広告設計のダイアグラムとは
ここからは、どのようにユーザーの感情を変化させるのかについて解説します。私の場合、「モチベーションや欲求の強さ」と「サービス理解度」の2軸、4象限にまたがる4つの矢印によるダイアグラムを描き設計します。
その後設計したダイアグラムをもとに、ユーザー感情の変化が仮説通りに起きているか否かを検証し改善につなげていきます。

続いて、ダイアグラムの作り方を説明します。まず縦軸にサービスの理解度を置きます。この軸の数値が高い人は「サービスを認知・理解している」という認識です。しかし、知っているだけで「利用したい」となる人はそう多くないはず。
そこで、横軸の「モチベーションや欲求の強さ」が必要になってきます。つまり「したい!」と思わせる感情の変化を設計していかなければいけません。
逆に、「したい!」と思っている人も、自社のサービスを知らなければコンバージョンには至りません。もし知っていたとしても、競合サービスよりも自社サービスが魅力的に映っていなければ、選ばれません。
つまり、仮説をもとにペルソナを構築し、先述のダイアグラム上にユーザーの感情や行動を描き、線で結ぶ。その線を誘発させるものがプロモーションでありクリエイティブになってくるのです。
実際の例はこのようなものです。こちらは旅行代理店を例にしたダイアグラム上での感情変化です。

AISASのような一次元の購買行動モデルとは違い、感情の変化が分岐することもあります。複雑になってしまいますが、一般的なマーケティングファネルの「前に進む」か「歩留まりするか」の二元論ではなく、感情という条件を追加することでユーザー行動全体に網を張れるイメージです。
プロモーション全体をダイアグラムで描く
検索連動型広告におけるキーワード、ディスプレイ広告のターゲティングおよび掲載面は、このダイアグラムの中にある感情にあたります。そして、感情Aから感情Bに変移させるためにクリエイティブが存在します。感情Bから次の感情Cを感じさせるためにLPやサイトが存在します。

つまりこのダイアグラムは、広告領域だけで完結するものではなく、LPやサイトの導線まで一括で表現するものになります。また、ユーザーは広告を含め複数の情報に触れることで、商品理解とモチベーションが向上していった結果、コンバージョンに至るのです。
- その広告に触れた瞬間に何を期待するのか(瞬間的)
- 広告からLPに飛んだ時、どのような情報を得るのか(エピソード的)
-
複数の情報を覚え、商品の魅力やニーズがいかに蓄積されるか(蓄積的)
※UXでよく用いられる時間軸の概念を一部利用
感情の変化を仮説立てた上で、上記のポイントをもとにプロモーションを設計。その上で、クリエイティブやターゲティングを考えることで、良いユーザー体験は完成します。
このように感情の変化を促す広告キャンペーンを作成する場合、以下の図をイメージすることが重要です。

瞬間的に何を期待し、そこで何を得るのか、その情報蓄積の結果コンバージョンに近づく。このダイアグラムをベースに、実際のキャンペーン設計やクリエイティブに落とし込んでいます。