基本姿勢は「コトを起こしてモノを売る」
そもそも、今回の取り組みは誰に向けたものなのか。原田氏は、特定のターゲットを決めず、広く“料理をしたい人”に向けたものだと語る。だからこそ、料理動画が生きてくるという。
「テイストメイドさんの動画は、BtoCというよりCtoCですよね。カスタマーが自分で料理する様子を見せているような。それは、主婦など毎日料理をされる人に限らず、週末料理人や時々キッチンに立つ人まで、料理に関心のある人全体の心をくすぐります。そこが狙いです」(原田氏)
先程触れたように、サラダチキンはシンプルな加工食品だ。そのような商品の場合、素材をそのまま売るのではなくて、料理というプロセスを想像させて、提供することが重要だと原田氏は語る。
「私は元々百貨店にいた人間です。百貨店は端的にいえば、他所でも売っている商品を販売する必要がある。ですから、“コトを起こしてモノを売る”ことが重要なんですね。モノを買うきっかけになるコトを作ることで、購買意欲が高まる。その思考が長く身についています。今回であれば、動画を通して料理の楽しさが伝わるか否かを重要視しました」(原田氏)
グループを巻き込むために必要な「わかりやすさ」
セブン-イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、そごう・西武と、異なる複数の事業体が共同でキャンペーンを行うことに関しては、どのように評価するのか。全社で結果を出すことは難しいとしながらも、原田氏は効率面でのメリットを強調する。
「一つのアイテムに対して複数の事業会社が別々に販促をして、それぞれにコストをかけるよりも、一つに束ねたほうが効率的です。もちろん、そうすることで没個性になる場合もあるので、商品によって向き不向きはありますが。
今回の取り組みは、サラダチキンという素材に、料理という“コト”をプラスするものです。グループ各社が共同で展開すればするほど、熱量が生まれることは明らかです。アイテムの売上に関しても、販促施策が相互に良い影響を与えることも予想できるため、各事業会社が受け止めやすかったのです」(原田氏)