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インフルエンサーマーケティング最大の課題「誰を起用するか」 THECOOが示す解決の糸口

 THECOOは、Instagram やTwitter、YouTubeなど、SNSプラットフォームにおけるインフルエンサーマーケティングツール「iCON Suite」をリリースした。今、注目を浴びるインフルエンサーマーケティングにおいて、企業はどのような点に注意するべきか、iCON Suiteを活用するメリットとあわせて、同社代表取締役CEOの平良真人氏、執行役員の國分隆毅氏に取材した。

SNS時代、インフルエンサーマーケティングは不可欠に

 2014年に創業し、オンラインマーケティング事業を展開してきたTHECOO。現在は2015年から開始したインフルエンサーマーケティング事業にも注力している。

 平良氏は代表取締役CEOとして新規事業を含め、インフルエンサーマーケティング事業全体の拡大に注力している。國分氏は、前職のGoogle日本法人で運用型広告に携わっていたが、インフルエンサーに可能性を感じて昨年同社に参画。エンジニアと連携しながら、インフルエンサーマーケティングツール「iCON Suite」の企画からクライアントへのサービスまでを担当している。

平良氏と國分氏
左:THECOO株式会社 代表取締役CEO 平良真人氏
右:同社 インフルエンサー事業部 iCON Suite担当執行役員 國分隆毅氏

 今、注目されているインフルエンサーマーケティングは、各SNSで影響力を持つインフルエンサーを何らかの形で起用して、商品やサービスをプロモーションする手法だ。

 「典型的なのはタイアップです。インフルエンサーのアカウントやチャンネル上で、対象商品の動画や画像を投稿してもらうというものです。他にも、クライアントが投稿を依頼せずとも、インフルエンサー自身が本当に商品のことが好きで、自主的に投稿するケースも含まれます。

 いずれも、TwitterやFacebook、Instagramなど影響力のあるプラットフォームやメディアで語ってもらうことがポイントです」(平良氏)

ユーザーの情報に対する消費態度がポイントに

 同手法が注目されている背景には、インフルエンサーがバズワードになっている点が挙げられる。過去にもブロガーなど、現在のインフルエンサーと同様の役割を果たしていた人はいた。ただ、それが今では誰もが自分自身で発信できるプラットフォーム上で行われていることが大きいという。

 「ただ発信できるだけでなく、ソーシャルであるのがポイントです。発信した結果、何らかの共感をしてくれるファンがいて、双方向でコミュニケーションができる。加えて、スマートフォンで簡単に自分を表現できるプラットフォームであるため、誰でもインフルエンサーになれる可能性があります」(平良氏)

 そこに様々なユーザーが、沢山の時間を費やしているとしたら、それをマーケティングに使いたい企業が出てくるのは当然の流れともいえる。

 また、ユーザーの情報の消費態度も変わってきていることも背景にあると國分氏は語る。

 「オフラインで新聞や雑誌から情報を取得していたのに対し、現在ではSNSで特定の領域について影響力のある人を介して、情報を得るスタイルが確立されています。レスポンスに関しても、テレビなどでは以前ほど効果を得られない状況。そのため、自ずとマーケターはインフルエンサーマーケティングに期待する流れとなっています」(國分氏)

 「能動的に検索して探していた情報が、インフルエンサーから発信されることが普通になっています。情報選択について審美眼が必要な時代になってきていて、ユーザーもそれがわかっています」(平良氏)

成果の出るインフルエンサーを選ぶには

 では、インフルエンサーマーケティングを行うとき、マーケターが抱えがちな課題はどういったことがあるのだろうか。國分氏は、“誰に”依頼するかが難しいと述べた。

 「インフルエンサーマーケティングの黎明期には、“この人に紹介してもらったら売れた”、“あの人に類似した人ならもっと売れるはず”といった形で選んでいました。今は沢山のインフルエンサーがいて、彼らの興味関心も多種多様になっており、またその先のファンの興味関心も把握しなければなりません。そこがわからないというのが、クライアント様の悩みです」(國分氏)

 また、運用型広告などに比べると効果測定が難しい点も課題となっているという。平良氏は、事業を始めたタイミングから、インフルエンサーマーケティングの効果の見える化を目指し取り組んできた。

 「今回のリリースもそうですが、iCON Suiteでは機能を充実させて、どのインフルエンサーをどう起用すれば効果が出るのかが簡単に検索、閲覧できることを目指しています」(平良氏)

 さらに、インフルエンサーマーケティングを、デジタルマーケティング全体の中でどう位置づけるか、KPIなどを含めてスキームを作ることが大切だと述べた。

 「マーケティング施策としてインフルエンサーマーケティングのみを行うクライアント様は非常に少ない。もちろん、インフルエンサーマーケティング単体での効果や購買に対する相関性なども確認していますが、基本的にはマーケティング全体の中で、インフルエンサーマーケティングの役割を決めて進めるべきだと考えています」(平良氏)

