global Consumer Pulse Research」をもとに、レポート「Digital Disconnect in Customer Engagement」を作成・公開した。レポートによると米国の消費者の8割は顧客窓口で、人間による人間味のある対応を求めていることが明らかになった。また、5割が過去1年間で顧客サービスの品質の低さを理由に利用するサービスを変えた経験があると回答。
こうした消費者の反応は銀行や小売、ケーブルテレビ・衛星テレビの業界で頻発していることが分かった。米国において、顧客サービス品質の低さが原因となった顧客離反による損失は、1.6兆ドルにも達すると予測されている。
米国消費者の77%「人間からアドバイスを受けたい」
レポートによると、米国では83%の消費者が「顧客サービスにおける問題解決はデジタルによる対応よりも人間に対応してもらいたい」と望んでおり、77%は「人間からアドバイスを受けたい」と思っている。また、半数近くの消費者(45%)は「より良いサービスを受けられるなら、商品やサービスの料金が高くなっても構わない」と回答している。
消費者は、実際に商品に触れることや実店舗での体験も非常に重視しており、65%は「実店舗でのサービスが、自分のニーズに合った顧客体験を得るための最適なチャネルである」と考え、46%が「オンラインよりも対面での接客の方が、新商品や高級品の購買意欲を喚起される」と回答している。
アクセンチュア・ストラテジーのケヴィン・クウィリング氏は「米国企業はデジタルによる顧客サービスにおいて転換期を迎えています。顧客満足度を向上させ、他社と差別化して成長を加速させるためには、デジタルテクノロジーを使った顧客サービスと従来型の顧客サービスに対する投資配分を再検討する必要があります。企業は自らの判断で人間による接客に対する投資を控えたものの、消費者一人ひとりが求めるニーズに合わせた対応を提供していくためには、人間による顧客接点を再度充実させる必要性に直面しています。」と見解を示す。
サービス離反した消費者の80%「企業は何かできたはずだった」と回答
同レポートによって、現在の顧客サービスには改善の余地が多いことも分かった。米国の消費者の81%は「やり取りが面倒な企業にはストレスを感じる」と回答し、また、73%は「より手軽で便利な顧客サービス」を期待しており、61%は「より迅速な顧客サービス」を求めている。
消費者の44%は「顧客体験に不満を持った場合は通常、ソーシャルメディアにクレームを投稿する」と答えており、ソーシャルメディアが不満のはけ口であることを認めている。さらに米国では、一度消費者を失うと、68%の消費者は顧客として戻ってこないことが分かった。
しかし、離反した米国の消費者のうち80%は、「企業は自分を引き留めるために何かできたはずだった」と感じている。83%は「企業がリアルタイムな顧客サービスや担当者を介した顧客サービスを提供していれば、他の企業に切り替えるという判断に影響を与えただろう」と回答している。
顧客サービス見直し時の留意点
同レポートでは、企業が、デジタルチャネルと従来のチャネルにおける顧客サービスのバランスを見直す際の留意点として下記をあげる。
- 顧客サービスに人間味のある要素や物理的な要素を再び取り入れる:接客方法ではなく、顧客が満足する体験を提供することに焦点を当て、統一感のある体験を提供できるように統合的にチャネルを管理することが重要。
- 顧客が望む体験に合せたチャネル変更を容易にする:人間による接客とデジタルによる対応を顧客が柔軟に選べる仕組みを構築することが重要。
- 抜本的に問題を解決する:全チャネルを通して、顧客の不満に繋がる体験は利益に直接影響を及ぼす可能性があるため、特定し改善する。顧客体験に悪影響を及ぼす恐れのある最大の要因を特定し、そこで得た知見を基に投資再配分を検討することが重要。
- 個人データのセキュリティ対策に万全を期す:米国の消費者の92%は「企業が個人情報を保護することは極めて重要だ」と回答している。企業が万全なセキュリティ対策を施すことによって、消費者は安心して個人情報を提供し、結果的に企業はより良い顧客体験を創出できるようになる。
【調査について】
「Global Consumer Pulse Research」は、企業のマーケティング、セールス、顧客サービスに対する顧客の意識と、それらの企業活動に対する消費者の反応を評価する年次オンライン調査。レポートの元となった調査は世界24,489人の消費者(うち米国人は2,003人)を対象にし、2015年8月から9月にかけて実施された。
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