マーケティングの世界から出る必要がある
押久保:ガシー・レンカー・ジャパン(以下、GRJ)にて日本市場のデジタル化率を大幅に引き上げ、新しいプロモーションにも勢いがある中での藤原さんの独立には驚きました。今、どのようなビジョンをお持ちなのか、早速アポを取らせてもらった次第です。まず、現在のお立場を教えていただけますか?
藤原:肩書きとしては3つありますが、主は「エクスボーテ」という化粧品ブランドを扱う株式会社マードゥレクスの取締役です。また、8月に個人会社を立ち上げて、デジタルマーケティングのコンサルティングやセミナー講師の仕事を通じて業界の人材育成を進めています。
押久保:藤原さんはデジタルマーケターという印象が強いのですが、その前のCCCでは複数の店舗運営からEC、Tポイント事業まで、幅広いご経験を積まれているんですよね?
藤原:ええ。最近ではGRJでのデジタルマーケティングのノウハウも含めて、話を聞きたいと頼まれることも増えてきたので、僕の経験が役立つならもっと多くの企業や代理店に展開できればと思っていました。ただ一方で、僕が思い描くようなチームマネジメントも含めたサポートをするには、マーケティングの世界から出て勉強する必要がある、とも感じていたんです。
経営視点で事業の改革に携わるというチャレンジ
押久保:マーケティングの世界から出る、というと?
藤原:事業を好転させ、会社の状態をよくするには、マーケティング部門だけでは足りないことも多いですよね。たとえば経理や管理上の課題や、そもそもの収益構造の見直し、あるいは人の採用や教育、組織づくりも関係します。
今の僕の経験に加えて、これらをもう少し追求したいと思っていた折、CCC時代にお世話になった方が、通販やコミュニティサービス事業を展開するパス株式会社の社長をされていまして、その方から子会社のマードゥレクスの経営に携わらないかとお誘いいただきました。自分自身のこれまでの経験や人脈の全てを活かして、チャレンジできる環境があると思ったので、今がタイミングだと、思い切って決断したんです。
押久保:マーケティングから出て、一つ上の経営のレイヤーに身を置くイメージですね。個人の事業も進めつつ、しばらくは「エクスボーテ」が中心になるのですか?
藤原:そうですね。GRJでは約4年の間にデジタル化率を約半分から8割ほどまで引き上げましたが、「エクスボーテ」もデジタル化率に課題があり、新規を獲得しにくく顧客の年齢層が上がっています。それに経営の視点で取り組むのは、僕にとって大きなチャレンジです。
押久保:ちなみに、元々独立のご意向があったのでしょうか?
藤原:そうですね。でも、独立といってもコンサルティングが目標ではなく、実は高校生のころから「道場を開きたい」という夢があって。
押久保:道場ですか?
藤原:ええ、マーケティングの話とはかなり離れてしまいますが(笑)。僕は少林寺拳法や太極拳をずっとやってきて、禅の教えに基づいた体づくりや心づくりにいずれ携わりたいと思っているんです。今ようやく、そういった自分のルーツと、マーケティングやチームマネジメントに対する考えや経験が重なってきたと感じているところです。