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第106号(2024年10月号)
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マーケティングオートメーションの真の運用は、本質の理解から始まる。(AD)

カクヤス、マーケティングプラットフォーム「B→Dash」導入で目指す新たなEC戦略とは

 エリア内であればビール1本からでも当日中に送料無料で宅配し、実店舗やEC、電話注文などのチャネルを持つ酒類小売店、カクヤス。フロムスクラッチの次世代型マーケティングプラットフォーム「B→Dash」を導入して1年、デジタルマーケティング施策の最適化を進め、目覚ましい成果を上げ始めている。その詳細を、同社WEB事業部次長 兼 WEB企画・販売課課長 由布維一氏、同課 古正幹人氏に取材した。

コスト減を狙ったEC。新規獲得が難しくなってきた今、不可欠となるMAツール

 由布氏は、自社とオープンモール両方のEC管理や、実店舗でのマーケティングアプローチを担当するWEB事業部を統括。同部の古正氏は、自社サイトのキャンペーン更新や、内部制作と外部委託への振り分けを含むディレクション業務、広告に関しては代理店とともに運用管理を行っている。

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(左)株式会社カクヤス WEB事業部次長 兼 WEB企画・販売課課長 由布維一氏
(右)同課 古正幹人(ふるしょうみきひと)氏

 今回、フロムスクラッチの次世代型マーケティングプラットフォーム「B→Dash(ビーダッシュ)」を導入したのは、2008年から運営している自社ECサイトだ。カクヤスは、店舗やEC、電話注文と3つのチャネルを展開しており、店舗エリア内であれば送料無料でビール1本から届けている。現在BtoC向け顧客のEC化率は半分近くまでのぼっているという。

 「EC化率を上げれば、1受注あたりのコストが削減できます。電話注文はオペレーターなどの人件費などがどうしてもかかってしまいます。もちろん電話注文や店舗も重要なチャネルではありますが、コスト削減という視点では、ECは群を抜いて効果を上げています」(由布氏)

 そんな同社ECのKPIは、立ち上げ以来新規会員獲得と売上の2つだ。

 「新規会員登録後に何度かご利用いただければ、サービスの継続利用率は高いというデータが出ているので、新規会員登録の母数を増やすことを重要視しています」(古正氏)

 そのため、これまではリスティング広告を中心にコストをかけてきた。しかし近年、以前に比べると新規会員を獲得した分だけ売上が増大する、というわけでもなくなってきたという。そこで、これまで再利用促進が十分にできていなかった既存顧客に目を向け、その顧客の定着をもう一つの軸足として注力していくことにした。

事業に合わせた独自指標も追加し、手厚くサポート

 しかし、当時導入していたアクセス解析ツールでは、各顧客の購買行動など「個」の情報がつかめず、購入経験のある既存顧客にフォーカスを当てて分析することができなかった。

 そこで、集客面のKPIからLTVまで全体を“一気通貫”で見ることができるマーケティングツールの導入検討を開始。その結果、All in oneのマーケティングプラットフォーム「B→Dash」が他ツールにはない強み・特徴を持っていると判断し、導入を決めた。

 「B→Dashの魅力は、特殊な当社のビジネスモデルに合わせ、カスタマイズしていただけるところです。例えば、店舗から直接届けるエリア、宅配便で届けるエリアから注文が来ているのか、お客様は一般の方なのか企業なのか、そういった切り分けをする必要があります。

 この切り分けができないと、顧客理解は難しいのですが、当社の環境に合わせ実装していただけました」(由布氏)

 その他にも、「B→Dash」に無かった指標を、カクヤスのために新しく開発・実装したこともあったという。

 「当社にとってある重要な指標があったのですが、「B→Dash」ではこの指標を見る機能はありませんでした。しかし、継続して計測したい旨を伝えた結果、新たに追加していただき当社の運用に合わせて設定をして頂けました」(古正氏)

 「B→Dash」の特徴の1つに、開発から導入、実装、サポートまでをワンストップで担当する体制があげられる。通常、ツールベンダーは、開発のみを担い、営業や保守・サポートはグループ企業やパートナー企業に委託していることが多い。

 「B→Dash」は、それらを全て自社で担うところに強みがある。顧客の声をダイレクトに聞くことができるため、利用企業の価値向上につながる要望であれば、スピーディーに対応できる点が、他社にはない競争力の源泉にもなっている。

 古正氏も、「B→Dash」はツール自体の価値だけでなく、マーケティングアドバイザリー達のサポートが他社と比べて圧倒的に手厚く、その結果、ツールを上手く使いこなせているという。

 「B→Dashの場合は、導入してからも定期的にミーティングはもちろん、マーケティングのアドバイザリーもしていただいています。また、我々の要望を直接届けることができるので、新しい挑戦や施策にも踏み切りやすいです」(古正氏)

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商品ごとの売上の内訳を正確に把握できるように

 「B→Dash」導入後、カクヤスの事業環境に合致した形であらゆるデータが統合・整理されていったことで、顧客ごとの生々しいデータや各商品データを対象とした深い分析が可能になった。

