デバイス横断のコミュニケーションを実現
――今後、このようなサービスが浸透することでどういった未来が予測できますか。
渡邉:海外では、世界最大手の広告会社であるWPPグループのメディアエージェンシーGroupM(グループエム)がデータユニット「[m]Platform」という独自IDを構築・活用する組織を立ち上げるなど、Google、Facebookに対抗するソリューションをエージェンシーがリードしながらやろうとしている動きがあります。その中で今回のサービスは、それらの対抗馬になりうると考えています。
時間ごとのデバイス利用状況を表した図を見ると、朝起きてから就寝するまで、どこでどんなデバイスを触っているかが想定できます。また、イントラデバイス――同じ端末内でもWebなのかアプリなのか、生活者のデバイス接触パターンを分析することもできます。こういった情報があれば、マーケターは「人ベース」のコミュニケーションプランニングを行いやすくなります。
小林:現状では、スマートフォンやPCなど、デバイスごとでしかコミュニケーションを取れていないケースが多い中で、近い将来、デバイスを横断して、ひとつながりのコミュニケーションが可能になるでしょう。
――スマートフォンを使っている人がPCを開くとこれまでは別の人として捉えられていたのが、クロスデバイスで同じ属性として捉えてもらえるのはユーザーにとっても良いことですね。
小林:先ほどお話ししたデバイスのなかには、テレビも含まれています。デバイスとしてはスマートフォンとPCがメインではありますが、コミュニケーションの接点になるものはほかにもあるはずです。今後、VR、IoTもどんどん増えていくでしょう。将来的に、すべてのデバイスを横断するコミュニケーションを実現したいと考えています。
ユーザーが望んでいないバナー上の広告やウェブ広告は、ときとしてユーザーから歓迎されないことがあります。ユーザーが本当に欲しい情報を、欲しいタイミングでお届けできるような世界を実現していきたいです。
より「何を届けるか」に注力できる時代に
――フリークエンシーコントロールができれば、解決の一歩になりそうですね。
小林:楽天の消費行動分析データがあれば、「この商品を買いそう」「これも欲しいはず」という予測モデルが作りやすくなります。「欲しい情報を欲しいタイミングで」は実現できます。
渡邉:わかりやすい例でいうと、ベビー用品が挙げられます。「オムツの次はトレーニングパンツ」のように、年齢に伴った購買行動の変化やパターンは予測モデルが作りやすく、そのような特徴的な購買行動は、広告主様にとっても有効なマーケティングデータになり得ます。
――最後に「これだけは伝えたい」ということがあればお願いします。
小林:データの利活用は今後ますます進化していく分野です。我々2社が協力するだけでもこれだけ大きな将来像を描けるので、データを保有するあらゆる企業様に、データ利活用の可能性を知っていただきたいですね。もちろん、利活用においてはユーザーへの配慮も欠かせません。
渡邉:「メッセージを誰に届けるか?」という部分は、テクノロジーの進歩により、実装しやすくなっています。そこは我々にお任せいただいて、マーケターの方々には、クリエイティブが担う部分、つまり「どのようなメッセージを届けるのか?」に集中していただきたいと思います。