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マーケターのための注目著者インタビュー

マーケターに必要な『鬼速PDCA』とは?


 PDCAという言葉は、デジタルで活動する人々にとって日常的な言葉となっている。しかし、当たり前な言葉になると、かえって軽視されがちな面もあるのではないだろうか。昨年10月に刊行された『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング)は、PDCAについて徹底的に突き詰め、新しいセオリーを紹介した書籍として注目を集めている。著者で金融経済メディア「ZUU online」を運営する株式会社ZUUの代表、冨田和成さんにお話を伺った。

デジタル時代だからこそ、PDCAは必須科目

――PDCAという言葉は、すでにある程度認知されていますが、なぜ改めてPDCAについて取り上げたのでしょうか?

株式会社ZUU代表 冨田和成氏
株式会社ZUUの代表 冨田和成氏

冨田:PDCA自体は昔からあるアイディアで、大事だよね、ということは知られていましたが、長らく意識されていませんでした。

 特に、Googleで提唱されたOKR(Objective and Key Result=目的と主な結果)といった概念では、『PDCAには、目的(Objective)が設定されずに回ってしまうリスクがある』と批判されることもあります。しかし、ビジネス領域が急速なスピードで変化していく中で、今まさにPDCAに近い考え方が次々と生まれてきている現状があります。

 たとえば、2011年に出版された『リーン・スタートアップ』(日経BP)では、著者のエリック・リース氏は『構築-計測-学習』のモデルについて言及しています。情報の共有が凄まじいスピードで行われる昨今では、新しいアイデアや製品が生まれても、一瞬にしてその仕組みが世界に共有されてしまいます。つまり、新しいアイデアを生み出すことも大切ですが、そこで満足してしまうとすぐに模倣され、すぐにリードを取り返されてしまうのです。新しいアイデアをすぐに検証し改良していく、あるいは改良できる仕組みづくりも重要なのです。

 つまり、どんなに優れた製品を出しても、他社に真似をされて安く提供されてしまうと、生き残ることはできません。そういう意味で、新しいアイデア・製品に対して、徹底した『PDCAを行う仕組み』ができている企業だけが、生き残ることができるのです。

PDCAは「当たり前のことを続ける」ということ

――現在のマーケティング業界における、PDCAの課題とは何でしょうか?

冨田: 元々のPDCAのAは改善(Action)ですが、『鬼速』では「調整(Adjust)」としています。「上手くいかなかった原因への対策」が「改善案」だとするなら、「上手くいった原因」の再現を試みるのが「伸長案」と言えます。PDCAでは、「改善」だけでなく「伸長」も意識するために、Aを「調整」としています。

 Webマーケティングでは、仮説に基づいた行動と、その検証がすぐにできてしまいます。Facebook広告やA/Bテストなどは、早ければその日のうちに結果を数値として把握することができます。そこで出た結果から、さらに検証(Check)し、新たな調整(Adjust)を行うといったプロセスを常に意識することが必要になってくると思います。

 ただ、最近のWebマーケティングの業界では、ツールやソリューションなどの手法に頼ろうとする傾向が強くなっていることを感じ、そうした流れには疑問を感じています。リアルの話に例えると、良い営業マンというのは、一つの手法が優れていたから売り上げが上がる、というのではなくて、「当たり前のことを当たり前にできる」ということも同じくらい重要ではないか、と思います。

 たとえば私達は金融や不動産のオウンドメディア運営支援なども行っていますが、「顧客の心の移り変わり方」「商品の提供方法」「ブランドイメージのギャップの穴埋め」といった、昔からある「当たり前のPDCA」で検証していくことが重要なケースが今も多く残っているのではないでしょうか。

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この記事の著者

野村 光(編集部)(ノムラ ヒカル)

岩手県出身。ケント大学(英国)卒業。ライフスタイル誌、ガジェット系雑誌などで編集・執筆・カメラを担当した後、KADOKAWAにて語学、ビジネス、自己啓発、翻訳など、書籍編集者として幅広いジャンルの書籍を刊行する。2016年11月より翔泳社へ入社し、Webメディアの編集者となる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/01/30 13:29 https://markezine.jp/article/detail/25919

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