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【検証】本当にトランプは、SNSで選挙に勝ったのか?


 ソーシャルメディアで拡散するコンテンツについて分析する本連載。今回は、アメリカ大統領選挙とソーシャルメディア活用の関連性について考察します。

トランプ氏本人が語った勝因「ソーシャルメディアの活用」

 ソーシャルメディアで拡散するコンテンツについて分析してきた本連載も5回目を迎えました。前回の記事では、日本映画史上で最大級のエンゲージメント数を獲得した「君の名は。」と「シン・ゴジラ」について分析しました(前回記事はこちら)。今回は、世界中のSNSで口コミの嵐を巻き起こした、先のアメリカ大統領選挙について分析したいと思います。

 実質的に次期大統領が決定するアメリカ大統領選挙の一般投票が行われた11月8日、並み居る大手メディアの事前予想を大きく裏切り、ドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を打ち破って勝利しました。世紀の番狂わせとなった今回の結果の原因については、世界中のメディアや個人が様々な検証と振り返りを行っています。

 「なぜ、トランプ氏が勝ったのか?」。政治学者でもなければ、アメリカ社会に精通している訳でもない私が、その答えを探すことは困難ですが、今回はこのテーマに取り組んでみたいと思います。なぜなら、トランプ氏本人が、今回の選挙の勝因を「ソーシャルメディアの活用」と述べたからです。

 11月13日、アメリカCBSテレビのニュース番組「60ミニッツ」の中で、トランプ氏が自ら、「(自身が)FacebookやTwitter、Instagramなどの各アカウントで大量のフォロワーを獲得していたため、既存メディアから悪意ある情報が流されても反撃の手段となり、選挙戦に勝利することができた」と語ったのです。

 この本人の言葉を起点に、今回の大統領選挙におけるトランプ氏に関連した情報のエンゲージメント数(※)の分析、および、ソーシャルメディアがトランプ氏の勝利に与えた影響を探っていきたいと思います。

※エンゲージメント数:いいねやシェア、コメント、リツイートなどFacebook、Twitter、Google+での総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事やソーシャルメディア上における口コミなどの総数。

6億エンゲージメントを超える圧倒的なボリューム

 まずは、トランプ氏とクリントン氏関連情報のソーシャル上でのエンゲージメント数を見てみましょう。

図1:ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏、選挙期間中のエンゲージメント数比較
図1:ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏、選挙期間中のエンゲージメント数比較
※出典:株式会社スパイスボックス自社ツール集計(調査期間:2015/11/8~2016/11/8)
図2:ドナルド・トランプ氏関連エンゲージメント数推移
図2:ドナルド・トランプ氏関連エンゲージメント数推移
※出典:株式会社スパイスボックス自社ツール集計(調査期間:2015/11/16~2016/11/8)
※本集計は、英語で記述されたコンテンツを対象とした
Facebook, Google+, Twitter, LinkedInでのエンゲージメント数を表します。

 ソーシャルメディア上でのエンゲージメント数を見ると、トランプ氏がクリントン氏を圧倒しています。しかも、その総数は約6億1,200万エンゲージメント。世界中が注目する大国の大統領選挙ともなれば、世界規模で口コミが発生することは当然ですが、これは途方もなく膨大な数です。

 ちなみに、前回分析した、国内ヒット映画の中でも最大級のエンゲージメント数を誇る「君の名は。」や「シン・ゴジラ」でも100万から200万エンゲージメントです。その数百倍の規模の情報が1年間のうちにソーシャルメディア上で動いたということになります。

 このように、エンゲージメント数だけを見ても、クリントン氏よりもトランプ氏がソーシャルメディア上でより大きな影響力を持っていたことは伺い知れます。しかし、トランプ氏が、あからさまな人種差別発言や女性蔑視発言で物議を醸した人物であることは皆さんもよくご存知のとおりです。

 この先では、様々な事実と私見を組み合わせながら、トランプ氏選出に多大な影響を及ぼした要因の一端を探ってみたいと思います。

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/13 17:00 https://markezine.jp/article/detail/25745

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