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新規会員の獲得速度は1.5倍! 実店舗のオペレーション効率を大きく飛躍させた、ライトオンのアプリ施策

 全国に500店舗以上を展開する、カジュアルファッションチェーンの大手、ライトオン。2016年3月に導入したアプリにポイントサービスを連携させることで、店舗で大きな課題となっていたオペレーションの手間を解消した。さらに、アプリが情報発信や売上アップの面でも強力な味方となりそうだという。詳しい話を、同社のアプリ戦略を担う川﨑純平氏と、金谷洋人氏に聞いた。

アプリで店舗のオペレーションを効率的にしたい

 川﨑氏は、業務改革室の情報システム部門の責任者であり、今回のアプリ施策については、バックエンドを管轄している。金谷氏はeコマースをはじめ、FLASH REPORTなどライトオン以外の業態を担当するチームのリーダーを担っている。アプリでは、実際の運用も担当する。

右から株式会社ライトオン 執行役員 業務改革室長 川﨑純平氏、業態開発部 eコマースチーム リーダー 金谷洋人氏
右:株式会社ライトオン 執行役員 業務改革室長 川﨑純平氏
左:業態開発部 eコマースチーム リーダー 金谷洋人氏

 ライトオンは、元々紙のスタンプカードによってポイントサービス運用していたが、2014年にデジタル化。それに伴い、ECサイトのポイントとも統合した。

 しかし、ポンポンとスタンプを押すだけの手軽な紙カードに比べて、ウェブサイトの場合は、IDとパスワードを入力して、さらに会員証のページを表示させてやっとポイントを追加……と、オペレーションに手間と時間がかかる。そのために店舗ではレジ前に行列ができてしまうこともあり、大きな課題となっていた。

 例えばコンビニのように、頻繁に利用する店舗なら会員IDやパスワードを覚えているだろう。だがアパレルの場合、シーズンごとに購入することも多い。来店は年に4回ほどという顧客もいる。そのため、いざ購入の段階になってIDやパスワードを忘れていることが多いという。

 「その場合はコールセンターへ問い合わせる必要があるため、余分な手間が発生してしまいます。お客様にもストレスですし、スタッフも作業効率が落ちてしまう。そこをスムーズにしたかったのです。アプリならオートログイン機能があるので、1回登録すれば、IDとパスワードの入力は不要です。加えて、日常的にライトオンの情報発信もできると考えました」(川﨑氏)

 同社の店舗とECの売上比率は店舗が9割以上を占めている。そのため、店舗でのスムーズな接客は重要だ。「店舗スタッフからの要望はできるだけ叶えてあげたい。その上で、アプリならECの売上にも寄与できるのではないかと思いました」と金谷氏。

 実は、両氏とも店舗勤務および店長の経験者。今でも販売の現場に立つことがあるという。店舗オペレーションをスムーズにすることは、どの部署に配属されていても、常に重要なミッションなのだ。

個別に採用サービスを調査していた二人、なぜか結論が一致した

 アプリをつくるにあたって、まず両氏は別々のルートで制作会社・サービスを探した。それぞれ多数の企業を調べた結果、なんと採用候補として選んだ会社が偶然一致したという。それがファストメディアのYappliである。両氏を魅了した理由は何だったのか。

 金谷氏は他社事例の豊富さや数字のインパクトと、実際に見た時の操作性をあげる。「実際に触ってみて、動作がサクサク気持ちよかったことが気に入りました。さらにコストや制作スピードも決定打になりましたね」(金谷氏)

 「正直に申し上げると、機能面はサイトやパンフレットを見ただけではどの会社も大差ありませんでした」と川﨑氏。詳細をとことん各社に聞き出したところ「歴然とした差があった」という。

 例えばプッシュ通知。サービスによっては実施まで1~2週間前もかかるものもあったという。情報鮮度が重要視される現在、そのビジネススピードでは成り立たないケースも多いだろう。

 「また、アパレルはアイテム数が多く、ともすれば運用が大変になりがちです。そうならないように、アパレル業界の事情を把握している会社を探していました。その全てをクリアしたのがファストメディアさんでした」(川﨑氏)

●ライトオンが利用するアプリ開発プラットフォーム「Yappli」の詳細はこちら

もっと具体的な事例を知りたい」という方には、セミナーの参加がおすすめ。
「200事例から学ぶ自社アプリ最新トレンドセミナー2016」では、O2O、EC、オウンドメディア、BtoB系などの最新事例が紹介されます。

【セミナー概要】
日時:10月4日(火)14:00~15:30(13:30受付開始)
会場:東京都港区 赤坂2丁目14-5 DAIWA赤坂ビル1F
参加費:無料
定員:60名(先着順)
申込・詳細:公式サイト

