SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

Yahoo!プロモーション広告をマンガで理解!(AD)

新スポンサードサーチを使いこなすコツ
アイレップが語るSEMの成功法則

2007年から、次世代プラットフォームに移行した、オーバーチュアの検索連動型広告「スポンサードサーチ」。導入から半年たち、広告主や代理店も、そろそろ新しいシステムに馴染んできた頃ではないだろうか。今回は、オーバーチュアの推奨認定代理店である株式会社アイレップの紺野俊介氏と芝野徹也氏に、新システムに対する広告主の反応や出稿・運用のコツについて聞いた。

※2013年1月29日よりYahoo!リスティング広告はYahoo!プロモーション広告に名称変更しました。

SEMの果たす役割がさらに拡がる2008年

 本題に入る前に、新スポンサードサーチの特徴について確認しよう。
 主な変化を挙げると、下表のようになる。

 

主な変更点 説明
品質インデックスの
導入
入札価格で決まっていた掲載順位が、入札価格と広告品質の双方を加味した方式に。金額だけではなく、クリック率などの指標を加味しながら「ユーザにとって有益な情報」こそが「品質の高い広告」であるとするロジックが採用された
地域ごとの
キャンペーン設定
広告の配信地域を日本全国や、関東や東海などの地域または都道府県から選択できる機能。特定地域のユーザにフォーカスして広告を配信できるようになった
キャンペーン単位
での予算管理
予算やスケジュールを、キャンペーンごとに管理できるようになった。広告の表示・非表示のスケジューリングも簡単に制御可能
広告審査の時間短縮 以前は広告の審査に1日~数日程度の時間を要したが、新システムでは、オーバーチュアの広告掲載ガイドラインに抵触する広告以外は、申請から審査完了までが数分以内で完了。キャンペーンの急な変更にも対応しやすくなった

 

 それでは、アイレップの両氏に伺ってみよう。まずは、SEMをとりまく最近の状況から。

 「『検索』という行動自体が広く一般に浸透するにつれ、検索を活かした広告商品である検索連動型広告の利用も、2007年にはさらに拡大しました。オーバーチュアのスポンサードサーチが新しくなったことは、業界全体にとっても大きなニュースであり、弊社でも、10大ニュースのひとつに挙げ重要視しています。コンテンツ連動型広告やモバイルにおける検索連動型広告も関心が高まってきましたし、2008年は、今まで以上にSEM(検索エンジンマーケティング)の役割が増えてくるのではないでしょうか」(紺野氏)

【参考】アイレップが選んだ2007年におけるSEMの10大ニュース

 では、オーバーチュアがスポンサードサーチをフルモデルチェンジした意味や狙いについては、どう考えているのだろうか?

SEMのご意見番、アイレップの紺野氏(右)と芝野氏(左)

 「今回のリニューアルのポイントは、ユーザの検索意図と広告を含む情報とのマッチングです。広告を適切にクリックしてもらうための施策、レリバンシー(適合性)を上げるための施策の重要性が増したように見受けられます」(芝野氏)

 これまでも、費用対効果の高い広告が可能だということから、数多くの広告主に利用されていたスポンサードサーチ。しかし、検索を行うユーザにとってはどうだったのだろうか? ユーザは別に、検索結果に表示された「広告」をクリックしたいわけではない。欲しいのはあくまで、自らの検索意図に合致した、レリバンシーの高い「情報」だ。

 広告主とユーザとの間にあったこのような意識のズレを、今回のリニューアルは、埋める役割を果たしたといってもいいだろう。そして、順位決定ロジックの変更は、当然、出稿の具体的な作業や予算の考え方にも大きく影響した。

新スポンサードサーチで変わった出稿テクニック

 「これまでは、広告を上位に掲載するのに、入札価格のみにフォーカスしていればよかったのが、CTR(Click Through Rate/クリック率)などほかの要素が組み合わされるようになりました。つまり、広告主によるコントロールが難しくなったと言えるでしょう」(紺野氏)

 資金力という体力勝負だけでは、広告の掲載順位は決まらなくなったというわけだ。これまでは、たくさんの広告費を遣える企業が上位を独占できたため、ある意味、掲載順位=業界順位に近かったという。