誰を起用すべきか、データでわかるiCON Suite

 では、同社が提供するiCON Suiteの概要を紹介しよう。同サービスは、YouTube、Twitter、Instagramの3つのプラットフォームにおいて、それぞれ活躍するインフルエンサーを、任意のキーワード・興味関心対象・フォロワー数・デモグラフィック情報、あるいは「フォロワーのデモグラフィック情報」をもとに検索・閲覧できるサービスだ。さらに、いいね!の数やコメント数、リツイート数など、直近1ヵ月分のエンゲージメント数に関するランキングを出すことができる。

サービスイメージ図:クリックで拡大

 また、デモグラフィック情報は、画像解析やテキストマイニング、機械学習を掛け合わせて取得している。

 「iCON Suiteによって、“ファンが多い割にエンゲージメント数が少ない”、またその逆もわかるようになります。また、ファンの興味関心については、細かく分類できればより仮説を立てやすくなるので、今後も注力して様々なカテゴリーで検索できるようにしていく予定です」(平良氏)

 インフルエンサーの影響力を様々な尺度で検索、閲覧できる同サービスだが、活用方法は主に2通りあるという。まず、広告代理店・PR会社が活用するケースだ。

 従来、広告代理店やPR会社はクライアントから依頼を受けると、10社程度のキャスティング会社からインフルエンサーのリストを取得していた。そのリストの体裁や情報の鮮度はバラバラなので、自分たちで1つのシートにまとめて、その中からクライアントのニーズに合ったインフルエンサーを探していた。

 この手間のかかるフローが、iCON Suiteであればよりシンプルにできるという。

 「インフルエンサーリスト機能を活用すれば、起用候補のインフルエンサーのリストを作成し、限定公開URLで外部と共有することができます。iCON Suiteでクライアントの商材に適したインフルエンサーを抽出してリスト化するのはもちろん、すでに手元にリストがある場合もiCON Suiteを通じて情報の鮮度・フォーマットを統一することで提案にかかる工数を減らすことができます」(國分氏)

インフルエンサーを抽出してリスト化することができる:クリックで拡大

広告主が直接インフルエンサーを起用する際の工数も削減 

 もう1つは、自社でインフルエンサーを抱えている広告主が活用するケース。自社で直接インフルエンサーとやりとりしている広告主は、新商品をローンチする際に、その情報を直接送っているという。

 「これまで、新商品告知を依頼しても、その結果どのくらいのインフルエンサーが投稿しているのかトラッキングできるツールはありませんでした。そこで、iCON Suiteのレポート機能を活用すれば、それも可能になります」(國分氏)

 リスト機能はインフルエンサー選定の精度向上、レポート機能はインフルエンサーマーケティングの効果の見える化に貢献する。また、いずれも広告代理店や広告主にとって、工数の大幅削減につながる。

 「誰を起用したいかハッキリ決まっているクライアント様にとっては、絶対に有用ですし、起用のイメージが曖昧な場合でも、iCON Suiteで“こういう人を起用すればいいんだな”という気づきを得ていただければと思っています」(平良氏)

分析機能を充実させたプレミアム版もスタート

 iCON Suiteは、クライアントや広告代理店からの要望を受けて、ビジネス版に加えて2017年4月に機能を追加した上位サービスのプレミアム版をリリースした。

 「プレミアム版では、効果検証やレポート機能を提供していきます。ハッシュタグレポート機能では、インフルエンサーを起用したキャンペーンの投稿レポートが簡単に作成できます。また、エンゲージメント率の指標を元に、広告 キャンペーンのエンゲージメント率と通常時のエンゲージメント率を比較して効果を検証することが可能です」(國分氏)

プレミアム版のレポート機能のイメージ:クリックで拡大

 さらに、インフルエンサーに付いているファンの興味関心をより細かく分類できるようにしていくという。

 「エンタメ系なら、映画なのか演劇なのか、細かく把握可能にすることと、いずれは“映画Aが好きな人は、映画Bも好きです”といったレコメンド機能のような提案ができると考えています。

 さらにはインフルエンサーのファンについても、“インフルエンサーCをフォローしている人は、インフルエンサーDもフォローしています”といった機能を追加して、クライアント様が選びやすいようにしていく予定です」(國分氏)

 最後に平良氏は、「ユーザーがプラットフォームで動画や画像、テキストを使い、インタラクティブにコミュニケーションする流れは今後も加速する」と語り、新たなソーシャルメディアのトレンドが出てきた場合も、柔軟に対応していくとした。

 「これからも、様々なソーシャルメディアやプラットフォーム上にインフルエンサーは現れます。ただ、その情報のジャンルは多種多様に、かつ細分化されていき、趣味嗜好も同様に細かく分かれていくことでしょう。我々はその状況に対し、データやテクノロジーによってユーザーの特性や変化を見える化していき、最適なインフルエンサーマーケティング施策を提案していきます」(平良氏)

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/05/11 10:00 https://markezine.jp/article/detail/26353