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第106号(2024年10月号)
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今だから始める!カスタマージャーニーマネジメント入門

コンペや営業の勝率を上げるには、カスタマージャーニーを使う!ストーリーファーストの提案方法とは

 昨今クライアントのデータリテラシーが高まり、提案営業や代理店のコンペにおいて、一昔前より「提案の根拠」が求められるようになりました。根拠とは、特に顧客視点と費用対効果です。本稿では、カスタマージャーニーをコンペの企画書や営業提案書に取り入れることで、「なぜこの企画なのか?」という根拠をしっかり持った企画書や提案書を作るポイントと、いくつかのテクニックを紹介したいと思います。

なぜ、そのコンセプト、クリエイティブ、ソリューションなのか

 突然ですが、読者の皆様に質問です。クライアントへ提案する時、または提案を受けて稟議にかける時に、「この企画で行くべきであって、他の企画ではない理由」を明確に答えられますか? 答えられない場合は、根拠がない企画になっているかもしれません。

 私が代表を務める株式会社コレクシアでは、BtoBマーケティングやBtoBの営業におけるカスタマージャーニーマネジメントを支援する事業を行っています。その中で「データ的に根拠のある企画や営業提案を作る仕組みを構築して、コンペの勝率や案件受注率を上げたい」という趣旨の依頼を頂きます。

 その際、今までの企画書や営業資料を精査させていただくことがあるのですが、失注した案件の企画書や提案書にはいくつかのパターンが見受けられます。1番多いのが、アイデアや機能説明はあるが、「なぜそのアイデアなのか?」「その機能を使うと、どんな良い結果が期待できるのか」などが明確でなく、コンセプトやソリューション、媒体がいきなり出てくるパターンです。いわゆる「アイデアありき、売り物ありき」のプレゼンです。

データを根拠とした企画は実は少ない

 クライアントのデータリテラシーが高い場合、この企画の問題点は以下の3つに大別されるように思います。

・そもそもデータがなく、属人的な企画になっている

・データのように見えるが、データではない

・データはあるが、ロジックやアイデアのサポートになっていない

 最初の視点は、データ的な根拠がなく、有名クリエイターやタレント、IPが前面に押し出された企画を指します。一昔前なら「駅中とTVCMでサラリーマン中心にバーンと認知を広めて、人気女優を起用して盛り上げていくんです! さらにこの新進気鋭のクリエイターを今回起用するので、相当いけると思います!」でも通用したものですが、今は難しいということです。

 次は、データのような"見せ方"をしているだけで、実際には意思決定を切り分けるに足る根拠を持たない意見や憶測に過ぎないというものです。この誤用が多いのがペルソナです。ワークショップなどで作成したペルソナを資料に入れて、想定したターゲットに対してこういう施策を打ちましょうと提案するわけです。

 「○○な人だから、~~という仕掛けをする」という一見論理的な提案に見えますが、それはペルソナがデータに基づいて作成され、さらに定量的に検証されている場合に限ります。そもそもペルソナ自体が机上で作られた想像の産物では、その先のだからどうするという提案の妥当性が保障されません。その結果「本当か?」という疑問がついて回ることになります。

 最後は、データがあれば良いということではないという話です。データには定量データと定性データがあります。定量データは、探索的な分析を行えば何かしらの相関や差を出すことはできるため、企画の大きな方向性は定義できます。しかし、コアアイディアやクリエイティブの定義を作ることは苦手です。

 一方、定性データは、消費者がどんな情報が求めているか、それはなぜかはわかっても、購買プロセスのどこでどんな情報を提供すべきか、それにより購買行動がどう変化するのかなどの予測はできません。いずれにしても"点"で扱われたデータは、「定義」や「根拠」という意味では弱いのです。

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この記事の著者

村山 幹朗(ムラヤマ ミキオ)

 株式会社コレクシア 代表取締役。APRC/JMRAアニュアル・カンファレンス2016にてカスタマージャーニーの現場活用をテーマにした発表で最優秀賞を受賞する他、アカデミアと実務家の連携によるカスタマージャーニー研究会「JEXIS」を主宰する等、カスタマージャーニーの理論研究と実践の両輪でマーケティング支援を行う。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/06/23 12:00 https://markezine.jp/article/detail/26558

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