新規会員の獲得スピードは1.5倍、プッシュ通知開封率は50%以上

 同社が具体的にアプリ導入の検討を開始したのが2015年11月。そこから年末年始をはさんでも、リリースは2016年3月と非常にスピーディーだった。

Right-on ライトオン公式アプリ
Right-on ライトオン公式アプリ

 リリース後は、500ポイントをプレゼントするアプリ入会キャンペーンや、同社で扱う商品のコーディネート紹介を行っている。プッシュ通知は現在、社内の大きなイベントにあわせて実践するなどタイミングと回数を模索しているという。

 ダウンロード数は、リリースからわずか3か月で約40万。現在も、平日で1日約2000、休日は約4000~6000ずつ増えている。ウェブ登録の頃に比べると、新規会員の獲得スピードだけを見ても、1.5倍ほどのスピードだ。

 「これまでに比べて圧倒的に速く会員数が増えています。これは、店舗スタッフの共感を呼んでいるということだと考えています。なぜなら、お客様のダウンロードの多くはスタッフの案内で促されます。このスピードはお店にとっても、おすすめしたくなるアプリになっている現れでしょう」(川﨑氏)

 プッシュ通知の反応も大きいという。同社はメールマガジンも活用しているが、会員数110万人(2016年5月時点)で開封率2%であるため、情報が届いた数としては約2万人。今回、通常のメールにプラスしてプッシュ通知も実施したところ、アプリ会員のうち14万人が開封し、メルマガと比較すると驚異的な差となった。また、これは、アクティブユーザー約23万人に対し、その半数以上が開封したという結果となる。

 ECサイト側にも影響があった。EC売上に占めるアプリ経由での売上が早くも全体の10%にのぼり、ウェブ広告およびメルマガ経由の売上を超えたのだ。アクセス数においても、全体の20%と成長を見せ、明らかな販促効果が出ている。

 「あくまでもアプリは店舗売上への寄与を主目的としていますが、店舗に行けないユーザーのフォローとして、今後もアプリとECの連携は続けていきたいです」(金谷氏)

店舗スタッフも積極的に活用したくなる、優秀ツールへ

 多数在籍する店舗スタッフからは、アプリに関して毎週たくさんの要望が届くという。

 「“すごく楽になりました”という嬉しい感想と共に、“ここは、もっとこうなりませんか?”と機能改善のリクエストを多くもらいます」と金谷氏。川﨑氏は「要望が来るということは、期待されているということ」と語る。

 声があがるということは、店舗を運営する現場担当もアプリ活用にメリットを感じているということだ。現場で使われなければ、要望が出ることもないだろう。

 ライトオンでは、ウェブサイトでのポイント制度で発生したオペレーションの課題をアプリで解消し、さらに店舗とECの売上にもつながっている。オムニチャネル型アプリ活用の好例といえるだろう。アプリで発信するコーディネート情報も、雑誌に掲載されたものなどではなく、店舗スタッフが考えたものを紹介しているという。

 「店舗スタッフにも、アプリは自分たちが情報発信できるツールだという認識を持ってもらえていると思います。そもそも、店舗スタッフに共感してもらえるようなツールを目指してアプリを制作しました。この視点が成功のポイントだったのではないかと思います。さらに、裏には私達の事情を汲んでくださったファストメディアさんの厚いサポートがありました」(川﨑氏)

 リリース後も、運用サポートなどフォローアップをきめ細かく受けることができたという。「当社の想像以上に個別の対応をしていただけていて、とても助かっています」(金谷氏)

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定員:60名(先着順)
申込・詳細: 公式サイト

目標は、実店舗をサポートするアプリ経由のマネタイズ強化

 今後は、アプリからのマネタイズや、ダウンロードのさらなる促進に力を入れていきたいと金谷氏は展望を語る。

 「今後はますます、顧客との接点として、アプリの重要性が高まっていくと考えています。アプリのプッシュ通知の力や、お客様との接点の多さや長さを活かした展開をしていきたいですね。アプリのダウンロードも、今は店舗の力を借りて伸びていますが、成長をした後には、いつか鈍化するタイミングも来るでしょう。その後にどうするかも検討していきたいです」(金谷氏)

 また、実店舗の商品とスタッフが中心となって、無理なくECとつながっているような施策を、今後定期的に打っていく予定だと川﨑氏。

 「例えば、商品タグをアプリで読み込むとアイテムの着こなし方がわかったり、商品をお気に入りに登録しておくことで後からECで買える機能などをテストしていく予定です。いずれも、アプリを介せば動線がスムーズになると考えています。他にもチャレンジしたいことはたくさんあります。実現するのは大変かとは思いますが、ファストメディアさんとタッグを組めばできるのではないかと期待しています」(川﨑氏)

 アプリ活用のスタートを切ったライトオン。同社が次にどのような展開を見せるのか、注目したい。

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/09 16:30 https://markezine.jp/article/detail/24672