 当然ながら、このような掲載順位がユーザにとって有益だとは言い難い。検索ユーザの満足度を向上する必要があると考えたのだろうか、前述のようにオーバーチュアは、品質インデックスという指標を加味した順位決定ロジック方法を採用したわけだ。

 「言い方を換えると『CTRとその意味』に注目する必要がでてきた、ということです。例えば、同じ5%のCTRでも、1位に表示されるのと2位だと意味は異なりますし、ビジネスモデルの違いでも意味は違ってきます。ところがこれまでは、『入札価格』やそれによって決まる『掲載順位』にだけ注意を向けており、CTRについては意識していない企業も多かったと思います。しかし、品質インデックスの導入によって、CTRを意識した運営を行わないと成果があがらないという状況が起き始めています。具体的には、広告文のクリエイティブの改善、CTRを軸にしたキーワードのグルーピングが重要になってきています」(芝野氏)

 これまで「成果を増やすにはキーワードを増やせばよい」というのが、スポンサードサーチにおける、広く流通するノウハウのひとつだった。他の広告主が目を付けていないキーワードを発掘して安く入札する、あるいは、スモールキーワードと呼ばれるような、複数の語の組み合わせからなるキーワードに対して大量に入札するような方法だ。

 ところが、今は違う。たとえキーワードを大量に出稿しても、ユーザから見て関連性の低い広告はCTRが上がらないため、順位がどんどん下がってしまう、あるいは、入札価格を上げざるをえなくなってしまうのだ。

新システムで浮かんだ企業、沈んだ企業

 「ランディングページの改善や検索エンジンを通じた集客の投資対効果の把握など、総合的な視点を持ちながら、首尾一貫したマーケティングを行ってきた企業にとっては、今回のリニューアルは追い風になったと思います。一方、競合の値段だけを見て入札価格を決めていた、あるいは、キーワードごとのCTRなど細かな数値にあまり関心を払わずに出稿していた企業は、早急な新スポンサードサーチ対策が求められています」(紺野氏)

 バランスの良い出稿を行う企業は、新システムへの移行に伴い、成果を保持したまま広告費を下げる、あるいは、同じ広告費から得られる成果を増やす傾向にあるという。

 「これは、クリック数の増加がアクセスを呼び込むだけではなく、きちんと成果に紐付くよう準備ができているからです。対して、そういったバランスを意識せず運用していた場合は、サイトに呼び込んだはいいがユーザとの関心にズレが生じ、それにより費用対効果が悪くなってしまったケースもあります。また、CTRが下がってしまい、いままでと同じクリック数を確保するのに広告予算を上げざるを得ないケースもあるようです」(芝野氏)

 「安い単価でも、工夫次第では上位に出稿できるのが、新システムの醍醐味でもあります。的確な施策を行うことが、高い広告効果につながるのです」(紺野氏)

SEMのコンサルティングが知的な作業に

 新スポンサードサーチに変わったことで、検索連動型広告に対する広告主の姿勢や、出稿担当者に求められるスキルにも変化が現れたようだ。

 「マーケットが成熟してきたことに加え、企業に検索連動型広告の担当者が増えてきました。マーケティングにおけるSEMの重要性が、組織づくりに関与できるような、企業の上層部の方々まで浸透し始めているのかもしれません」(紺野氏)

 「検索連動型広告の運用には、入札価格の管理やキーワードの入力といった労働集約的な作業と、キャンペーン設定やCPAの管理などの知的な作業のふたつの面があるのですが、新システムの登場により前者が軽くなり、相対的に後者の比重が増しているのも、現場にとっては大きな変化だと思います」(芝野氏)

 導入後半年が経過した、新スポンサードサーチ。ユーザの視点に立った、新機軸の検索連動型広告は、オンラインマーケテイングにどのような影響を与えていくのだろうか。今年さらに注目されそうなモバイル検索連動型やコンテンツ連動型広告とともに、その動向を追っていきたい。

検索連動型広告のノウハウ満載!
MarkeZine特集ページ「サーチ・マーケティング大学」を
ぜひご覧ください

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

大正谷 成晴(オショウダニ シゲハル)

1973年生まれ。フリーランスライター・エディター。2001年よりビジネス誌を中心に活動を開始。現在に至る。趣味はサイクリング、料理、投資。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/03/21 11:27 https://markezine.jp/article/detail/2567