 例えば、商品やカテゴリーごとに、どれだけのお客様がついているかという「客付き」が把握できるようになった。これにより、例えば1つの商品で100万円を売り上げた時に、100万円という売上に対して、誰がどういう経路を辿って購買に至ったのか、各広告施策の貢献はあったのか、それぞれ何人が買ったのか、どのくらいリピーターがいるのかなど、あらゆる分析が実現できるというのだ。

 「ただ100万円という金額を見るだけだったのが、その内訳を詳しく理解できるのはとてもありがたいです。ある商品にリピーターが多くついているとわかれば、1度購入すると継続する可能性が高いので、ある程度ディスカウントしたり、インセンティブをつけたりすることができます。客付きがわかることで施策効果が最大化できるのです。

 また同じシステムの中で、広告施策のパフォーマンスまで測れることはとても便利です。本当に価値ある施策に、限られたリソースを集中投資できるようになります」(由布氏)

作業時間の大幅圧縮も大きなメリットに

 さらに、B→Dashの導入により社内のマーケティング体制もオートメーション化が進み、これまで発生していた作業が削減された点も大きなメリットになっている。例えば、以前のツールでは簡単に顧客データの出力ができなかったため、メールを送ったり、分析を行う度に、システム担当者に都度出力してもらう必要があった。そのプロセスが「B→Dash」であれば自動化されるため、仕事がスピーディーに行えるようになった。

 「先ほども少し話しましたが、以前は広告効果との連携ができておらず、各広告のレポートを突き合わせながら作業していました。「B→Dash」の導入後は、属性ごとにお客様の広告接触を閲覧でき、サイト内でどんな商品を購入しているかも把握できます。広告の効果を、ここまで詳細に、かつ簡単に見える化できたことは大きな成果でした」(古正氏)

 結果、以前は新規会員登録を評価指標としていたが、「現在は投資対効果をより意識した評価を行っている」と由布氏は語る。

 「実際に投下コストの配分を変えたり、効果の少ない広告は止めたりと、次の施策への良い意思決定につなげることができよかったです」(由布氏)

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手間のかかる施策を自動化、効果UPと工数削減に貢献

 カクヤスには、EC会員向けの“御用聞きメール”と呼んでいる施策がある。ビール瓶1ケースを購入した顧客に対して、そのビールが無くなりそうなタイミングで次回購入を促すものだ。このメールは、開封率もコンバージョン率も高いことがわかっていたが、全て手作業で行っており、手間がかかっていた。

 「B→Dashでオートメーション化が進んだことで、その手間も無くなりました。今は、どういうシナリオを組むか、セグメントをどう細分化するかに集中できています」(古正氏)

 セグメントの細分化に集中できるようになった結果、新たに気づくこともあった。例えば、缶ビールを2ケース買った場合の消費サイクルは単純に1ケース買ったときの2倍というわけではなく、さらに早くなるという。

 「沢山あると、消費サイクルも早くなるという示唆が得られました。我々としては、そういった点も考慮したセグメントを「B→Dash」を活用して考えていきたいです。また、酒類の違いでも飲み方は当然変わります。商品やカテゴリーごとの違いも深掘りして、お客様の好みに合わせた訴求を展開していきたいと思います」(由布氏)

 また、ここまでデータドリブンな施策を進められるようになったのは、「UIの使いやすさも大きい」と由布氏は語る。

 「以前のツールは海外製で、UIや操作性に違和感があった。一方でB→Dashは国産ということもあり、日本人にあったUI設計になっています。社内でも使えるメンバーが明らかに増えました」(由布氏)

 実際に、以前のツールでは2、3人しか使える社員がいなかったのに対し、現在はマーケティング担当だけでなく、商品部などの別部署にもIDを付与し、10人ほどが活用しているという。

酒類メーカーとの連携や店舗とECの相互活用にも

 今後、カクヤスは「B→Dash」をどのように活用していくのか。この質問に対し両氏は、顧客や消費行動の理解をより深めていきたいという。

 「オートメーション化がようやく可能になったので、お客様の好みに合わせたOne to Oneマーケティングが実現できるよう、日々PDCAを回していき成功のシナリオを作っていきたいですね」(由布氏)

 また、「B→Dash」で得たデータを酒類メーカーと共有して、共同企画の実施にも意欲を見せる。

 「すでに、酒類メーカーさんのデジタルマーケティング部と連携した施策を考えています。くわえて、当社の持つ実店舗へも活用していきたいですね。店のスペースは限られているため、リピート率の高い商品をできる限り多く置きたい。

 そのため、B→Dashでの分析で得られた情報を店舗と共有し、将来的には実店舗のデータを取り込んでECに活かすといった取り組みも実施していきたいと考えています」(由布氏)

 カクヤスは今後、B→Dashを活用して本格的なOne to Oneマーケティングを行っていく。顧客ごとの購買特性・行動特性を全てデータ統合し、よりパーソナライズされたデータ環境を軸にEC戦略を組み立てていく。カクヤスが考えるこれからのEC戦略の中心は“データ統合”と“パーソナライズ”。今後の動向にも注目したい。

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/13 12:48 https://markezine.jp/article/detail/25666